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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
窓口の混雑を緩和せよ
333/334

視野狭窄の自覚と松田との再会

 クリームソーダをゆっくり吸い上げてホッと一息つくと、ぼんやり成城なるしろさん(旧姓)とその夫、松田助役の年の差カップルの姿が浮かんだ。


 充実した日々を送っていそうな二人。それなりに努力をして生きてきたつもりの僕。


 洋食店を出てショッピングモール内の通路を歩く。基本的に鎌倉市内か横浜市内が行動範囲の僕は、ここには数えるほどしか訪れていない。


 そう考えると、僕は視野狭窄に陥っているのかもしれない。


 職場と未来宅の往復、互いに自炊したくない日の夕飯は大船おおふな駅前の飲食店。一人だと同駅前にあるどのチェーン店かラーメン店にするか迷う程度の単調な日々。


「あら、こんなところで。そっちの子は乞食?」


「はい、乞食です」


 ピシッと敬礼、百合丘花梨。


「ハッハッハッ、相変わらずだね」


「いやそこは浮気を疑ってください」


 映画館の前でバッタリ会ったのは、成城さんと松田さん夫妻。どうやら先ほどのは予知だったようだ。


 おおらかに笑う松田さんと、子ども扱いが不服で浮気を疑ってほしい百合丘さん。


 通路上で立ち止まると迷惑という共通認識を持つ僕らは自ずと纏まって、恐らく目的もなく歩き出した。


「いやあ、会えて嬉しいよ。なんとかやってる? 二人とも」


「僕はまあ、無駄なことはないと思いながら日々を淡々と過ごしています」


「含みのある言い方だね。百合丘さんは?」


「私はなんとか、こうして会う人たちにご飯をご馳走になりながら」


「そうかあ、二人ともなんだか歯切れが良くないなあ。まあ、仕方ないか。人生にはそういう時期もあるよ。そうだ、これからうちに来ないかい?」


 突然の誘い。松田さんは成城さんに目配せして許しを乞うた。

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