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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
窓口の混雑を緩和せよ
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知らない間に大船渡

 急性アルコール中毒で都ちゃんが堕天使になる前に居酒屋から離脱。顔真っ赤でまりもっこりみたいな表情になった都ちゃんが「支払い?ほら、ゴールドカードがあるよ〜」と、ひらひらさせていたので遠慮なく受け取って会計を済ませた。飲み会ではだいたい私が損をするので今回は前払い分を微少に返還してもらった。仙台駅で泥酔した都ちゃんを電車内に投げ入れ、私は反対方向の電車に乗って隣の長町駅で降りた。


 しかしなんと、次の実家の最寄りバス停を通るバスは約1時間来ない。これなら仙台駅から乗れば良かった。


 時間潰しに駅の高架下にあるスーパーで買い物をしたり、周辺を散歩したり、SNSを見るなどした。


 夜闇を駆けるバスに乗っていると通信アプリの着信を知らせる短いバイブが鳴ったので見てみると、都ちゃんが一ノ関(いちのせき)駅の駅名標を背景にピースしている写真が貼られていた。都ちゃんが仙台駅から乗った電車は一ノ関よりも手前の小牛田こごた行きだったのに、寝過ごしたうえ更に北上ほくじょうする電車に乗ったんだ。酔っぱらいあるある。


『気をつけて帰ってね』と返信すると、紫の帯の電車を背景にピースした写真とともに『へーい、これから帰りまーす』とメッセージが添えられていた。


 紫の電車って確か、更に向こうの北上きたかみ方面に行くやつじゃ……。


 ばあちゃんは眠り、両親は仕事で不在の実家に帰宅。玄関の灯りは点いていた。ありがとう。


 シャワーを浴びて眠り、昼過ぎに起きた私は枕元に置いたスマホを見ると、ちょうどそのタイミングで着信。テーブルに置かれた海鮮丼と、それを前にピースしている都ちゃんの写真が送付された。


『知らない間に大船渡おおふなとに来てたよ!』


 知らない間に大船渡。けっこう遠くまで行ったんだなぁ、都ちゃん。帰りの交通費あるのかな〜、ないよなきっとほぼ間違いなく。


 イヤな予感がしたのでサッと適当なスタンプを送り、アプリを閉じて既読マークがつかないようにした。


 でもまたいつか、三陸方面へ出かけたいな。

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