うん、そうです。運送です!
「ほおおおっ、NFT! イラスト界隈でよく聞くやつ」
成城さんに提案したNFT付き料金券は見事採用された。それから約半年経過した6月、社外に公式発表されたので未来にもようやく言えた。鉄道関連の画像は開業当初から現在に至るまで無数にあり、まずはそれらを撮影者や所有者の許諾を得てNFT化する運びとなった。サービス開始は4ヶ月後の10月。対象は日本総合鉄道の電子チケットが利用可能な特急列車および各新幹線。
「でもそれって、特典の転売を公式が認めるってことでは……」
「うん、そうだよ」
「運送業だけに?」
「それは考えてなかったよ」
未来はアニメオタク。アニメ映画ではよく入場者特典としてキャラクターイラストの色紙や原画などが配布されるが、それを転売する者が後を絶たない。また、アニメの制作サイドは転売を禁止している。
「転売前提だけど、所謂レア画像は配布しないと思うんだ。どの画像も、同じ路線なら同じ確率で当たる。あくまでもマネーゲームじゃなくて画像を見て楽しむためのものにしたいんだ」
「ふむふむ、それは楽しいかもしれませんな。私もすっかり窓口できっぷを買わなくなったけど、いつも長蛇の列だもんね。駅員さん大変だろうから、少しでも楽になるといいね」
よく思うが、未来の口調は所謂‘古のオタク’。
「うん、窓口業務はね、もうやりたくないよ」
「眼が虚ろだね」
「厄介な人がよく来るからね。そういう人ほど券売機で買えるきっぷでも窓口で買うんだよ」
「駅員さんの本音……。でも良かったね、人の役に立てる提案が通って」
「役に立つといいな」
「うーん、どのくらい効果が出るかはわからないけど、少しは役に立つでしょう? お客さんが喜んでくれて、駅員さんが1分でも早く勤務終了すればヨシ!」
「そのマインドは大事だね。ほんと、未来には色んなことに気づかされる」
「私は費用対効果とか考えないで軽率な発言をしてるだけだからね。無責任ヒロインはなんでも言える」
「うん、そうだね……」
「うん、そうです!」




