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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
窓口の混雑を緩和せよ
317/334

69階の地平

 桜木町といえばランドマークタワー。パシフィコとかカプヌとかいろいろあるが、とりあえずランドマークタワー。僕は以前、取引先のある70階に上がったが、一般客が入れるのは地上273メートル、69階の展望フロアまで。ビルの高さは296,33メートル。


 エレベーターレディーのいるエレベーターは、時速45キロで69階まで一気に上昇。急激な気圧変化で耳に圧迫感が生じる。


「おお、高い高い」


 エレベーターを降りると目の前が大窓。神奈川県育ちの成人なら何度か見ているであろう景色だが、宮城県育ちの未来は初めて来たらしく、圧倒されている。


 湾曲した地平線。視界の果て、およそ40キロ先まで建物がぎっしり。空気が澄んでいて、浜松町はままつちょう隅田川すみだがわのタワー、浦安うらやすも見える。


 なお反対側へ行くと近くに山が連なり、横浜は地方都市だと実感する。


 下を見れば、電車がイトミミズほどにしか見えない。自動車はシロアリ程度。


 僕の周りにいる昔の人は広大な景色を見てよく、自分の悩みなんてちっぽけだ、悩んでいるなんてバカらしいと言う。


 僕からすれば、それならいま僕の眼下で事故や事件が発生しても、絶えない災害、戦争も、地球や太陽系の滅亡も、宇宙規模では大したことない。


 そういった事象を、どこまで許容できるか。許容できるようになるか。人生で試されることの一つかもしれないが、生憎僕は見ず知らずの他人の事故や事件でも胸を痛めるたちだ。


 だが一方で、人生は延々と悩んでいられるほど暇でもない。


 どこかで前を向かなければ闇に堕ちる。


 前を向いても真摯であるほど障害がある。


 何もかもを乗り越えた先は、果たして絶対的幸福に満ちているのだろうか。


 ランドマークタワーを出た僕らはそのままクイーンズスクエアへ進み、横浜散策を楽しむ。


 いい加減楽しみに慣れろ僕。


 難しいことばかり考えているから堂々巡りになるんじゃないか。

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