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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
百合丘花梨の日常
310/334

怪しい女、百合丘花梨

 未来ちゃんとは辻堂駅で11時に待ち合わせ。コミケと旅行以外ではオタクの朝は遅い。


 片側一車線で狭い路肩があるだけの道を北へ歩く。熊の気配も森もない熊の森というこの地域は昭和風情漂う商店が軒を連ねている。


 10時半、辻堂駅のコンコースに上がった。未来ちゃんは見当たらない。南口と北口を貫く幅の広い通路には肩がぶつかりそうなほど人が行き交っている。駅直結のショッピングモールへ向かう人が多い。


 辻堂駅周辺は再開発され、ショッピングモールのほかにも商業施設がいくつかある。駅前には真新しい中層ビルが建ち並び、歩道がやたら広い。これでも特別快速は通過する。


 辻堂なんて昔は何もなかったよ、と言う人は多いけど、松田さん曰くそれは国内で人口が2番目に多い神奈川県の東海道線沿線で、湘南の東部に位置している街の中では比較的栄えていなかっただけで、他県だったら特急や急行の終着駅になってもおかしくないレベルらしい。わたしも神奈川県育ちだから他県のことはよくわからん。


 改札口から人が湧いてきた。電車が到着したみたい。あの群衆のなかに未来ちゃんがいるのかな。


 と思いきや、未来ちゃんは改札口横のコンビニから出てきた。


 わたしを探しているのか、周囲を見回している。わたしのとの距離約10メートル。


 ならこっちから声をかけようと未来ちゃんに数歩近寄ったら目が合ったけど、なぜかビクッとして目を反らして速足で逃げたので


「おはよう」


 追っかけて捕まえた。


「おえっ!? ななななんですか!?」


「いや、そっちこそ、なんで逃げるし」


「ん……? あ、花梨ちゃん」


「わかんなかったか。なんだと思った?」


「ラッパーか人殺し」


「おっと言ってくれるな段々スレてきた元生娘」


「街でグラサン黒マスクが近寄ってきたら警戒するのが人間心理。たとえそれが女でも」


「確かにな。立場逆だったら何かされると思うわ」

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