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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
迫るタイムリミット
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行きつけの競合店

「ふふふ、良かった」


 帰宅して、テーブルに向き合って食事中。きょうは駅ビルで買ったアボカドシーザーサラダと酢豚、真空パックの白飯。飲み物は2リットルペットボトルの天然水。


「何が?」


 安寧の笑みを浮かべる未来に、僕は首を傾げた。


「悠くん、転勤してから毎日死んだ目をしてたけど、ラーメン屋さんの移転先探しをするようになってから生気を取り戻してる」


「そう、なんだ」


「気付かなかった?」


「少しでもラーメン屋さんの力になれたらうれしいとは思ってるけど、生気を取り戻してるとは思わなかったよ」


「うーん、出逢ったときほどじゃないけど、回復してきてる感じはするよ」


 自分が生きる意味を見出だせず、見出だせないならそれでもいいと割り切るのは矜持に反して、未来と永くともに過ごしたい一方、会社でコストダウンに奔走するのが僕の存在意義なら死んだほうが良いとも思っていた。


 空き店舗探しなんてラーメン屋を続けてほしい僕の単なるお節介に過ぎないが、それでもあのオヤジのラーメンをつくり続けたいという願いが叶えられるなら、幸福に寄与できるなら、それは僕にとっての幸いだ。


 だが、ネックが一つある。この大船の街には既に一軒、茅ヶ崎のラーメン屋と同ジャンル、背脂系ラーメンの店がある。そこも僕の行きつけで、茅ヶ崎のラーメン屋が移転したら競合必至。にも関わらず誘致するのは両者を裏切るようで気が引ける。どちらかが倒れるか、共倒れになる可能性もある。その旨は茅ヶ崎のオヤジに伝える必要性がある。


 ネックを未来に話したら「それは私も思った」と返ってきた。未来もその店は知っていて、僕とも何度か足を運んでいる。


 移転一つにしても、そう簡単にはゆかないようだ。茅ヶ崎のオヤジも自分で移転先を探しているだろうが、もし見つかったならばそちらへ行ってほしいのが本音。


 競合相手を気にしていたらキリがないのも事実だが……。

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