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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
迫るタイムリミット

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亡霊からの伝言

『え、マ!?』


「マです」


 オヤジによると、茅ケ崎駅前のラーメン屋が店舗老朽化による建て替えのため立ち退かざるを得なくなったとのこと。また、建て替え後は美容室の入居が決まっており、ラーメン屋は行く当てを失ったと。


 これはラーメン屋の店主にとっては死活問題。立ち退き後も店を続けたいのであれば続けてほしい。


 だからといって僕にできることはなく、まだ未来が帰っていない部屋に帰宅してジャージズボンと白Tシャツに着替えた後、リビングで久里浜さんに電話した。


『ソースは?』


「常連のオヤジです」


 オヤジは生前そのラーメン屋に通っていて、ラーメンを食べたくなり死後初めて出向いてみたらちょうど僕と久里浜さんが店を出るところを見かけたという。その後、ほかの客がいなくなるまで店の前で待ち続けようやく店に入ると、店主がオヤジの姿は見えずとも存在に気付き、ラーメンを振る舞ってくれたそうだ。


「そっかー、私らにも話してほしかったなぁ」


「折を見て話してくれるでしょう」


 幽霊だから話しやすかったのだと思う。店主は恐らく生きている客には黙っていて、独りで抱え込んでいるのではなかろうか。


「いやいや、あのオヤジのことだから、いまごろ閉店を決意して、そろそろお知らせの貼り紙を出すころじゃない?」


「ですよね。あのオヤジじゃなくても、大体」


 ということで翌日、僕は未来を連れて茅ヶ崎へ出向き、茅ケ崎駅のコンコースで久里浜さんと合流。そのままラーメン屋に向かった。


「はいいらっしゃい、お、きょうは一人多いね」


 客が少なそうな15時に入店したら、狙い通りほかの客はいなかった。


 店主は未来を見て気さくに笑んだ。


「どうもこんにちは! このお二人に勧められて食べてみたくなりました!」


「そりゃうれしいね。汚い店だけどゆっくりしてってよ」


「わたし、こういうお店大好きです!」


 未来と店主が打ち解けたところで、僕らは店奥の左側、勘定場の脇にある四人席に腰を下ろした。僕と未来は奥に、僕は奥に、未来と久里浜さんは手前に座った。

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