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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
迫るタイムリミット

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278/334

これからをどう生きようか

 衣笠さんからのメッセージを開いた。


『やまびこ148号で帰ります。本牧さんは飯坂温泉エンジョイしてますか』


 さっそく返信文を打つ。


『飯坂温泉エンジョイしてきました。僕もこれからそれに乗る予定です。自由席ですか』


『ノンリザーブです! 指定席は相席になりそうなのでやめました』


 そう、指定席はグリーン車を含めけっこう売れる。見知らぬ客と相席になる可能性もあり、その客のマナーが悪いなどしても他の席が空いていなければ座席変更できない。それを嫌い自由席を利用する人はけっこういる。僕もその一人だ。


 ただし、マナーが悪い客は場合により旅客営業規則に基づいて乗車拒否となる。


 衣笠さんは2号車の最後部E席にいるとのことなので、僕はその乗車口で列車を待った。まもなく到着した列車はほとんどの座席が空いていた。だがこの先、郡山と宇都宮で多くの乗車が見込まれる。


 僕は車外から衣笠さんの姿を認めた。


 E席は僕が立つホームの反対側にあり、ホーム側はAからCの3列席がある。そちらには3歳くらいの男の子を含む親子と思われる三人がいる。


 客室に入ると、その男の子や前方にいる若者四人組の声で賑やかだ。特に若者の集団がいるのは自由席車両の特徴だ。指定席の選択肢は最初からなく「自由席でいいだろ」というノリである。


「どうも。久しぶりの帰省はいかがでした?」


 僕はからだを反らしてこちらを見ている彼女に挨拶をした。


「先にちょっと秋保あきう温泉に浸かってから帰って、ばあちゃんと他愛ないお話をしてきました。本牧さんは、飯坂ワンダーランドは楽しめました?」


 秋保温泉は衣笠さんの実家から程近い温泉地。


「ええ、のんびりしていて、地元の方々が親しみやすくて、女の子とラヂウム玉子のご当地キャラクターがいっぱいいました」


「うんうん、のんびりしたワンダーランドですね」


「そうだね、こんどは飯坂温泉に泊まりたい」


「私もいつか泊まってみたいと思いつつ未だ泊まれておらず、機会を設けたいと」


「行きましょう、とてもいいところなので。それに、人生のヒントをもらえました」


「ほうほう」


「具体的にあれをこうしよう、みたいなしるべはまだできてないけど、ゴールは見えたような、そんな感じが」


「そこへ辿り着くための道筋を、これから立ててゆくと、そういうことですね?」


「そういうことです」


 と発したところで、列車はじわりじわりと走り出した。


 さて、後悔しない人生を辿るには、これからをどう生きようか。

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