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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
迫るタイムリミット

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磐梯熱海の星空に想う

「やっぱり美味しいなぁ、東北の食べ物は」


 やわらかい肉にニンニクをつけていただく会津の馬刺し。静かで落ち着いた部屋で味わうから、尚のこと美味い。


「そう、東北は食べ物が美味しい。うーん、会津の馬刺し、久しぶり……」


 それに時間が、ゆっくり流れている。横浜より湘南、湘南よりここ磐梯熱海といった具合だ。


「あー食べた食べた。ごちそうさまでした」


「ごちそうさまでした。いやあ、美味かった」


 たらふく食べた後、僕らは布団に寝転がり、そのまま眠りに堕ちた。


「……」


 目が覚めたのは、深夜3時。刹那的な覚醒だろう。衣笠さんは枕を抱き、まるまってすやすや眠っている。


 僕はなるべく物音を立てぬよう忍び足で部屋を出て廊下を歩き玄関へ。引き戸を努めて静かに開き、外へ出た。寒いが、空気はしっとりしている。


 不気味なくらいの静けさだが、ときどきトラックの通過音が聞こえる。


 見上げれば、ピカピカと音が出そうなほどにきらめく、満天の星空。


 何もかもが馬鹿らしくなる、満天の星空。


 だがしかし、自分の悩みや存在もちっぽけで、ちっぽけな自分はちっぽけなことに立ち向かうにも、命からがらだ。


 星空の下でひとり煙草でも吸えば、健康増進法が施行されたこの世でも古風な画くらいにはなるかもしれないが、あいにく僕は非喫煙者。


 何も、解決しやしない。


 だが休息は、この星空は、余計な荷を解いて、糸口を掴むヒントの一つくらいは見せてくれるだろう。


 ところで僕は、どこへ向かっているのか。


 挫折、渦中、その先にあるものが、見えてこない。きらめく星は、現在の僕ではとても手が届くものたり得ない。


 さて、再び眠気が襲ってきた。部屋へ戻ろう。

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