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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
迫るタイムリミット

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深山荘の高級料理

「ほへ~」


「だ、だいじょぶですか……?」


「だいじょうぶ~」


 五右衛門風呂をたっぷり堪能したつもりの私よりも後に部屋に戻ってきた本牧さんは、ヘラヘラと、とても幸せそうに表情筋を緩ませている。彼はいま、だいぶ壊れている。というより、あらゆるものを削ぎ落とすと人間はこうなるのかもしれない。恐るべし温泉パワー。


 かくいう私もほぼそんな状態だけど、彼のこの壊れぶりを見たら少し我に返った。


 とても火照っているようなので、窓を開けて洗面台から汲んだ水道水を飲ませた。東北の水道水は年中冷たくて美味しい。


 風を浴びて少し落ち着いたのか、にまにましていた顔は、ぼんやりしたゾンビのように虚ろで、遠くを見るような目で2メートル先の壁を見ている。


 コンコン。部屋の扉を叩く音がした。


「お食事の準備ができましたー」


 女将さんの声だ。


「はーい」


 深山荘には、食事、宴会用の間があり、そこのテーブルでお食事をいただく。


「わあ、本格的なお料理、美味しそう」


 用意されていたのは、ごま豆腐、山菜の天ぷら、すき焼き、白米、杏、サザエのつぼ焼き、香のもの、マグロや鯛の刺身、イクラを添えた、一口大のサーモンの紅葉漬、会津地方の郷土料理、こづゆなど。


「この後もお料理出てきますからね」


 と、女将さん。


「はいー、すごいボリューム」


「ああ、これはすごい」


「あ、そうだ、ビールでも飲みます?」


「ええ、そうしましょう」


 ということで、瓶ビールを一本開けて「いただきます」と「乾杯」。


 ゴクッゴクッ、ゴクッ。


「ああ、お風呂上がりのビールはうまい!」


 思わず一気飲みしちゃった。


「ああ、天国だ」


 宴会もできるようになっている畳の広間には、バーカウンターのような台があり、その奥には赤べこなどの民芸品がところ狭しと並んでいる。


「あ、これ美味しい」


 本牧さんが手をつけたのは、サーモンの紅葉漬け。サーモンを麹に漬けた福島県の郷土料理。宮城でもたまに食べていたけれど、ご無沙汰している。


 ということで、私もさっそくいただいた。


 うわあ……。


「これは、違う……」


「違う?」


「レベルが違う。なんて洗練された高級な味……。口どけ良くて、雑味がない。舌にスッと染み込んでくる味……」


 こんなに美味しい紅葉漬け、初めて食べた。


 その後、鮎の塩焼きや馬刺し、福島産のフルーツが運ばれてきた。


 せっかくの高級料理の数々。これはぜひ、時間をかけてじっくり味わいたい。

 お読みいただき誠にありがとうございます。


 来週はワクチン接種による副反応が見込まれるため、お休みさせていただきます。

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