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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
迫るタイムリミット

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ずっといっしょにいたいから

 居間で一人になった私は、まだ温かいほうじ茶をすすりながら、暖房は効きつつも隙間風が入ってくる部屋でテレビアニメを見ていた。女子高生が地元の海で釣りをする日常系アニメ。ほんわかして、ちょっとシュールでいいなあ。


 ううう、しかし寒い。やっぱり寒い。この寒さは人恋しくなる。確かにここで一人暮らしはつらいかも。昭和のノスタルジーと、何かが出てきそうなゾクゾクした感じと、そこに一人ぽつりといる淋しさ。それでも、このボロボロになったからだで守ってくれる、建物から滲む温もり。


「おお、やっぱりきょうも寒い。衣笠さんは大丈夫?」


 言いながら、スウェットシャツを着た本牧さんが上がってきた。気が付けばアニメが終盤に差しかかっていて、愉快なエンディング曲が流れ始めた。


「大丈夫です! と言いたいところですが寒いです」


「どうしよう、僕の布団で良ければ毛布被って寝てもらって構わないけど」


「うぇ!?」


「僕は座布団で寝るからいいよ。暖房効いてるし」


 ああ、誘ってはくれないのかな。私に魅力がないのか、疲れてるのか、どっちもか……。


「あの、座布団で寝たらやっぱり寒いしからだからだ痛くなるし、良かったら、いっしょに寝ましょう?」


 思い切って、誘ってみた。


「私の部屋に来たときだって、いっしょに寝てるし」


 私が眠っている本牧さんの横に勝手に横に寝ているだけだけど。


「そっか、じゃあ、寝る? いっしょに」


 言って彼は、私から視線を逸らした。やっぱりお風呂に入る前から意識されてる。


「え、ええ、寝ましょう! ふたりで寝ればあったかい!」


 って、何言ってんの私!? 確かにふたりで寝ればあったかいかもだけど、なんか空回りしてる!


 ということでいっしょの布団で寝てはみた(冷えた掛け布団を被ったとき、すごく寒かった)ものの、本牧さんはすぐに眠ってしまった。


 私に興味がないというよりは、疲れきっている? 体調が芳しくない? とにかく健康ではなさそう。


 寝息を立てる彼、過ぎてゆく時間。スマホを見ると3時1分。


 以前から自分の将来を憂いている様子はあったけど、体調が悪化してるのかな。


 病院に行って、ちゃんと検査してもらったほうがいいかも。


 彼には健康でいてほしいし、私だって、ずっといっしょにいたいんだよ。

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