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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
仙台帰省・宮城の旅9
172/334

こころの洗濯

 お読みいただき誠にありがとうございます。


 体調不良のため2週間ぶりの更新となりました。お待たせしてしまい大変恐縮です。


 恋に疲れた未来の心の洗濯。気分転換が彼女を磨いてゆく章をお楽しみいただければ幸いです。

 深夜、私は自室の学習机に向かい、ライトを点灯してノートにシャープペンシルを走らせていた。


 いつぶりに下敷きを使っただろう?


 大学の卒業論文はワードソフトで打ち込み、就職してからも書類作成は専ら電子機器だったから、2年ぶりくらいかな。


 ノートに書き込んでいるのは簡単な詩と、キャラクターの落書き。伊達政宗や犬、猫、その他てきとうに。


 宮城野の

 黄金散りゆき

 曇天に

 舞い降りる雪

 こころほのかに



 花もよう

 少女の恋に

 憧れて

 嫉妬に疼く

 ラフレシア



 こんな感じで、ジャンルを問わず思うままに詩を書くのが趣味だったりする。


 最近は仕事に追われてやっていなかったけれど、今宵は久しぶりに自分に戻れた。


 ちょっと渦巻くような詩も書いちゃったけど、心持ちはなんだかいい感じ。


「おはよう未来ちゃん」


「ばぁちゃんおはよう」


 翌朝目覚めて居間に降りると、ばぁちゃんが箱根駅伝を見ながらひとりお茶を啜っていた。私は昨夜ばぁちゃんがこさえてくれたお雑煮の鍋に火をかけてお椀によそい、ばぁちゃんのいる前で食べる。


 朝11時前、両親はまだ眠っている。


 駅伝はトップが茅ヶ崎の海岸沿い、国道134号線を西へ駆けているところだった。


 思えば私は、遠いところへ就職したものだ。


 駅伝を見ながらまったりした時間を過ごし、外が晴れていたので私は一人で仙台市内を散策することにした。


 仙台駅行きのバスに乗り、途中で八木山やぎやま動物公園行きのバスに乗り換えた。実家の前を通るバスは秋保あきう温泉周辺の観光路線とライフタウン周辺の生活路線を兼ねていて途中から混み合ってきたけれど、こちらの路線は空いていてホッとする。


 動物公園へ行く人の多くはマイカーや地下鉄を利用し、バスはいま乗っている長町駅発着ではなく、別ルートを通る仙台駅発着のほうが多客。


 神奈川では見ない古い二段サッシ窓の古いバスに揺られ、八木山動物公園に到着。ここは家族とも都ちゃんとも何度か来ている。今回は単独行動なので、さっと一通り動物を見たら、地下鉄駅の屋上に上がり、街を見下ろした。


 あまり知られていないけれどここは仙台随一の絶景スポット。


 昨夜の雪は溶けたけれど、空が再び曇り始めた。


 けれどこれもこれで趣がある。


 可愛い動物のイラストが描かれた柵の前。自販機で買ったホットミルクティーを少しずつ飲みながら、ただぼんやりと雪雲に染まる街や水平線を眺望する。遠く左手には松島まつしまが見える。


 地下鉄東西線はここ八木山動物公園が始発駅で、終点が海の目の前、荒井あらい駅。所要26分。電車でそれだけかかる場所をここから見下ろせる。それだけ視界が開けている。


 背後から吹く湿った冷風がコートや髪を揺らす。ミルクティーは刹那に冷めてもホッとする味。


 さて、そろそろどこかへ移動しようか。

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