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リア充爆発させられないかな

 11月22日の誕生日から1ヶ月と2日が経ち、クリスマスイブ。


 きょうは挙式が1件あり、小百合さんが請け負った案件だけれど私も手伝いとして式場に出向いていた。式場は職場の隣なので、きょうはオフィスでのデスクワークと式場スタッフの兼任と言うことで大忙し。


 リア充を祝福する仕事だからこういう日に出勤するのは仕方ない。


 街行く人々は楽しそうだったり寂しそうだったり、それぞれのクリスマスイブをすごしているようだ。


 他方、鉄道会社では、リア充はお休み、独り身の人や家族や恋人はいるけれどなんだかクリスマスを愉しめるような雰囲気ではない人は出勤という、混沌としたシフトになっていると花梨ちゃんが教えてくれた。


 花梨ちゃんは秋から始まった北陸ほくりく旅行キャンペーンで、富山県を舞台にした青春アニメ映画のポスターを制作。膵臓の病気を患った少女と盲腸の手術を受けた少年の感動ストーリー。鉄道会社がアニメ制作に関わり、北陸方面のきっぷの旅行促進を図っている。


 ということで、きょうの駅には花梨ちゃん、本牧さん、成城さん、50代独身の松田さんほか、非リアと家族や恋人はいるけれど気まずい人たちがせっせと働いている。普段よりたくさんのリア充を乗せた列車の安全安定輸送を守るために。


 さっき花梨ちゃんからはこんなラインが連続で送られてきた。


『貨物列車を見ると安心する』


『タンク貨車に積んだ石油でリア充爆発させられないかな』


 絵文字顔文字一切なしの鬼気迫る切実な心の声。


 うんうん、気持ちはわからないでもないけど、ちょっと病んでいるのかな?


 こういうとき、私はどういう返事をすればいいのか。頭を悩ませた休憩時間。


 そだねー。ではあまりにも素っ気ないというか、バカにしている気もする。


 人の幸せを喜べないなんて悲しい!


 これはいけない。いつか私にそのままブーメランが来そう。


 余ったバイキングの料理をオフィスの休憩所でつまむ。サンドイッチ、生ハムメロン、鶏から、イカリング、シーザーサラダ、高級カップアイスなどなど、挙式のある日は食費が浮くので助かる反面、余りものを無駄にしないようスタッフ同士で分け合い、フードロスを最小限に抑える努力をする。


 食べ物はなるべく無駄にしない。命をいただいているのだから。当たり前のことだけど、無駄にしまくっているのがこの国の現状。


 さて、また私の出番が近付いてきた。


 結婚式の裏方はとてもハードな肉体労働。


 ではこれから、私が表舞台を受け持つブライダルトレインの挙式の前に、今回担当しているの裏方の仕事を少しばかり紹介いたしましょう。

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