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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
鎌倉デート

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11月22日、未来の誕生日

 鶴岡八幡宮を散策した僕らは、鎌倉駅へ続く有名な商店街、小町通りをぶらり歩いていた。


 僕は鶴岡八幡宮で衣笠さんへの用事を済ませようと思ったのだが、意図せず漫才をしてしまったためタイミングを損ねた。


 小町通りは車一台が通れるほどの道幅。但し陽が出ている時間帯は観光客でごった返しているため、自動車はあまり通らない。


 平日だが、商店街はきょうも大勢の客で賑わっている。日本人、韓国人、中国人、イタリア人、フランス人、英語圏の人々、実に多国籍だ。ソフトクリームや煎餅、コロッケなどを食べ歩きする者も少なくない。


 店舗のパリエーションも多彩。


 特にソフトクリームは多くの店舗で提供している。お茶屋では抹茶まっちゃ蜂蜜はちみつ屋では蜂蜜のソフトクリームといった具合だ。


 歩き疲れた僕と衣笠さんは小町通りのほぼ中間地点にあるカフェに入った。


 2階建ての2階に営むテラス付きの店舗。ニューヨークスタイルのカジュアルな雰囲気で、柱が少なく開放的なインテリア。若い女性もしくはカップル向けの店と思われるが、深夜の空いている時間帯なら男だけで来ても浮かないだろう。クローズは深夜1時半。


「こここここここここんなこんなこんなっ……」


「ど、どうしました?」


 若い女性の店員に案内され着席するなり、衣笠さんの挙動があからさまにおかしくなった。顔が青ざめアルコール中毒者のように手や肩をブルブル震わせている。


「だ、だってだってだって、お洒落過ぎる……!」


「こういうお店ならもう横浜で慣れているでしょう」


「そ、それは! 勝手知ったる行き着けだから!」


「大丈夫ですよ、カジュアルなお店ですから、お行儀の悪いことさえしなければ」


「お、お行儀というと!?」


「例えばテーブルに足を乗せるとか、かかとを膝に乗せるとか、食べているときにくちゃくちゃ音を立てたり、電話したりスマホを操作したりとか、ごく当たり前のことです」


「ほ、ほんとですか!?」


「えぇ、ほんとです。さっき社食でカレーをたべたときと同じ感覚で問題ありません」


「そ、それならだいじょぶですけど……」


「はい、大丈夫です」


 僕は彼女を安心させるため、微笑をつくった。


「そう、そうですか、本牧さんがそこまで言うなら……」


「えぇ、メニュー表からお好きなものをお選びください」


「ご馳走してくれるんですか?」


「はい、きょうは衣笠さんのお誕生日ですし」


「お、覚えててくれたんですか!? ていうか私、教えましたっけ?」


「何かの機会で知りました」


 きょうは11月22日、いい夫婦の日。彼女の誕生日はとても覚えやすかった。

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