未来のエロエロパニック!
「うふふ、ぶへへへへへへ。綺麗なお姉さ~ん……」
深夜、静かなリビングの絨毯にうつ伏せて戦利品を眺める私。劣情丸出しで綺麗なお姉さんの水着イラスト集を嘗め回すように眺めるその姿は春日部在住、永遠の国民的5歳児にさぞそっくりだろう。
ちなみに私、バイセクシャルではない。男性が男性をかっこいいと思ってニヤニヤすることはあまりないそうだけれど、女性は可愛い女性に鼻の下を伸ばすのはよくある。
体勢維持に疲れて起き上がり、スマートフォンの画面をオンにしたとき、もう既に1時間も擬似ハーレム体験をしていた自分に気付いた。
本牧さん、まだ出てこないな。
ごゆっくりとは言ったけど、1時間以上も入浴してて……。
ハッ! 私いま、気付いちゃったかもしれない。
この2日間、本牧さんはここで寝泊まりをしていて、一人になる時間がなかった。
私がそうであるように、彼にも健全な色欲くらいはあると思う。
そうだね、デトックスしないとからだに悪い!
私ももうちょっと綺麗なお姉さんたちの世界にダイブしていよう。
と、次に現世に舞い戻ったら30分経過していた。本牧さんはまだ出てこない。
もしかして、お風呂で何かあった?
体調崩して倒れてるとか、バスタブで溺れてるとか。
万が一も有り得るのでちょっと様子を見に行こう。
脱衣所まで入るとちゃっかりハプニングに遭遇しちゃうかもだから、とりあえずその扉の前から「本牧さーん」と呼びかけた。
返事がない。声がちっちゃかったかな?
「本牧さーん!」
え、これ本当に緊急事態?
ど、ど、どうしよう。でも、命には代えられない。
私は「えいっ」と思い切って脱衣所と浴室の扉を開けた。途端、顔を湯気に覆われるかと思ったらそんなことはなく、視界はクリア。そこにはミルキーバスで目を閉じている本牧さん。
「本牧さん! 本牧さん!!」
だめだ、呼びかけただけじゃ意識が戻らない。
「失礼します」
一声かけて、彼の肩をゆすった。これでダメなら救急車を呼ぼう。
「……ん?」
「あ、良かった」
意識戻った。
「あれ、お湯が冷たくなってる」
「大丈夫ですか?」
「あぁ、はい、すみません。こんなにゆったりしたお風呂にはなかなか入れないのでちょっとだけ眠ろうと思ったら……」
「ふふ、そうだったんですね。良かったらいつでも入りに来てください。でもお風呂で寝るのは危険ですよ?」
「すみません、以後気を付けます」
以後、という二文字に、私は次の機会を期待してしまった。
「わかればよろしい。あの、それで、立てますか? クラクラして倒れないかなと」
「ちょっとクラクラするので、良かったらお水とスポーツドリンクをご用意いただけるとありがたいです」
「わかりました」
私は濡れた足の裏を出入口のマットで拭いてから脱衣所を出て、言われた通りお水とスポーツドリンクを用意して浴室へ戻った。




