表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『世界最強――平和を守りすぎた男』  作者: くりょ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/34

スノーマンは休めない。

その頃、ルイはぽつりと呟いていた。

「……スノーマンじゃなくて、俺がやったんだけどなぁ」


誰に聞かせるでもなく、

それでもどこか申し訳なさそうに、軽い口調で。

「……ごめん」


自分の行動が、

そのまま“スノーマン”という存在の評価として独り歩きしている。


その事実を知った時、ルイは肩を落とすしかなかった。


ルイにとって、スノーマンとは自分ではない。

どこかに“本物のスノーマン”がいて、

自分はただ、その影を借りて動いているだけ――

そんな感覚が、ずっと抜けないでいた。


「はぁ……にしても、えらいことになったな……」


まさか、ここまで事態が大きくなるとは思ってもいなかった。

原因は明白だった。


人の流入。

避難民の増加。


そして――食料の枯渇。

町に並んでいた食料は、一斉に売り切れた。

ルイが日々調達していた肉類も、

アイスヴェルから、あっという間に姿を消した。

「お金があっても……食べ物がなかったら意味ないよな……」


頭を掻きながら、ルイは苦笑する。

だがこの問題は、


彼一人の悩みではなかった。

アイスヴェルの王、ヴェルもまた、

同じ現実を前にしていた。

食料の供給が追いつかない。

財はある。


だが、肝心の“物”がない。

普通なら焦る局面だ。


だが、ヴェルは違った。

「……問題ない」


むしろ、好機とすら捉えていた。

なぜなら――

どうせ、スノーマンが解決する。


その一点だけを、

ヴェルは疑っていなかった。

そして王は、国民に告げる。


「明日の朝には――

 食料はきっと、

 何者かによって調達されるであろう!」

根拠はない。


だが、確信だけはあった。


他力本願。

それも極まった形だ。

だがその言葉は、


結果的に、スノーマン――

否、ルイにとって、

これ以上なく“効く一手”となった。

(……要するに)

(「おまえのせいで皆が困ってるんだから、

 明日の朝までに何とかしてこい」ってことだよな……)


ルイの中で、

次にやるべきことは、もはや決まっていた。

夜のうちに山へ入り、

魔物や動物を狩り、

解体し、

朝までに運び込む。


ただ、それだけ。

「まぁ……俺のせいだしな」

誰を責めるでもなく、


誰に恨みを向けるでもなく。

「迷惑、かけっぱなしってのも……良くないよな」

そう呟きながら、


ルイは静かに立ち上がる。

皮肉なことに――

誰一人として、

スノーマンを責めている者はいなかった。


だからこそ、

その背中は、

今日もまた、夜へと向かう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ