表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/11

Ep.6 Side八ツ羽

「好きな人との義理恋人生活、一体どうすればいいっていうのよぉっ!!!!」


 リビングで悶えながら、私はありったけの声を出す。


 結局、校舎裏で寺川くんとの一件があった後、午後の授業なんて集中できる訳もなく、帰宅すればいなや、こうして身悶えてるわけだ。


 客観的にみて、我ながらキモい......。


「ちょっと、八ツ羽。人の家で騒がないでよねぇ〜、夜も遅いんだし」

「う、ご、ごめん......」


 そう諭しながら、紅茶を淹れて来てくれたのは友達のアリアだった。


「まぁまぁ、アリアちゃん。乙女が恋に苦しむところを傍観するのも、これまた面白いものですよ〜」


七子(ななこ)、酷くない?」


「ん〜?」


「なるほど、覚えておくよ、七子」


「アリアちゃん、七子の変な教訓覚えなくていいからね?」


 ぷはーっと、隣で紅茶を啜り、満足そうに目を細めるのは同じく友達の七条七子(しちじょうななこ)だ。

 ショートヘアと丸眼鏡がよく似合っててかわいい。


 そして今日は前々から約束してた、アリアの家でお泊まり女子会を開いていた。


 ちなみに、アリアはお父さんが海外の人でお母さんが日本の人らしく、生まれも育ちも日本だという......。

 出会った頃、自己紹介してくれたけど名前が長過ぎて、私たちは普通に名前でアリアって呼んでる。

 身長は私より少し高く、金髪のロングヘアがすごく綺麗!


 私がどれだけ髪の手入れをしようと、恐らくここまでキューティクルにはならないと思う......。単純に羨ましい。


「それでそれで? 八ツ羽、例の寺川少年とはどこまでいったのかね」


「それ私も気になる」


「どこまでいったと言われても......ただ......」


「「ただ?」」


「な、なんにもなかったわよっ!! ただ義理の付き合いをして欲しいって言っただけよ!」


 裏校舎での一件を思い出して、全身から火が噴きそうな勢いで恥ずかしさが湧いてきた。


 うぅ〜......。なんで夜中にこんな目に遭わなければいけないのか......。


「まぁ義理とはいえ、臆病者の八ツ羽が、寺川少年にアタックしたいとは聞いてはいたけど、まさか本当にするとはねー......。これは特大スクープ待ったなしですな」


「うん、八ツ羽は本当にすごいと思う。尊敬してる。私だったらそんなことできない」


 七子はニマニマする一方、アリアは目を輝かせながら、尊敬の眼差しでこっちをみてくる。


 アリアは純粋というか......。


 義理デートなんて申し立てた私が器の小さい女に見えて来てしまうじゃないか......。


「寺川くん、どうしたら振り向いてくれるからなぁ......」


「まぁ、八ツ羽ほどの美人だったらイチコロでしょ。そうだなぁー、隙をついて抱きついてみるとか?」


「む、むむむ、無理に決まってるでしょ!?!? ただのヤバい人じゃん、そんなことしたら絶対にひかれるって! 真面目に考えてよぉ〜!」


「挨拶代わりに、ほっぺたにキスをしてみるとか? 異国ではよくある文化だ」


「アリア、真面目な顔で七子以上のこと言ってくるのやめて」


「ふむ、素晴らしい案だとおもったのだが......」


 危うく紅茶を吐きそうなりながらも、冷静さを保つ。

 容赦ないアリアの考えに、戦車か大砲なのか? なんてツッコミたくなる......。


 それから色々と言い合ったが、結局現実的に寺川くんを振り向かせられるようなアイデアは出てこなかった。


「ていうか、八ツ羽ほどの高嶺の花が、なんで寺川くん好きになったの? 別にあの子、めちゃくちゃイケメンだとかでもなくない? いつも一人で昼食とってるイメージしかないんだけど」


「あのお弁当すごく美味しそう。手作りなのかな。だとしたらすごい技術だ。教えてもらいたいくらい」


「アリア、話の論点そこじゃないから」


 ビシッと、チョップをする七子だが、事実、寺川くんにも似たようなことを言われた気がする。


 −−−俺なんかより、太一とか尾西の方が説得力ある気がするけど。


 無論、自分のことを美少女だとか、高嶺の花だとか自惚れてるつもりは全くない。

 けど、私はやはり彼じゃないといけない。

 寺川くんが心の底から好きなのだ......。


「今日はパパもママも、仕事で帰ってくるの遅い。いくらでも話せる」


「お、アリアさん。気が利きますねぇ〜。これは将来出世しますな!」


「え、なになに? 何の話?」


 私が頭に「?」を浮かべてると、ギョッと顔を近づけてくる二人。

 だから、ホントに何だっていうのよっ!


「女子会といえば、惚気話を聞くことにあり! さぁ、寺川少年じゃないと、どうしてもダメな理由......教えてもらいましょうか!」


「今日は寝かせないよ、八ツ羽」


「え、ちょ、二人して......い、いやぁぁああっっっ!!!!」


 こうして私の羞恥を曝け出す会が、日が昇るまで続いたのだが、私が満身創痍で語り終えた後、気づいたら二人は爆睡していた......。


 ......。


 このメガネとハーフ、覚えとけっ!!

七子(なこ)か、七子(ななこ)迷いました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ