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Ep.5 Side晴秋

「情報量が多すぎる! 一体、何がどうなってるんだぁぁぁぁ!!」


 ベッドの上で悶えながら、俺はありったけの声を出す。


 結局、校舎裏で京坂さんとの一件があったあと午後の授業なんて集中できる訳もなく、帰宅すればいなや、こうして寝室で身悶えてるわけだ。


 客観的にみても我ながらキモい......。


 放課後、太一と西尾がカラオケに行こうぜなんて誘ってきたが、正直こっちはそれどころではなく、丁重にお断りさせていただいた。


 −−−だって、あの京坂さんとデートですよ!?


 高嶺の花であり、クラスのヒエラルキー高めな男子達も、喉から手が出るくらいお付き合いしたがっているあの京坂さんが俺と−−−!?


「ありえない......。義理の付き合いとは言え、思考が追いつかないぞ......。落ち着け寺川晴秋、まずは深呼吸からだ......。すぅー、はぁー、すぅー」

「どうかしたのでございますか、お兄様」

「どわっっ!! ふ、双葉っ!? いつからそこに!」


 扉からひょっこり顔を出していたのは、今年で中学3年生になる妹−−−寺川双葉(てらかわふたば)だ。

 腰あたりまで伸びたロングヘアに、前髪がパッツンに切り揃えられてるのが、妹ながら高貴さを漂わせている。


「今入ってきたとこです。2階からお兄様の絶叫が聴こえたので、つい」


「そうか......悪かった。大丈夫だ。でも、今度からノックしてくれると助かる。お兄ちゃんも年頃だからな、一人で何をしているかわからないだろ?」


「た、たしかにそうですね、ごめんなさい。お兄様にもエッチな漫画を読む時だってありますよね......私の配慮が行き届いておりませんでしたわ」


「妹よ......わざわざ声に出して言わないでくれ、余計恥ずかしくなる......」


 そうだ、と俺は双葉に質問する。


「双葉は何かされて、嬉しかったりすることとかあるのか?」

「嬉しいこと......ですか。ふむ」


 数秒悩んだ末、


「そうですね、あまり物欲がないので......むむむ」


「いや、無理に悩まなくていいんだ、すまん」


「い、いえ、私こそごめんなさい。いざ聞かれると、自分でもわからなくて。お兄様がそんなことを聞かれるなんて......。何かあったのですか?」


 ぎくっ......。


「いやぁー、なんでもない。ただ気になっただけだ。すまんな、引き止めて」


 言えんっ......!


 意中の人と義理デートすることになりました、なんて実の妹に言えるわけないだろ。

 あまり隠し事とかもしたくないが、こればかりは恥ずかしすぎる......すまない、双葉!


「なにやら怪しい気配がします......」


「本当だって、ほらお前だって今年受験なんだろ。兄ちゃんと一緒の高校に入りたいっていってただろ? 勉強しなくていいのか......?」


「話を逸らされた気がしますが......。でもお兄様の言うとおり、勉強しなくてはですね。おやすみなさい」

「おう、おやすみ」


 最後まで俺を訝しむ表情をしていたが、それ以上は何も追求することなく双葉は静かに扉を閉めた。


 ていうか、中学3年にもなるというのに、真面目な妹だ。普通あのくらいの年になれば、「おい、クソ兄! うるっせんだよ! だまれ!」なんて、反抗期まっしぐらな言動を吐いてもおかしくないはずなのだが......。


 とにもかくにも、双葉のおかげで少し頭が冷えた。


「義理のお付き合い、デート、一体何をすれば......むむむ......」


 学校の期末テストは毎回、不可もなく、そこそこにいい点数や順位を出している俺でも、いざ経験したことがないことに直面するとどうすればいいかわからなくなるな......。


 くっ! 


 京坂さんに童貞と暴かれたことを思い出し、顔が熱くなる。


 やはりこういうことは、太一とか経験がありそうなやつに相談した方がいいのか?


 そのぉー、なんだ。

 デートのノウハウ的な......。


 −−−いや、そんなことできるわけないだろっ!


 それじゃ太一や尾西の談笑のネタになるだけだ。

 それに京坂さんは誰かに告白されたとも言ってたな......。やはりクラスの高嶺の花たるもの、どこに行ってもモテるのか......。


 ここまでくると、告白した人の勇気を讃えたくなる。きっと身長が高くイケメンで、スポーツも万能でみたいな超人が、京坂さんに告白なんてできるんだろうな......。

 同じ男なのに、ここまで天地の差ができてしまうのか......。


 俺にもそんな器量があれば......。


 何はともあれ、文化祭の告白イベントまでのこと。

 イベントが終わったらお互い、冴えない陰キャと高嶺の花に戻るんだ。


 そう、何事もなかったかのように......。


 でもこれは、京坂さんと約束したこと!

 やると決めた以上、俺も彼氏ぽいことをしなければ。


「あれも違う、これも違う......く、難しすぎる......。世のリア充たちは、こんな難題をこなしているのか」

 

 あれこれ思案したものの、ピンと来るような答えが見つかるはずもなく......。

 結局一睡もできないまま、時間だけが過ぎていった。

 

 ヤバい......どうなるんだ、俺の義理デート初日。

妹の双葉ちゃんが私のお気に入りキャラ。

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