第九十五話 ウィルクレスト町への行軍
《「ラスティ・ジャンク」の面々は連れていくべきだろう。それから、集団戦になるだろうから、エクサスと、「ジャンク・グリフォン」の一部も連れていくべきだろう。それ以外は残って防衛に備えてもらおう。防衛兵器を使える者は優先して残しておかねばな》
「うん、わかった」
《それから、ブラッドランス領に行く前にマーガレット嬢を保護しに行った方がいい》
「いや、そんな時間は……」
兵士がアイマに異論した。
「何かあれば助けるとマーガレット様と約束したんです。それにコンスタンティン公爵家に何かあったらウィルクレスト町そのものの危機になってしまうじゃないですか」
僕もアイマを擁護した。
《コンスタンティン公爵家領はブラッドランス領に接しているだろう。それほどの寄り道にもならんし、彼らの軍との合流もできる。現実的な策だろう》
「わかりました。ですが、急を要することは忘れないでください」
「それは認識しています。準備しますのでお待ちください」
僕は兵士にそう告げて、アイマとメンバーを集めに向かった。
《ユウマ、警戒が必要だ》
「え? 何が? 敵が強そうなの?」
《いや、ブラッドランス家自体を警戒しろと言っているんだ》
「え? 何で? ブラッドランス家は味方でしょう?」
《だといいがな》
集めたのはラスティ・ジャンクのメンバーに、エクサスの「ジャンク・グリフォン」の30名を加えた35名となった。こんな大人数で軍を編成できる日が来るとは。
「これだけですか?」
兵士が露骨に不安そうな、いや、不満そうな顔をした。うちにとってはかなりの大軍のつもりだったんですが……ジャンク領の総人口どれくらいだと思ってんだ?
《これで精一杯だ。まさかジャンク領の防衛戦力を捨ててまで支援しろと言うのか?》
「いや……そういうわけでは」
「心配しないでください。1人平均で千人分くらいの力はあるので、3万の兵だと思ってください」
僕は自信を持ってそう言った。
だいたい中位程度までの有象無象はノクティアが一掃してくれるし。
「はあ」
まだ兵士は訝しそうに、僕たちの軍を眺めていた。
だが知ったことではない。戦場で僕たちの強さを見せつけるだけだ。
《ユウマ、忘れているかもしれんが、俺はついていけないからな》
「え? なんで?」
《魔素の森の外では動けないって言っただろう?》
「ああ、そうだった。じゃあ、チビゴーレムで通信だね」
《そうだ。戦況も見られるし、指示もできるから心配するな》
「わかった」
僕は執務室にしまっていたチビゴーレムを久しぶりに取り出した。まるでまた冒険に出るような気分だ。
チビゴーレムを手にした僕は、兵士に声をかけた。
「さあ、では急ぎましょう」




