第八十三話 政略会議
翌朝、アイマが皆を集めろというので、皆に声をかけて、会議室に集まってもらった。
領主なのに、アイマの雑用みたいになっているな。アイマのおかげでここまで来たので、特に文句はないのだが。
「アイマ、皆集まったから始めてくれていいよ」
アイマが頷き、会議が始まった。
<<さて、このジャンク領も土台を固めつつあるところではあるが、まだまだ領地として成り立っていないところが多い。加えてアビスヴォイド教団や魔族復活の警戒もしておかなければならない状況だ>>
「そんなに一度に全部の対応はできないよ」
僕が発言した。一応、議長は僕だと思うので。
<<そうだ、人材は集まってきてはいるが、それでも全ての対応は難しい。だから手分けをして、優先度をつけて対応していく必要があるんだ>>
「なるほど。じゃあ、アイマの考えを教えてくれ」
議長として発言を促した。
<<まず、優先すべき点の一つだが、領地の力の土台とも言うべき領民募集だ。管理されていなかった、既存の領民のダークエルフ族と蛮族は帰順させたが、まだ少数だし、ヒト族のような産業よりも、より得意な分野を担わせるべきだろうと考えている>>
「ダークエルフ族と蛮族には何を担当してもらうの?」
<<いきなり話が脱線するな。まあ、いい。ダークエルフ族は彼らの魔力を生かして、医療と防衛部隊として、蛮族も防衛の主力、そして戦時でないときは、大規模な狩りや、アーレンの土木作業、治安などを担ってもらおうと思っている。そして、主要な産業はヒト族を中心にと考えているが、現状、ヒト族が圧倒的に少ない状況だ>>
確かに。
<<そこで、ヒト族の領民を集めたいのだが、ユウマには悪いが、ブラッドランス家の領民を狙わせてもらう>>
「僕はもうブラッドランス家の人間じゃないから気にしなくていいけど、なんでブラッドランス家なの?」
<<ブラッドランス家は、おそらく悪政を強いて、領民を強制的に重労働させている上に、税も高く搾り取って、働けなくなった者からは全財産を取り上げて、それでアイクたちのように路頭に迷っている者が増えてきてしまっていると推測できる。つまり、不満を持っている領民が多いはずだ。そこで、ジャンク家が領民を募集し、土地を与え、税も取らないと言えば、領民が流れてくるだろう。どうだろう、アイク、イサク、ウイク>>
「へえ、その通りだ。あの領地の者たちは、皆、苦しんどる」
アイクが即答した。イサクとウイクも頷く。
<< これはブラッドランス家の領民を救うためでもあるんだ>>
「それならいいね。でも僕がブラッドランス家の出自だと知ったら警戒されないかな?」
<<そこはアイクたちにうまくやってもらおう。いずれにしても、今の生活よりはましだと思ってくるだろう。やってくれるか?」
「もちろんさ。ここでの暮らしのほうが絶対いいはずだで。やったりますわ」
<<チャップも同行してくれ。また何か掘り出し物があるかもしれん>>
「はい、わかりました」
チャップも同意した。
<<よし、では次だ。領民が押し寄せてくる前に、住居の中心となる町の区域を安全にしておかねばならない。アーレンの次の仕事は城壁作り、それから、できる限り住居も用意しておこう。ある程度目処がたったら、防衛兵器も準備しておこう>>
「はい、わかりました」
相変わらず、アーレンの負担が半端ないな。申し訳ない……早く手伝える人も増やしたいな。
<<城壁の範囲は後で指定する。いずれ拡張も必要になるとは思うが>>
「それで、他のメンバーは何をしたらいい?」
<<ロズウェルとリンネはアーレンの護衛と手伝いだな。ユウマとノクティアはとりあえず狩りでもしておいてくれ。そのうちエクサスたちが来るだろうから、彼らが来たら、防衛軍の組成について話をして、アーレンの手伝いもしてもらおう>>
「わかった。じゃあ、皆、申し訳ないけれど、よろしくね。がんばろう」
一応、最後は領主らしく締めてみました。




