第八十二話 リンネの不安
気持ちよく布団に収まって、うとうと気持ちよくなっていると、僕の寝室をノックする者が。
寝室のドアを開けると、リンネがいた。
「リンネ、何かあった?」
「中に入ってもいい? 少し話がしたいの」
「ああ、もちろんだよ」
リンネにベッドに腰かけさせる。
「布団最高だよね」
リンネは微笑み、頷いた。
僕はベッド脇の椅子に座ろうとした。
「ユウマもこっちに来て」
「ああ……」
そう言われたので、リンネの横に座った。
「話したいことって何?」
「ちょっと不安になることもあるの」
「え?」
一気に眠気が覚めた。リンネはもはやジャンク子爵家の最高戦力だ。もし少しでも不安になることがあるなら、最優先で解決しなければならないだろう。
「何が不安なの? 必要なことがあれば何でも言ってよ」
「ユウマは本当にすごいと思うわ。何もないところから爵位までもらって、こんな魔素の森に屋敷を建てて、おいしいご飯も、こんな気持ちいい布団までできるようにして」
そこでリンネは小さく、ひとつため息をついた。
「私もユウマのおかげでこんなに強くなったけれど、ユウマと離れてしまったら、また弱い自分になってしまうと思うの」
いや、たぶん僕のバフがなくても相当強いとは思うけれど……
「だからずっと一緒にいたいの」
「いや、もちろん、僕もだよ。僕もリンネにはずっと一番近くにいてほしい。リンネがいなくなったら不安になるのは僕のほうだよ」
かなり本音だ。
「本当?」
リンネの顔がぱっと明るくなった。これはいいぞ。
「もちろんだよ。今はまだ領地を立ち上げたばかりだけど、これから大きくしていって、給料もたくさんあげられるようになると思うから、ずっといてよ。他にも必要なものがあれば何でも言ってよ」
「そういうことじゃない!」
あれ? そういうことじゃない?
「じゃあ……どういうこと?」
「もういい。おやすみ」
そう言い残し、リンネは僕の部屋を去っていった。
何だったんだ……




