表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説級最弱ジョブ『愚者』、智の魔神に参謀され“外せば外すほど最強”になります  作者: Vou
第二章 領主編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/79

第七十二話 蛮族捕縛

<<ロズウェル、俺の合図で、「ローバスト・プリズン(堅牢な監獄)」の結界を解くんだ。ユウマはロズウェルに「エンカレッジ(励まし)」でスキル効果バフをかけて、すぐにロズウェルは「インプリズン(投獄)」であの黒騎士を捕縛するんだ>>


 この感じ、アイマが戻ってきたことを実感する。

 ロズウェルと僕はうなずく。集中して合図を待つ。


<<よし、今だ>>


 ロズウェルが「ローバスト・プリズン」を解いた。


「エンカレッジ!」


「インプリズン!」


 黒騎士が落馬し、ロズウェルに引き寄せられていく。


<<ネメシス・スタンモード>>


 アイマが腕を水平に前に向けると、左右両手のそれぞれの指先からビームのようなものが放出された。

 ビームは前方の4人と、上空にも1つ、そして後方にも2つ飛んでいく。


 後ろにも敵がいたのか。


 ビームは相手一人ひとりを追尾し、命中すると、それぞれの動きが止まり、上空からは鳥型の獣人が墜落してきた。


<<10人以上だと指が足りなかったんだが。少人数で助かった。しばらくは動けないはずだ>>


「すごいな、その機能」


<<身体に蓄積した何種類かのマナを放出できる機能だ。神経を麻痺させるモードで動きを止めた>>


 蛮族は他にもいるだろうが、とりあえずこれで獲物は持って帰れそうだ。


「強いな、おまえら」


 黒騎士がしゃべった。


「君たちはどういう組織なんだ?」


 尋問の時間だ。


「どうでもいいだろう。俺たちは負けたんだ。命を奪うなり何なりするがいい」


「そうはいかない。殺すつもりならこんな捕縛なんてしないよ。君たちは僕の領地の大事な領民だ」


「領民……? そうか、おまえが噂の新領主か」


「知っているなら話が早い。僕は君たちに害をなすつもりはない。少し話がしたいだけだ」


「ふん、為政者など信用できんな」


「悪いようにはしない。話をしたらすぐに皆解放する。これからも君たちが安心して暮らせるようにする」


「なるほど。しかし、仮に俺を説得できたところで、他のやつらを説得できるとは思えんな。俺たちはおまえらのような為政者に迫害されてこんなところで暮らしているんだからな」


「そうか、どうしたら僕たちを信用してくれるんだ?」


「俺たちは強い者に従う。それだけだ」


「そうか。では一騎打ちでもするか? 君がこの中で最も強いんだろう?」


「ほう、この状況で命を取らず、一騎打ちを打診するとは。よほど俺たちを屈服させたいようだな。いいだろう」


「よし、ロズウェル、捕縛を解いてやれ。他の者も立ち会えるか?」


<<大丈夫だ。まだ動けないだろうが、全員意識はある>>


「リンネ、頼む」


 リンネがうなずき、黒騎士の前に立つ。


「獣人の娘か。悪いが、仲間に獣人は多いのでな、こちらは慣れているぞ。スキルもありで、殺しても文句なしだ」


「二人とも準備はいいか」


 黒騎士が長い槍を構える。重量がありそうなのに、軽々扱っている。膂力にも自信があるのだろう。もちろん、リーチの長さも有利に働くだろう。


 対するリンネも赤竜の打刀と脇差を抜き、構える。


「始め!」


メテ(流星)……」


 次の瞬間、黒騎士の槍は真ん中からきれいに切断された。


「え?」


 そして目の前には首元に打刀の切っ先が添えられている。


「勝負あったな。リンネの勝ちだ」


「ふむ、もはや人間でも獣人の動きではないな。とても敵いそうにない。潔く降参しよう。さあ、殺せ」


「いや、だから殺さないって。仲良くしようよ。僕はユウマ・ジャンク。この領地の新領主だ。よろしく」


「俺は……エクサスだ。確かにこの実力差で誰も殺されていないということはそういうことか。わかった。おまえの寛大さとその獣人の強者に屈しよう」


「兜は取れないのか?」


「悪いが顔は見せられない」


 何か事情があるのか。


「まあ、いいや。いろいろ聞きたいことがあるんだが……まず、君たちは他に何人くらい仲間がいるんだ?」


「さあな、俺たちはならず者たちの集まりで、まともな戸籍なんかない。100人かもしれないし1,000人かもしれない。必要なときに集まって必要なことをするだけだ


「リーダーは君なのか?」


「誰がリーダーということもないが、こんなんでも俺が一番の実力者で、統率スキルもあるから、実質そんなところだ」


「ダークエルフ族のことは知っているか?」


 そのとき、黒兜の奥で、エクサスの表情が動いたように感じた。


「……知っている」


「敵対しているのか?」


「いや、特に敵対しているつもりはない。やつらがどこに住んでいるのかも知らん」


「彼らは君たちが森の獲物を獲り尽くしていると言っているぞ。僕にとっては同じ領民だ。できれば仲良くやってほしいんだがな」


「そうは言っても、俺たちも生きるのに獲物を獲らなきゃならん。弱者が飢えるのは世の理だ」


「あえて獲物を横取りしているわけではないんだな?」


「そんなことはしない」


 エクサスが嘘をついているようには見えなかったが、ダークエルフ族との主張と齟齬があるのは気になる……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ