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伝説級最弱ジョブ『愚者』、智の魔神に参謀され“外せば外すほど最強”になります  作者: Vou
第一章 冒険者編

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第四十一話 魔素の森での再会

 翌朝、僕たちは宿を出立し、「魔素の森」を目指した。


 ウィルクレストの町を出て、魔素が降り注ぐガルム街道を北に進む。

 この街道を歩くと、僕が「愚者」の天啓を受けた日のことを思い出さずにはいられない。この街道で僕はアイマを拾い、リンネと出会ったのだ。


 なお、ガルム街道を南に進むと、僕が最初に「愚者」の天啓を受けた教会のあるブライアの町につながる。

 父は、より魔素濃度の強い北側に僕を捨てたわけだ。


 そして今、僕たちはさらに魔素濃度が強くなる北に向かって進んでいる。

 この先に「魔素の森」があり、さらにその先にエルフの大森林が広がっているのだ。



 道中の魔物を(主にリンネが)倒しながら進むと、やがて先のほうに森が見えてくる。


 森の手前に何人かの人がいるようだ。

 森の番人でもいるのだろうか? エルフの大森林ならともかく、「魔素の森」に番人を置いてまで守るべきものがあるのか?


「あ、『ノーブル・エッジ』……」


 リンネが呟く。


 僕らがエースの盾役(タンク)だったドクトルを再起不能にしたあち、失踪していたA級パーティー「ノーブル・エッジ」……4人そろっている。


 こんな場所で何をしているんだ……


 まさか僕たちが来ることを知っていて、待ち伏せしていたわけでもないよな。


「なんや、知り合いか?」


 ロズウェルが言う。


「やりすごそう」


 こちらとしては特に彼らに用事はない。


<<様子が変だ。警戒していけ。普通に戦えば、今のおまえたちが負ける相手ではないが>>


「待て」


 そうだよね。呼び止めるよね、普通。


 振り返って見ると、リンネによってステータスを全て0にされたはずの盾役(タンク)のドストルだった。

 ミイラにように干からびていたはずなのに、以前のように筋骨隆々に戻っている。

 確かに変だ。なぜここまで回復している。


「ここに何のようだ」


「いや、ちょっと調査に来ただけです」


「何の調査だ?」


「それは秘密です」


 ドストルの顔が激しく怒っているように歪む。目は血走り、角や牙が生えてきた。文字通り鬼の形相。

 いや、それはおかしいでしょう? ヒトをやめたのか!?


アビスヴォイド(深淵の虚無)様の復活を拒むか……」


 言ってる意味がわかりません。


<<ロズウェルは「リディキュール」でヘイトを集めて耐えるんだ。リンネは速攻で後ろの3人を片付けろ。ユウマはロズウェルを「リリーフ」連発で回復し続けろ>>


 アイマが指示を出している間に、ドストルの変体が完了し、僕に向かってきたので、両刃グレイヴを振り回しながら牽制し後退する。


 ディストーションを溜める暇はなしか……盾役(タンク)のくせにめちゃくちゃアグレッシブだな。盾は捨てたのか?


リディキュール(嘲笑)


 ロズウェルがスキル発動すると、ドストルが向きを変え、腕を振り上げ、指先に伸びた鋭い爪でロズウェルを攻撃する。


 ロズウェルは盾で防御するが、凄まじい打撃で少し体勢を崩され、爪がロズウェルの頬を掠めた。


 僕はロズウェルの背後にまわり、「リリーフ」を発動する。


「おお、ええな、それ。一瞬でダメージが消えたで。気分もすこぶるよくなったわ」


 そうなの?


<<「大いなる愚者(グレート・フール)」になったことでディストーションが常に10%溜まってるから、常にスキル効果10倍だ>>


 すごいな、それ。『大いなる愚者(グレート・フール)』を侮ってたよ。


<<リンネが他のやつらを倒すまで耐えておけ>>


 ドストル以外の3人もやはり鬼のような姿に変体していた。武器も持たず、詠唱をするでもなく、指から伸びた長い鋭い爪で攻撃を繰り出す。もはやジョブも関係ない。


 リンネは素早く敵に近づく。


 次の瞬間には、元魔法職系と思われる2人の首が宙に舞っていた。

 攻撃の瞬間が全く見えなかったが、打刀と脇差それぞれで同時に斬ったのだろう。


 続けて、リンネの姿を失った元剣士の背後から一閃、その首も飛んだ。


<<残りのそいつはちょっと手強いぞ。ユウマは「エンカレッジ(励まし)」をリンネに。リンネはそいつが倒れるまで「レクイエム・ブレード(葬送の刃)」を繰り出せ。ロズウェルはヘイトを切らさず耐えてくれ>>


 僕はロズウェルからリンネに意識を移し、「エンカレッジ」を発動した。


 ロズウェルに猛攻を続けるドストルに、リンネが背後から近づく。


レクイエム・ブレード(葬送の刃)!」


 スキルを乗せた打刀と脇差の2連撃がドストルを捉える。


「グァぁぁぁ!」


 大きな傷を首筋と背中につけられたドストルが声を上げる。

 倒れはしないが、確実に大きなダメージが入っている。


レクイエム・ブレード(葬送の刃)!」


 再びの2連撃、そのうちの一閃が強い光を放つ。


<<クリティカルが入ったな。終わりだ>>


 ドストルが崩れ落ちた。


「ラッキーだったね」


<<「エンカレッジ」で攻撃力だけでなく、クリティカル確率も上がっていたから、それほどのラッキーではない。当然の結果だ>>

 

 あ、そうですか。


<<それにしてもヒト型にしてはかなり強力な敵だったな。魔物化していたようにも見えたが、知性があった。古の魔族に近いかもしれない。元のステータスが弱い者ほど、強くなっていたのも特徴的だったな>>


 元が弱い者ほど強く……まるでディストーションを溜めた「愚者」みたいだと思った。

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