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伝説級最弱ジョブ『愚者』、智の魔神に参謀され“外せば外すほど最強”になります  作者: Vou
第一章 冒険者編

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第三十五話 ドワーフの工房

<<ジョブ昇格もして、ロズウェルも加入したから、武具も揃えよう。王都だからウィルクレストよりいいものがたくさんあるぞ>>


「それはいいと思うけど、いい武器屋知ってるの?」


<<武器屋は知らんが、鍛冶屋を知っている>>


「鍛冶屋って、注文武器を作るってこと?」


「それもあるが、鍛冶屋なら量産品の卸し先も知っているだろう」


 なるほどね、確かにそうだ。


 僕は御者に次の行き先を伝える。この御者、チャップという名なのだが、王都の道はよく知っているらしく、すぐに場所を了解してくれた。



 鍛冶屋の建物はシンプルだが重厚さを感じさせる石造りの建物だった。


 中に入っていくとたくさんの武器が目に入る。

 剣や槍や斧などわかりやすい武器もあれば、細長い筒のようなよくわからないものもたくさん転がっていた。


 工房内には、何人かのドワーフらしき人々が作業をしていた。

 

 初めて生きているドワーフを見た……すごいな、王都は。本当にドワーフまでいるんだな。


「あの、ブロックさんの知り合いの者なんですが……」


 アイマに言われた知り合いの名前を出す。


「ほう、ブロック様の知り合いか?」


 手前にいた1人のドワーフの男が応じる。厳つい髭に逞しい腕だ。ベテランの職工だろう。


 ほとんどのドワーフは、この大陸の東側にあるドワーフ王国に住んでいるらしいが、一部のドワーフは魔素資源が多く取れるヒト族の土地を好むことがあるという。

 効率よく、加工に必要な魔素エネルギーや魔物の素材が手に入るということらしい。

 このヴァレンティア王国の王都も、ドワーフが居住許可を取りやすいのだという。


「はい、これもブロック様自ら作っていただいたものです」


 僕は胸ポケットからチビゴーレムを取り出して見せた。

 相手のドワーフがそのアイマの身体を手に取る。


「これは……見事なミスリルゴーレムの模型ですな」


 ドワーフが目を輝かせてアイマを眺める。


 え? ミスリルって言った? 超希少金属だよね?


「うむ、間違いなくブロック様の業だ。意匠も確認した」


 ドワーフの男は名残惜しそうにアイマを僕に返す。よほどの業物なのか?

 本当にアイマはいったい何者なのだ?

 そもそもブロックさんって誰?


「わしはブリックスだ。ブロック様の門下で、この工房の長をしておる」


「僕たちは『ラスティ・ジャンク』という冒険者パーティーです。僕はリーダーのユウマです」


「それで、何の用事かね?」


 僕はレッドドラゴンから獲得した素材ーー鱗、爪、牙を取り出して見せる。


 ブリックスの表情がみるみる変わっていく。


「これはドラゴンの素材だな? どこでこんなものを手に入れた?」


「僕たちが討伐したんです。ヴァンダレイ山に出現したレッドドラゴンの素材です」


「ヒト族がドラゴンを討伐するとは信じられんな」


「ドラゴンにとどめを刺したのは獣人の彼女です」


 と僕はリンネを手で示す。


「ほう、獣人がね」


 奇妙なもので、ヒト族は、獣人などの亜人は下に見るのに、エルフ、ドワーフ、魔族には高い敬意を持っている。

 敬意というよりも劣等感というべきか。外見、能力、技術力、経済力と、さまざまな面で劣っていると感じるヒト族が多いのだ。


 リンネを見ていれば、そういった優劣がいかにくだらないことかわかる。しかも、民族ごとに括って、差別感情や劣等感情を持つなど、本当にバカバカしいことだ。


「この鱗で盾を、牙と爪で一振りずつの刀を作れますか?」


「ほう、この素材をわしに預けてくれるのか?」


「はい、そのために来ました」


 ブリックスの顔が綻ぶ。

 珍しい素材を手に入れて職人の腕が鳴るといったところだろうか。


「それはありがたい。ドラゴンの素材を扱えることなんて一生のうち何度あることか。任せておけ」


「あの、お代はどれくらいになりますかね?」


 ブリックスは少し考え込む。


「うーん、このレベルのものになると普通はけっこうな値になるんだが、1つにつき金貨1枚、合計3枚でどうじゃ? 持ち合わせはあるか?」


 いやいや、僕たちはS級冒険者ですよ。


「もちろんです」


「本当はこっちが払いたいくらいじゃが、工房の経営もあるでな」


「いえいえ、こちらがお願いしているんですから。あ、もしよろしければいい武器屋を知りませんかね? 作っていただいている間、代わりの武器を持っておきたいので」


「なんじゃ、そんなことなら工房にあるもの好きに持って行っていいぞ。必要なくなったら返してくれればいい」


 おお、それはありがたい。

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