第百一話 王国樹立初日から……
ウィルクレスト町の旧ブラッドランス領から、魔素の森の拠点に戻っていると、向こうの方からものすごい勢いで馬車が走ってくるのが見えた。
その姿が近づいてくると御者の顔がだんだんと大きくなってくる。
チャップだ。魔物の素材を捌きにドワーフ王国かどこかに行っていたはずだが、もう帰ってきていたのか。また何かやらかしたか。
リュシアをつけてもダメだったのか?
「た、大変です!」
一言目からそんなか。
「また騙されたのか?」
「いえ、素材はばっちり売れてぼろ儲けです。リュシアさんがうまいこと交渉してくれて……いや、それどころじゃないんです」
「リュシア、よくやった。え? で、それなのに何が問題なんだ?」
チャップが息を整え、再び口を開く。
「意気揚々と町に帰ったんですが……魔素の森に魔物が大量発生していて、町も攻撃されているんです」
「何だって!?」
《妙だな。アビスヴォイド教団が魔物化できるヒト族は、このあたりにはもうそんなに残っていないはずだが》
僕たちは行軍を速めて、急ぎ拠点に向かった。
これからジャンク王国の王都となる予定の町の城壁に大量の魔物たちが群がっていた。
城壁の上から、魔導蓄積砲から激しい魔法が放たれ、群れを駆逐し、回転連弩が大きめの敵を倒していく。
城門に迫る大型の魔物は、粉砕槌が粉砕している。
どうやら町は無事なようだ。
《ロズウェル、ヘイトを集めてくれ。いつも通り、ノクティアは魔法で群れを殲滅、エクサスとジャンク・グリフォンは残った敵の対応を頼む。ユウマは念のためディストーションを溜めておけ。リンネも強い敵を警戒して待機だ》
ロズウェルが「嘲笑」を発動し、魔物たちの注意がこちらに向く。
群れが近づいてきたところを見計らってノクティアが「獄火炎」を浴びせかけた。
そしてエクサスを中心にジャンク・グリフォン部隊がロズウェルの前に並び、襲いかかる魔物を掃討していく。
城門から兵器を使った後方支援も加わり、みるみる魔物が減っていった。
「ケイオス・ライオット」を発動しながら、概ね片付いたかと思って見ていると、後方から他とは一線を画すような巨大な影が見えた。
「ベヒーモス……」
ノクティアが呟いた。
《伝説上の魔獣だな》
「え? やばいの?」
《伝説級だからな。ドラゴンよりずっと強いぞ》
王国樹立初日からひどいな……




