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伝説級最弱ジョブ『愚者』、智の魔神に参謀され“外せば外すほど最強”になります  作者: Vou
第一章 冒険者編

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プロローグ

 死にたいとは思っていなかった。だが、体が勝手に動いていた。


 コンビニバイトの夜勤明けの朝、帰り道にある公園で酔っ払いが笑いながらホームレスの老人を蹴り上げていた。

 次の瞬間、酔っ払いの振り上げた手に光るものが見えた。


「やめろ!」


 叫びながら僕は走り出し、間に入り、老人に覆いかぶさるようにかばった。


 背中に鈍い痛みが走る。ナイフか何かで深く刺されたような感触。


「逃げて……」


 老人が這うように動き出した。

 酔っ払いのほうを見ると、後ずさりながら獣のような目でこちらを睨んでいた。


 僕が睨み返すと、やがて興奮が冷めたのか、「ちっ」と舌打ちして走り去っていった。


 ーーそれでいい。


 大した人生ではなかった。頭のできが悪く、かろうじて無名大学に入ったものの、売り手市場と言われた就職に失敗。褒められるようなところは少なかったが、今は人を一人でも救えた。


 もう少し趣味のラノベを読みたかったな、と思った。もし異世界転生でもできるなら、チートスキルでもっと多くの人を助けたい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


<<異世界でおまえは何を望む?>>


 いや、だから多くの人を救いたい。


<<よし、じゃあ起きろ。死ぬぞ>>


 もう死んだんじゃないのか?


<<死んだが、異世界に転生したんだ。いいから、起きろ>>


 え? じゃあ、チートスキルも?


<<まあ、それはあれだ。ちょっとあれだな。そんなのは後でちゃんと見るから、ひとまず起きろ。転生直後に死んだら人助けも何もないだろう?>>


 そうか、異世界転生できたか! よし、じゃあ起きよう。


<<起きても絶望はするなよ>>


 え? どういうこと?

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