表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

第3話 異端の刃

「ここが、反乱軍の拠点か……」

息を潜めて扉の陰に身を潜める。私は死なない。痛みも恐怖も、すべてが私の味方だ。


「聖女が来るとは……本当に?」

小声で囁かれる声。女兵士の目が、私を捉えた。


「私は死なない。だから、あなたたちの力になれる」

その一言で、彼女たちの表情が変わった。疑いと警戒の中に、わずかな希望が混ざる。


「……なら、信じてみるか」

リーダーの男が頷く。私は静かに剣を握った。


「敵の偵察部隊が北門を突破する!」

報告が飛ぶ。反乱軍の士気が揺れる中、私は前に出る。


「任せろ。私が止める」

振り下ろした剣が、空気を切る音とともに敵兵を薙ぎ払う。

痛みも死も、私には関係ない。斬るたびに、心が熱くなる。


「……まさか、聖女が戦うなんて」

小さな声が聞こえる。だが、振り返る余裕もなく、次の敵が迫る。私は前進する。燃え尽きない身体で、異端の刃として突き進む。


「リアム、来い!」

彼が現れる。互いに剣を交える。

かつては共に微笑んだはずの彼との戦いが、今、現実になる。


「なぜ、俺の国を壊すんだ!」

「壊さないと、救えないの!」

言葉の重さと刃の衝突。血の匂い。恐怖ではない。これこそが、私の生きる理由。


敵を蹴散らし、反乱軍の士気が上がる。

「聖女……いや、異端の女神だ!」

誰かが叫ぶ。私の存在が、伝説になり始めていた。


戦闘が収まると、私は王宮への道を思い浮かべる。

腐敗した王国を、誰もが恐れる中心部を、私は突き進む。死なない身体を背負い、痛みと共に。


「王も、聖堂も、すべて壊す」

心に決め、剣を握り直す。

異端の聖女――アグリッピナの戦いは、まだ始まったばかりだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ