#2 大きな胸のはかりかた
社会人3年目のOL・宮下はるなは、新入社員の配属日を迎え、理想の先輩像を装おうと今日もコンプレックスの貧乳を盛る。そこに現れたのが、新入社員・星野かのん。小柄で儚げな雰囲気とは裏腹に、規格外の巨乳を自然に備えた彼女の姿に、はるなは強い衝撃を受ける。
配属初日のかのんは、総務課の先輩・はるなに付き添われて、制服のサイズを決めるために試着や採寸を行う。
「じゃあ、正確なサイズを測るね。少しだけ、薄着になってもらってもいいかな?」
かのんちゃんの肩がピクリと動いた。一歩踏み出しかけて、でもまた、足が止まる。
けれど、次の瞬間、彼女はひとつひとつカーディガンのボタンを外していった。
ふわりと、甘い香りが漂う。そして、柔らかな膨らみが、視界いっぱいに解き放たれる。
私は、メジャーを握る手の力を、ほんの少しだけ強くしてしまっていた。
キャミソール姿になったかのんちゃんは、想像以上に無防備だった。両手を胸の前で組み、けれど隠しきれない大きなふくらみが、柔らかな布越しに存在感を放っている。
「じゃあ……サイズを測るね」
私の手にはメジャーが握られている。震えるのは、かのんちゃんの指先か、自分の手か、わからなかった。
「緊張、してる?」
「……あんまり、こういうの、慣れてなくて……」
「そっか……」
かのんちゃんはそっと息を吸い込み、肩をすぼめる。もともと薄いキャミソールの生地が、かのんちゃんの胸に引っ張られてしまい、下着のデザインが浮かび上がる。はるなは、思わず視線が釘付けになった。
(……すごく柔らかい……)
心の中で呟き、メジャーをそっとバストトップに回す。生地の感触を指先で感じながら、自然と彼女の体温まで伝わってくる。
「……きつくない?」
「……だいじょうぶ、です……」
胸に沿わせるだけの簡単な作業のはずなのに、かのんちゃんの吐息が耳元で震えた。小さな音が、まるで鼓動のように響く。思わず息を飲み込み、手を止めてしまいそうになる。
かのんちゃんの胸は、予想以上に、大きくて、丸くて、正確に測るのがなかなか難しかった。指先で生地を押さえると乳肉がそれを押し返すように反発するようでいて、柔らかい場所ではメジャーが食い込む。
どうしても、何度も、胸の曲線に沿ってメジャーをこするように動かす。
「……ごめんね……何度も……」
小さく震える声が耳に届く。恥ずかしそうに目を伏せた彼女の頬が、さらに紅く染まっていた。
胸に沿うメジャーの感触。胸をこするたびに微かに揺れる。布越しなのに、その温かさと柔らかさは、手にくっきり残る。
「……こう、触れる感じで……大丈夫かな……」
微妙に擦れるたび、互いの距離と体温が意識に絡む。
乳首を擦った感触がメジャーを通して伝わる。かのんちゃんの呼吸がわずかに速くなるのを感じ、胸元で布がわずかに波打つ。
「……あっ……」
かのんちゃんの声が思わず震える。顔を赤くして目を伏せ、小さな手でキャミソールの裾をぎゅっと握った。
「……ご、ごめんなさい……こんなに……大きくて……」
かのんちゃんの声は小さく、息も少し荒い。羞恥と甘さが混じった微かな震えが、胸元の布の動きと一緒に伝わってくる。
何度もメジャーを動かすたびに、胸は柔らかく押されて形を変える。手の動きに敏感に反応し、肩をすぼめ、視線を逸らすかのんちゃん。その小さな仕草に、胸の丸みと柔らかさの感覚が増幅される。その無防備な反応に、私の心臓は高鳴る。
「……んっ……」
息が漏れるたび、胸元に触れる指先の圧力が増す。かのんちゃんの身体はわずかにこちらに傾き、内股で立つ姿勢から伝わる柔らかなラインが、手の動きと心理的な親密さを増幅させる。
自然な流れで、測定の名目が次第に曖昧になる。手と胸の接触、指先で感じる柔らかさ、羞恥で震える身体。距離が縮まるほど、互いの呼吸は重なり、官能の予感が周囲を満たす。
かのんちゃんの小さな手がキャミソールを押さえながらも、無意識に胸の動きを指先で感じ取るように反応する。その無防備さが、心理的緊張を最大限に高め、次の段階、より密着した官能的接触への導線となった。
「……バスト、105センチ。もしかしたら、もう少しあるかも」
測り終え、メジャーをそっと外しながら、はるなは自分の盛った数字を思い出していた。
(同じくらい……いや、正直言って超えてるかも……)
「次、アンダー測るね。キャミソール、ちょっとだけ持ち上げてもらえる?」
キャミソールの裾を指先でつまみ、自然に胸の上に乗せたかのんちゃんは、ほんの少しだけ息を詰めていた。
淡い水色のブラは繊細なレースが縁を飾り、
白い肌の上で光を集めている。滑らかな腹部はうっすら縦の筋が入り、触れれば指をはじくような張りがありそう。その上に盛り上がっている胸は、重量に逆らうかのように豊かさを誇っている。
「……じゃあ、腋の下から回すね」
そう声をかけながら、躊躇いを押し殺すように腕を大きく回す。腋の下の薄い肌に、私の手の甲がかすめる。体温が想像以上に高く、私の呼吸がわずかに乱れた。
背中へ沿わせた腕が、ブラのストラップの上をゆっくり滑っていく。指先には、ざらついたレースの感触と、その下の柔らかい背中の温もり。
肩甲骨の下あたりにメジャーが通ると、かのんちゃんの身体が腕の中にすっぽりと収まり、必然的に抱き寄せるようになった。
(……暖かい……)
押し付けるように密着したかのんちゃんの胸を意識せざるを得ない。かのんちゃんが呼吸をするたびに、私の制服越しにその鼓動が私にも伝わってくる。
かのんちゃんも緊張しているのか、背中の筋肉が微かに固くなっていて、その一方で胸の重みに熱を帯びてくる。
「……息、普通にしてね」
「……は、はい……、でも」
返事の途中で、吐息が首筋にかかる。甘く湿った空気が、私を覆うように、浸透するように、広がっていく。
メジャーを締める動作のつもりが、自然と腕に力が入り、かのんちゃんの背中を引き寄せてしまう。
(……仕事なのに。やめないと……)
頭の中では中断を促される。けれど、本能は無視していた。メジャーを固定するふりをして、さらに距離を詰める。ふわりと漂うシャンプーの香りと、柔らかな吐息の温度が同時に押し寄せる。
「……っ……!」
驚いたように小さく声を漏らすかのんちゃん。私はもう、抱きしめる形から離れられなくなっていた。腕の中でかのんちゃんの鼓動が速くなる。胸と胸が、布越しに押し合って形を変え、互いの呼吸がぴたりと重なる。
「……ごめんね、もう……我慢できない……」
もう少しだけ、この距離にいたい。その感情が、理性を静かに押しのけていった。
抱きしめたまま、かのんちゃんの耳元に顔を寄せる。首筋に触れるほど近づくと、かのんちゃんが小さく身じろぎした。その反応が、さらに私の理性を薄くしていく。
「……かわいい」
囁きながら、耳の縁にそっと唇を触れさせる。
その瞬間、かのんちゃんの身体がびくりと震え、両手が私の制服の裾をきゅっと握った。
「……宮下、さん……っ……」
名前を呼ばれる声が、震えて熱を帯びる。
柔らかく押し合い、そこから伝わる熱が胸の奥まで落ちていく。
(……そろそろ、かもしれない)
胸と胸が私の制服ごしに密着し、形を変えながら押し合う。わずかに動くたび、互いの柔らかさが擦れ、息が浅くなっていく。抱きしめる腕に力が入り、かのんちゃんの背中を引き寄せる。ふたりの輪郭がひとつに溶け合うような錯覚すら覚える。
(……まだ、仕事中なのに……)
互いの吐息が絡み合ったまま、ほんの数センチの距離で視線がぶつかる。腕の中にある体温を手放したくなくて、指先に力が残った。
けれど、その指の間でくすぶるように揺れるメジャーの感触が、現実を静かに呼び戻す。
「……ごめん、続き、測らないと」
名残惜しさを胸の奥に押し込み、ゆっくり唇を離す。腕を緩めると、かのんちゃんは頬を赤く染め、視線を落としていた。
もう一度、メジャーを胸の下へ滑らせ、背中に回す。
さっきまでの熱が残っているのか、肌がわずかに汗ばんでいて、布越しにも温かい。
「……はい、動かないで」
息を整えながら、数値を確認する。
白くすべすべの肌の上を、メジャーがぴたりと走る。胸の下の丸みに沿うようにきれいなラインを描き、そのまま端を指で摘まむ。
「……アンダー、70。今つけてるブラのサイズ、何カップ?」
「……K、です」
視線が、思わず胸元へ吸い寄せられる。
布越しでもわかる量感。自然に、柔らかく盛り上がったふくらみ。それは、私が作ってきた胸とはまるで違う、確かな重みと存在感があった。
その後も、ウエストとヒップを測っていく。
どれも驚くほど整っていて、女性らしいメリハリを強調していた。
「……本当に、きれいな身体だね。全然恥ずかしくないよ。すごく……綺麗」
「ありがとうございます……少しだけ、気が楽になりました」
「うん。もっと……見せてくれてもいいくらい」
ぽつりと漏らしたその言葉に、かのんちゃんは瞬きを繰り返した。戸惑いながらも、やがて、ふわりと微笑む。
その笑顔が、私の胸をまた、きゅっと締めつけた。この制服が仕立て上がるとき、誰よりも先に見たいと思ってしまった。
採寸を終えたはるなは、メモ帳に視線を落とす。
──B105(K70)、W62、H85──
ため息がこぼれそうになるのをこらえ、そっとメモ帳をしまう。
「おつかれさま、かのんちゃん」
「それでね、制服のことなんだけど……」
「もし普通のサイズだったら、明日すぐに準備できるんだけど、かのんちゃんのサイズに合うきちんとした制服は、特注になるから、一週間くらいかかっちゃう」
「じゃあ……それまで、私だけ私服で……?」
「うん。オフィスカジュアルで。なるべく浮かないように、落ち着いた色合いでお願いできるかな」
「……はい。わかりました」
小さく頷きながらも、かのんちゃんの目は伏せられていた。その声に、ほんの少し、影が落ちていた。
(……やっぱり、気になるよね。ひとりだけ制服じゃないなんて)
そっとかのんちゃんの肩に手を添えた。