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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕の彼氏は

ボーイズラブです。あらすじ書くのが下手なので、是非本文を読んで下さい。

「ふざけんなっ!」

バンッ!


びっ、、、くりした、、、。


振り返ると、めっちゃ可愛い男子がキレていた。

ほんと、可愛い顔してる。

足元に鞄が落ちてるから、叩きつけたのかな?

彼はおもむろに拾って、こっちに歩いて来た。

「見てんじゃねーよっ」

意外と口が悪かった。


 そして、喧嘩の相手はこれまたびっくりするくらい背が高いロン毛、イケメン。まぁ、僕の世界には関係ない人種が二人いた訳です、、、

 

 で、何が嫌かって、ロン毛イケメンの方が同じ車両に乗って来た。、、、そして、広い広い車両の中、わざわざ僕の隣に座って来るってどうゆう事???


 彼は、座席にかなり浅目に座っていた。長い足が通路に伸びてて、めちゃ邪魔。周りの女子がヒソヒソしてるけど、アレって好意的なヒソヒソだよね。

 彼は、爪をいじりながら

「さっきは悪かったね、びっくりしたでしょ」

と言って来た。

「???」

「アイツに何か言われた?」

「あぁ、はい」

彼は、ズボンのポケットから飴を出すと

「お詫び」

と言ってくれた。しかも、梅味。なかなか渋いな。好きだけど。

「ありがとうございます」

「毒入り」

「、、、、、?!」

「冗談。でも、知らない人から食べ物もらったら気を付けた方がいいよ」

そう言って一度座り直すと、今、丁度開いたドアから降りて行った。

(あぁ、そっか、普通に座ったらデカいから座高下げてくれたんだ。)

なんて、関心して見てたら、降りたホームでナンパされてた、、、可愛い男子に。


*****



「ねぇ」

後ろから声を掛けられた。振り向くと昨日の、口が悪いけど可愛い男子。最近僕の周りの顔面偏差値、高めなんだけど、、、。

「川端の知り合い?」

「川端?」

「昨日のデカいヤツ。俺の彼氏」

「いや、初めましてだったけど、、、」

「ふ〜ん、電車で隣に座ってたから、また浮気かと思った」

「また、、、」

「名前は?」

「三上」(あ、言っちゃった)

「ふ〜ん、覚えたから、嘘だったら、、、わかるよな」



*****



ドカッと隣りに座ったのは、川端くん。

「毒、大丈夫だった?」

ぶふっ!

「汚な、、、」

「ごめんなさい」

「彼氏さん」

「、、、どの?」

「どの?」 

「あ〜、たくさんいるから」

(オモテになるんですね) 

「昨日の可愛い人」

川端くんはちょっと考える様に視線を上げる。

「みんな可愛いけど」

「昨日、鞄叩きつけてた」

「叶」

「叶くん」

あ、次の駅、、、。

昨日この駅で降りた川端くん。

「あれ?今日は降りないんですか?」

「俺、終着駅だから」

「え、昨日」

「初めて会った人と最後まで一緒だと嫌じゃない?」

(なるほど、それで降りたんだ。)

「降りて速攻ナンパされるとは、、、」

「見てたんだ」

「見えました」

「で、叶が何?」

「浮気心配してましたよ」

「大丈夫、俺の全部本気だから」

(、、、叶くん、君にはもっと良い人がいると思う)




そして無言になる二人、、、




「じゃ、僕、ここなんで」

と言って、終着駅3つ前で降りた。



*****



「三上」

振り向いたら叶くん

「嘘ついたな」

げっ。怒ってる?

「ちょっと来い」

叶くん、可愛い顔が台無しだよ、、、


僕はファストフード店に連れて行かれた。

「お前が奢れよ」

「なんで?」

「嘘ついたら覚えとけって言っただろ」

「え、僕、小銭しか無いよ」

「チっ」

チって舌打ちされた、、、。可愛い顔してるのに、、、。



「昨日も一緒に帰ってただろ」

「見てたなら声掛ければ良かったのに、、、」 

「電車走ってたから」

「そっか」

「川端と何話したの?」

「君が浮気を心配してる話」

「川端は何て?」

「全部本気だから大丈夫って」

「そっか、、、」 

叶くんは僕の奢ったジュースを飲んだ。あれ?僕、嘘ついてないのに、奢らされてる、、、。

「川端はさ、本当にモテるんだよ。今も7〜8人付き合ってるヤツがいる。男も女もね」

「げっ」

「げっ、って、、、ひどいな」

と言いながら川端くんが隣に座った。

「げげっ」

「川端、俺の彼氏なんだからこっちだろ」

と言って、叶くんは隣の椅子を引く。

「こっちの方が、叶の顔が見える」

叶くんは明らかにムッとしている。

「川端、何食うの?」

当たり前の様に叶くんが聞く。

「じゃあ、いつもの」

いつもので、通じる程仲が良いんだ。

「わかった」

そう言って叶くんが買いに行く。


「二人は何してるの?」

川端くんに聞かれて、時が止まった。そう言えば何で二人でこんな所にいるんだっけ?

「叶にたかられた?」

「まぁ、ジュース一杯だけ、、、」 

「叶は可愛い顔して、口が悪いからな」

「好きなんですね」

「好き?叶に好かれてはいるけど、俺は別に好きって訳じゃないよ」

「叶に付き合ってって言われたから、付き合ってる

だけ。こーゆー所の金も全部出してくれるし」

「俺の事、好きじゃねーのかよ」

叶くんは、ハンバーガーのセットをテーブルに置くと、自分のリュックを掴んだ。

「サイテー」

と言って帰って行った。

「いいの?大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫」

と言って、川端くんは叶くんが買ったハンバーガーを食べた。

僕は何を言ったら良いのかわからなくて、黙ってジュースを飲んだ。川端くんは、ポテトを僕の方に寄せて

「食いな」

と言う。叶くんのお金で買ったポテトだ。


 何となく流れで一緒に帰る事になったけど、何を話したら良いのか分からず、気まずいままだった。 駅の改札に叶くんがいて、僕は川端くんを見た。川端くんも叶くんに気づいたはずなのに、声を掛けない。叶くんは川端くんを見つめて、改札の中に入るのを見てから方向転換した。川端くんが携帯を見る。

多分、叶くんからかな?と思いつつ階段を降り始めた。



*****



「昨日、あの後川端と別れた」

叶くんはポテトを食べながら言った。やっぱり、あれは叶くんからだったんだ。叶くんのポテトを見ながら、昨日食べたポテトの事を思い出し、ポテト代払った方がいいか悩んだ。、、、でも、小銭しか無いから気づかなかった事にする。それに、僕もジュース奢ったし、、、。

「聞いてる?」

「聞いてます」

「川端、マジでサイテー」

「そりゃあ、俺から告白したよ?一目惚れだったし、カッコいいから付き合いたかったんだもん。でもさ、だからって「俺、他にも付き合ってる子5人位いるし、別れる気は無いよ」って言うか?」

川端、マジでサイテー、、、と心の中で呟いた。

「アイツさ、一緒に飯食っても絶対金払わないの」

「金無いの?」(僕みたいに)

「んな訳あるか、アイツ、ちゃんとバイトしてるわっ!」

(ごめん、僕、お小遣い派だわ)

「一度川端に、「たまには奢ってよ」って冗談で言ったら「なんで?俺の時間拘束してるの、叶でしょ?」って言われて、悔しいから意地で毎回奢ってた」

「、、、大変だったね」

叶くんはフッと笑った。

「良いんだよ、他の彼氏もみんな奢らされてる。俺だけじゃねーから」

川端くん、サイテーだな。

「ちなみに、彼女も奢らされてる」

川端くん、、、メンタル強すぎ。

「アイツ、サイテーだけどカッコいいからさ、やっばり好きなんだよね」

「顔が」

あ、、、。つい、口が。

ふはっ!と叶くんが笑った。

「そうそう、顔が!顔が大好き!アイツ、カッコいいじゃん」

「、、、」

「でも、それだけじゃなかったよ。優しいし、俺にもちゃんと気を使ってくれる時あった。イヤな事あった時は一緒にいてくれたし」

「、、、」

「意地はって別れるって言ったけど、本当は別れたく無い。浮気はイヤだけど、それ以上に川端が好きなんだ」

「また、付き合ってって言えばいいじゃん」

「、、、えええぇ〜」

「だって、川端くん「付き合ってって言われたから付き合ってる」って言ってたから」

「、、、うぅ〜ん、、」

「付き合いたいんでしょ?」

「うん」


川端くんは叶くんが送った

「別れる」

に既読して無かった。まあ、見てはいるだろうけど。叶くんはその後に

「付き合って」

と送って、二人で返事が来るのを待った。川端くんから

「どこに?」

って返事が来て、二人で爆笑した。叶くんは笑いながら、嬉しそうだった。


 叶くんと駅に向かっていたら、改札に川端くんがいた。叶くんと川端くんはフツーに合流して改札を通って行った。僕は少し後ろを歩いた。可愛い叶くんと、背が高いロン毛、イケメンの川端くんはとてもお似合いだった。

 階段を降りてる途中で、叶くんと川端くんを睨み付けてる女子に気付いた。

「三上、電車来た!」

叶くんは可愛いくせに声がデカい。僕は階段を走って降りた。

「またな」

と叶くんが言うから

「じゃあね」

と僕が言う。いつの間にか友達みたいになっていた。


 そう言えば、さっきの女子高生、、、。ああ、同じ車両に乗ってる。目的は川端くんの方か、、、。川端くんの周りには可愛い子が多い。彼女はサラサラの髪を束ねて、背筋がピンと伸びてて人目を引く。川端くんはと言えば、僕の隣で寝ている。しかも僕に寄り掛かって。当然長い足が通路にはみ出て邪魔そうだった。

 女子高生は特にこちらを見る事も無く、外を眺めていた。終着の4つ前で川端くんの手をトントン叩く

「次で降りるから」

と言って川端くんを起こす。駅に着いて僕が立ち上がると川端くんも立ち上がる

「川端くんは最後まででしょ?」

と言うと

「次で降りるって言うから、どこか行くのかと思った、、、」

川端くんは意外と天然なの?

「じゃあね」

と言って電車を降りた。何と無く、あの女子高生が気になって振り返ったら、川端くんの方に近づいて行く。川端くんはと言うと、彼女に手を振っていた。知り合いだったんだ。



*****



「彼女じゃね?」

「彼女?」

「何人かいる内の一人」

へぇ〜。僕は最近叶くんと過ごす時間が多い。待ち伏せされてるのかな?

「俺達、暗黙のルールがあってさ、川端が一人の時じゃないと話し掛けちゃいけないの」

「え〜」

「1番最初に川端から出された条件だから」

「こわっ」

「トラブル回避の為じゃない?付き合う時、他にも付き合ってるヤツいるってわかってて付き合うんだし、それがイヤなら付き合えないって、川端はちゃんと言うよ」

「すごいね」

「まあ、こっちもわかってて付き合ってるから、他の彼氏とか彼女に喧嘩売る事も出来ないし、邪魔する事もしない」

「淋しくないの」

「そりゃあ、淋しいよ。でも、ちゃんと俺の為に時間作ってくれるからさ。あ〜、、、だけど、みんなに本気って言ったのは淋しかったなぁ。俺だけに本気になって欲しい。他に付き合っても良いけど、みんな本気は嫌だな」

「僕には無理だな、、、」

「何が?」

と言って、川端くんが隣に座った。

「川端、こっちでしょ?」

と言って、叶くんが荷物を退ける。

「ん?ここでいいよ」

「川端」

「今日は友達だから。飲み物買って来る、待ってて」

そう言って、川端くんは財布を持って1階に降りて行った。川端くんはコーラだけ買って来た。

「めっずらしーい。川端が財布開くの初めて見た」

「そんなに?」 

「コイツ絶対払わないもん」

「今日は友達だから。友達に奢らせられないじゃん」

「彼女とか彼氏には奢らせるのに?」

フツーに疑問をぶつけてみた。川端くんは、何で知ってるんだって顔をしてから叶くんを見た。

「仕方ないじゃん、俺、何人と付き合ってると思ってんの?今、4人よ」

「意外と少ない」

叶くん。

「8人位いると思った」

僕。

「はあぁ〜」

川端くん。

「4人と付き合って、その子と会う度に金使ってたら破産するじゃん。俺が稼いだ金、全部そーゆーのに消えちゃうんだよ?働いても働いても追いつかないよ。それに誰か1人特別扱いしたら不公平でしょ?みんな同じにしないとトラブルになる。割り勘にしても同じだよ。一人と付き合うよりも時間も金も奪われちゃう」

「奪われちゃうって、、、」

「俺だって、本当は一人でのんびりしたい時とかあるけど、ちょっと休みがあると誰かと会う事になるし、、、」

「誰か一人に絞れないの?」

「う〜ん、それが出来るならこんな事になって無いし、そもそも誰とも付き合ってないと思う」

「じゃあ、何で付き合うんだよっ」

「付き合って欲しい、って言われちゃうから?」

「何で自分の事なのに、疑問形なんだよ」

「ただ好きですって、言われたら「はい、そーですか、ありがとう」で済むんだけど。付き合って下さいって言われたら「はい」意外になんて返事したらいいの?」

「嫌です、とか」

「直球すぎる、、、」

「他に好きな人がいます」

「いないし」

「勉強とバイトが忙しいです」

「あ、それいいかも、、、。次、使ってみる」

「だから、俺とも付き合ってるの?」

「まぁ、そうだね」

「クッソ腹立つ」

可愛い顔してるのに、、、。

「でも、ちゃんと真面目に付き合ってるつもりだよ。相手が傷付く事したくないし、相談事あるなら乗ってあげたいし。イヤな事があったら一緒にいてあげたい。」

「付き合ってるうちに好きになったりしないの?」

「流石に好きじゃなければ付き合えないよ。ただ恋愛の好きじゃない。なった事もないな。人間的に好き、みたいな」

「じゃあ、俺のどこが人間的に好きな訳?」

「めっちゃくちゃ可愛い顔してるのに、口が悪い所」

ぶはっ!

「わかる!」

「三上」

「後、自分の感情に素直」

叶くんはちょっと考えていた。

「ま、それでもいいか」



*****



 駅のホームで叶くんと別れた。最近このパターン多いな、と思いながら川端くんと電車に乗る。端の席に二人で座ると川端くんはすぐに寝た。僕に寄り掛かって。勉強とバイトと4人の恋人と付き合っていたら、そりゃ疲れてるか、、、。そう思いながら僕もウトウトして来た。

「三上、次」

ほえ、、、と思い目を覚ますとイケメン。

「イケメンだ、、、」

あ、声に出ちゃった。川端くんは顔を真っ赤にした。

「三上、やめろ、、、」

と顔を隠す。ドアが開く音がして、僕は慌てて立ち上がり 

「川端くんまたね!」

と言って電車を降りた。



*****



 三上にイケメンと呟かれてから、自分がおかしい事に気がついた。いつもいつも三上の事を考えている。困ったな。



*****



「ねぇ、聞いてる?」

「ごめん、何だっけ?」

聞いてはいたけど、頭に入らない。一つ年上の彼女

「あのさ、今度の週末、1日デートしたい」

「あ〜、ごめん。バイト入っちゃってる」

「両方とも?」

「両方とも」

「両方とも1日?」

「両方とも1日」

「そっか、残念」

「ごめん」

「次、いつ会えるかな?」

「試験前だし、その後は金貯めたいからバイト増やしたいんだ」

「そっか、、、残念」

(ごめん、本当は何となく会いたくないんだ)

「川端くん、本命出来た?」

「本命?」

「本気で好きな人」

「う〜ん」

(そーゆうんじゃないんだよなぁ〜)


 それきり、彼女とは会わなくなった。一つ年上で、受験の夏を迎えるから、勉強に専念するのかもな。これで良かったと思う。


 もう一人付き合っていた人は、知らない間に新しい彼氏が出来ていた。街中でデートしているのを見掛けた。彼女は目が合うと申し訳なさそうに、「ごめんね」と言った。離れていたから聞こえなかったし、彼女も声には出していなかったと思う。彼氏にバレない様にこっそり謝った。薬指に細い指輪がはまっていて、俺は自分の薬指を指して「おめでとう」と囁いた。彼女は「ありがとう」と言って彼氏と腕を組んだ。



*****



 試験期間中で朝の電車を3本早くした。乗った車両で川端くんが、イヤホンをして英語の勉強をしていた。知らんぷりして隣に座り、めっちゃ席を詰めてみた。川端くんは、他にもたくさん席があるのに何で横なんだよ!って感じでこっちを見た。

「おはよう」

「三上っ!」

「そんなに驚く?」

「いや、だって、こんなに席空いてるのに、やけに近くに座ってくるヤツだなって思って、、、」

「びっくりした?」

「びっくりした」

「いつもこの時間なの?」

「コンビニでバイトしてから来るからさ。早いと電車も空いてるし、座って勉強出来るだろ?だから」

「えらいなぁ、僕は試験始まるから朝自習しようと思って」

そして、二人は無言で勉強に集中した。



*****



 学校の自習室は朝の7時から使えて、夕方は6時半まで使える。僕は家ではあんまり集中出来ないから、学校の自習室を使っている。最近は朝、川端くんと一緒の電車に乗り、帰りは一人で帰る。川端くんはいつも英語を勉強していて、僕はまぁ、色々、古文漢文、歴史とか、、、。意外とお互い勉強に集中していて、駅に着くとフツーに降りる。改札で「またね」位は言うけど、会話はそれだけ。



 やっと試験が終わって、今日は早目に帰ろうと駅に向かうと、川端くんを見掛けた。帰りに会うのは久しぶりで、ついつい近寄ってしまった。

 すると、知らない男子が川端くんと僕の間に割り込んで、さっと腕を組んだ。

「今日で試験終わりでしょ?」

なんて言いながら、僕と川端くんを引き離した、、、様な気がする。

 あれが付き合っている4人の内の一人かぁ〜と思いながら、ホームで電車を待つ。川端くん達は3両位前まで移動して、イチャイチャしていた。←イチャイチャは僕の妄想だけど。

「うぃ〜っす。久しぶり〜」

と死にそうな叶くんに声を掛けられた。

「疲れてるね」

と言ったら

「今日からテスト」

「え、、、1日目からそんなに疲れてて大丈夫なの?」 

「大丈夫では無い、、、」

僕は心配になった。

「僕、試験終わったから、どこかで勉強する?」

と聞くと

「マジで?」

と喰い気味に来た。どこに行くか迷った挙句、面倒くさいのでホームの椅子に座って一問一答をやった。

「三上、悪いな。助かったよ」

「明日からは通常授業に戻るから、付き合えないけどね」

「駅前の図書館で勉強して待ってるから、来てくれない?」

「まぁ、いいけど」

「三上、ありがとう〜」


*****



 今日は久しぶりに三上と帰れると思ったのに、コイツに捕まってしまった。

「川端くんは試験終わったの?僕は明日までなんだ。久しぶりに川端くんに会えて嬉しかった」

前は特に感じなかったのに、急にコイツの事が面倒に感じる。三上は電車の中でもあんまり喋らない。朝は勉強してるし、帰りの電車では俺が寝てるから話し掛ける事もしない。なんなら、三上も寝てるし。

「川端くん?機嫌悪い?」

「イヤ、試験でちょっと疲れたかな?」

「川端くんは大学どこ目指すの?オープンキャンパスとか一緒に行かない?」

「夏休みはちょっとバイト増やそうと思って」

「え?大丈夫?今年はたくさん大学見に行った方がいいんじゃない?」 

「う〜ん、今年の夏は稼がないと、来年はバイトどころじゃないから」

「そっか、また連絡するね」

俺は返事が出来なくて、俯いてしまった。

「どうしたの?バイトあるんでしょ?」

「あ、、、のさ。俺、勉強もあるし、バイトして金貯めたいから、その、別れたいんだけど、、、」

「え?」

初めて誰かに別れを宣言した、ウソをついてまで

、、、。

「イヤだよ」

彼は言った。

「僕は川端くんが好きだから、別れたくないよ」

「ごめん」

「今までだって、デートとか遠慮してたし、川端くんの邪魔しない様にしてたのに。でも、夏は一緒にオープンキャンパス行こうって考えてたんだ。どうして急に、、、」

「ごめん」

彼はポロポロ涙を流した。

「本当にごめん」

「イヤだ、、、絶対に別れたく無いよ」


 彼の事をどうしたら良いか分からず、バイト中も上の空で、失敗続きだった。朝のコンビニのバイトは忙しすぎて、正直それ所じゃない。三上とはもう朝の電車では会えないし、帰りの電車を楽しみにする事にした。



*****



 駅前の図書館に行こうとして、角を曲がったら川端くんが走って来た。

「三上、どこ行くの?」

「図書館」

「試験終わったんでしょ?」

「叶くんの勉強見に行くんだ」

川端くんは少し考えて

「俺も行くよ」

と言った。二人で並んで歩いて行く。

「昨日、三上と一緒に帰れると思ったのに、邪魔が入って残念だった」

「邪魔って、彼氏でしょ?」

「別れた」

「え?」

「あー、違う、別れてる途中」

「途中って、、、」

苦笑いしか出ない。

 図書館に入り、叶くんを探す。叶くんは自習席で静かに寝ていた。


 叶くんの肩を叩き、そっと起こす。入り口付近を指差し、外に出ようと誘うと叶くんは荷物を片付け始めた。僕と川端くんが先に自習室を出て待っていると、叶くんがリュックを背負ってやって来た。

「図書館静かで眠くなっちゃってさぁ〜」

3人でどこで勉強するか考えていたら駅に着いてしまった。川端くんはそのままバイトに行くらしく、今日もホームのベンチで一問一答をやる事にした。

 3人でホームに降りる。川端くんはコーラとオレンジジュースを買って僕等にくれた。叶くんはコーラで、僕はオレンジジュース。いつも飲んでるヤツだ。こーゆう所が川端くんの好かれる所かな?



*****



 俺はバイトがあるから帰らないといけない。今日程バイトを休みたかった日は無い。三上と叶が二人きりなんて、すごくイヤだ。モヤモヤしながら電車に乗ると、いつもはすぐに寝れるのに全然寝られない。何だか、すごく疲れた感じがしてイライラする。



*****



 今日はバイトが無いから三上に会いたいな、と思って駅まで歩く。叶も昨日試験が終わったし、今日はあの店かな?ファストフード店に入り、2階席を見に行く、2人がいるのを確認して1階に降りる。自分のジュースとポテトを買って階段を上り、2人の席に行く。

「叶、お疲れ」

と言って、三上の隣に座ると叶はいつも通り椅子を引く。

「川端」

「ん?」

と言って笑えば、叶は何も言わずに三上の方を見た。

「お前ら付き合ってんの?」

ゴボッ!

変な音の後、三上が咳込んだ。

「叶くんの発想は斬新だね」

斬新なんだ

「どこをどー見て、僕と川端くんが付き合ってる様に見えたのさ」

「何となく」

俺は2人の会話を黙って聞いていた。三上は俺の事、何とも思ってないのかと思うと、胸がチリリと痛んだ。叶は俺の顔をじっと見て視線を外した。

「ま、どーでもいいけど」


 いつも通り3人で駅に向かう。ホームに降りる階段の上。携帯をチェックしていた僕は、誰かに背中をトンッと押された。先に階段を降りていた川端くんと叶くんにぶつかりそうになり

「どいて!」

と叫んだ。川端くんが僕をとっさに支えて、階段から落ちるのを防いでくれたけど、びっくりした叶くんは足を踏み外して2、3段滑り落ちた。

「アイツ!」

と呟いて、叶くんはダッシュで階段を駆け上がった。良かった、怪我は無かったみたいだ。ホッとしたら腰が抜けて、ズルズルその場に座り込んでしまった。

 階段の真ん中で邪魔になっていたので、川端くんが端まで連れて行ってくれた。僕の手は信じられない程震えていて、自分の手じゃないみたいだった。

「大丈夫?」

と聞かれて、大丈夫と答えようとしたら涙がポロッと溢れた。自分の事なのにびっくりして、指先で涙に触れる。

「何これ?」

「三上、、、」

川端くんが僕をギュッと抱きしめた。

「、、、こ、怖かったあぁぁぁ」

川端くんは僕の肩をポンポンと叩いた。


 叶が追いかけたのは、俺が別れたいと言ったアイツだった。叶がすごい勢いで駆け出したから、喧嘩にでもなるかと思ったけど、通路の端に連れて行き、彼と話し込んでいた。

 彼はメガネを外して、涙を拭きながら謝っているみたいで、叶は怒る事も無く、話しを聞いてやっていた。


 三上が落ち着いたので、2人の元に行こうとした。叶がそれに気付いて、あっちへ行けとジェスチャーをする。俺達は2人で階段を降りて行った。三上が一瞬階段の上で立ち止まったので、かなり怖かったんだなと思った。

 

 ホームの椅子に座っていたら、叶から携帯に連絡が入って来た。

「コイツ、ヤバい」

「もう少し時間掛かる」

「先に帰ってて」

と書いてあったので、三上と次の電車に乗った。


「ごめん、俺の所為だ」

三上は俺の顔を見た。

「アイツ、俺が別れたいと思ってた相手」

「途中の人」

「そう、途中の人」


「アイツに押されたの?」

「わからない、ぶつかっちゃっただけかも知れないし、押されたのかも知れないし」

三上はギュッと手を結んだ。ゆっくりと掌を開いて息を吐く。

「誰も怪我しなくて良かった」

俺の顔を見ながらヘニャリと笑う。本当は怖かったクセに。

「着いたら起こすから、ちょっと寝な。寄っかかって良いから」

と言うと、素直に言う事を聞いて目を閉じた。徐々に三上が重たくなり、本当に寝たんだなと思うと、アイツの事ともう1人別れなければいけない相手を思い出した。自業自得だ。


「で、別れたいの?」

「うん、ごめん」

「まあ、良いけどね。でも、お前に好きな人が出来るなんて意外」

「俺も」

「どこが良いの?」

「わからない、、、。ただ、アイツが俺以外と仲良くしてると腹が立つし、いつもの電車に乗って来ないと不安になる。いつもいつもアイツの事考えてて、アイツが笑うと嬉しくなる」

「恋だね〜。ま、良いんじゃない?俺はまだ、川端の事気に入ってるけど、川端が他に本気なヤツがいるんなら、別れても良いし。もし、うまく行かなかったら戻って来なよ」

彼は大人だった。何か相談したい事があったら連絡してと言って最後のコーヒーを奢ってくれた。俺、サイテーだな。



*****



 いやね、僕も大概だと思うよ。川端くんに抱きしめられただけで、好きになっちゃうんだもん。困ったもんだ。

 でも、僕は知っている。川端くんがサイテーな事を。だから、この気持ちは誰にも知られたくない、、、。特に叶くんには。

 

 それでも今、1番楽しいのは帰りの電車の中。何にもないんだけどね。川端くんは電車に乗るとすぐ寝ちゃうし、僕も結構な確率でウトウトしている。でも、肩が触れているだけで嬉しくて、ホワホワしてくる。話しなんて何にもしないのに、どんどん好きになっちゃうんだ。たまに、川端くんから柑橘系の香水の香りがすると胸がキュンとなるから困る。



*****



 あの日、追いかけた男の名前は山本。何故知っているかと言うと今、横に引っ付いているから。

「叶?」

「叶くん?」

「大丈夫?」

「まぁ、大丈夫と言えば、大丈夫。ダメだと言えば、ダメだな、、、」


 三上が階段から落ちそうになった時、三上にかなり近い位置に男がいた。近すぎる位近い位置で、何より男の表情が気になった。山本が逃げようとするから急いで捕まえて、通路の端に寄る。山本は三上が落ちそうになって、正気に戻ったのか青ざめていた。

「ご、ごめんなさい。どうしよう、僕、ごめんなさい」

軽くパニックになっているみたいで、話しも出来ない感じ。しばらく様子を見て、声を掛けた。

「何であんな事したんだよ」

「川、川端くんが別れるって言うから。最近あの子とばかりいるから。僕、僕、、、別れたくないのに」

あー、川端の彼氏かぁ、、、。

山本はメガネを外して、涙を拭いた。意外と可愛い顔だった。

「お互い大変だな」

「?」

「俺も川端の被害者」

「被害者?」

「俺もアイツと付き合ってんの」

「、、、」

「被害者の会でも作るか」

山本は少し落ち着いて来た。川端達が近づいて来るのが見えて、取り敢えず近寄らない様にあっちへ行けと合図した。川端達がホームに降りて行くのを確認してから話しの続きをした。

「川端の付き合ってる人数知ってて、付き合ってるんだろ?」

「うん」

「お互いやりきれないよな。でも、だからってあんな事したら、お前が傷つくんだぞ」

「うん、そうだね」

「後で絶対後悔するし、あんな事したら川端はもっと離れて行く」

山本はボロボロ涙をこぼした。

「お前が1番わかってるのに、こんな事言われたらイヤだよな」

頭を振って否定する。何だか、自分を見てる様で切なくなった。

「お前の気持ち、わかるよ。俺も川端好きだもん。アイツ、カッコいいもんな」

頭を立てに振り、肯定する。

「でも、サイテーだよな。色んなヤツと付き合って、ホント腹立つわ。お前も辛かっただろ」

山本は顔を上げて、俺の顔をジッと見た。

「名前」

「ん?」

「名前教えて下さい」

「叶だけど」

「叶さん、、、。可愛くて優しくて好き」

「はあっ?!」

「顔、めちゃくちゃ可愛い。僕の気持ち理解してくれるし、、、付き合って下さい」

「イヤイヤイヤっ!川端と付き合ってるんでしょ?俺も川端と付き合ってるんだよ?おかしいよね?」

「川端くんからは別れようって言われました。叶さんが良いです」

「ええええぇー、、、」

訳の分からない展開。取り敢えず川端の携帯に

「コイツ、ヤバい」

「もう少し時間掛かる」

「先に帰ってて」

と入れた。


「で、コイツが離れなくなった、、、」

「あのさ、一つ確認したいんだけど」

川端くんが言った。

「俺と叶、付き合って無いよね?」

「え?」

「え?」

「え?」

「だって、叶から「別れる」って入ってた」

「でも、俺、その後「付き合って」って入れたよな?」

「ん?俺がどこに行きたいか聞いて、返事もらって無いヤツ?それって、そっちの「付き合って」だったの?」

「川端、サイテー」

「川端くん、サイテー」

「、、、川端くん、サ、、、」

山本はそっと口を押さえて、遠慮した。

「だから、川端、俺に奢らせなかったんだ」

「友達にはね、割り勘は有りだけど、奢られたくは無いかな」

「はぁー、何か色々ありすぎて、頭ついていかないや。今日も山本と川端サイテー談議しようっと」

「俺、めっちゃ悪い人になってる、、、」

「何を今更、、、」


 その後、叶くんと山本くんはもう少しゆっくりしていくと言うので、バイトに行く川端くんと僕は先に帰った。



*****



最近、叶くんと会う頻度が落ちている。山本くんと遊んでるのかな?


「よっ」

「叶くん。山本くんは?」

「俺のパートナーが川端より山本になってる」

「何か、微笑ましくって」

2人で駅まで一緒に歩く。

「川端くんの事はもういいの?」

「うーん、まだ好きと言えば好きかな。でも、川端は絶対俺に振り向かないと思ってさ。疲れちゃったのかな?」

「そうなんだ」

ゆっくりゆっくり歩く。僕はちょっとスピードを落とす。

「ああ、そうか。川端が言ってた、人間的に好きって感じ、これの事かな?恋愛とは違うなって思うよ」

叶くんは足元を見ながらしみじみと言った。

「山本くんはどんな子?」

僕は後ろを歩いていた山本くんに気付いていた。そっと山本くんと場所を変わり少し後ろに下がる。

「山本はさ、意外と可愛いよ。一途だし、素直だし、聞き分けも良いし。もうちょっと我儘言っても良いのにって思う時あるよ」

「顔は?」

「可愛い。メガネ取ったら更に可愛い」

「だって、良かったね、山本くん」

「はあっ?」

叶くんは横にいるのが山本くんで、めっちゃビックリしてた。山本くんは嬉しそうに笑ってた。叶くんは真っ赤になって俺を睨み、「チっ」と舌打ちをした。僕は2人を後ろから見て、ちょっと羨ましく思った。



*****



 僕は誰かと付き合った事が無いから、「付き合う」って言う事がわからない。友達と買い物に行ったり、遊びに行くのと何が違うんだろう。そこに恋愛感情があるから、「付き合う」になるのかな?

 僕は川端くんが好きだけど、別に付き合いたいとは思わない。学校の帰りはいつも一緒だし、その時間たくさん話す訳では無いけど、すごく満たされているからだと思う。それに付き合うと、僕がご飯代を出さないといけないので、お小遣いが月5000円の僕には無理だ。


 駅の近くまで来たら、川端くんが知らない男子と話していた。どこかで見た事ある子だな、と思っていたら、前に川端くんをナンパしていた子だった。

僕はそれを見ただけで、川端くんが告白されると思った。川端くんにまた新しい彼氏が出来ると思うと、気分が落ち込みそうでその場から逃げてしまった。

 叶くんも山本くんも可愛い顔をしていた。その男子も女の子みたいに可愛い顔で背も小さかった。川端くんは可愛い子に好かれるらしい。



 今日は川端くんのバイトがある日だから、僕が駅に行かなければ先に帰ると思っていた。川端くんに会いたくなかったから、僕は図書館に行って勉強をして、本屋に行って時間を潰して、更にいつものファストフードのお店に行った。僕はその間ずっと、あの子が川端くんに「付き合って下さい」って言って、川端くんが「はい」って返事をしてるんじゃ無いかと考えたり、僕がもっと可愛ければ良かったのにと考えていた。

 たまに、ファストフード店に叶くんと山本くんがいるから、今日もいるかと思ったのに、いなかった。頑張って時間を潰して7時を過ぎてから駅に行った。

「三上」

川端くんはまだ駅にいた。バイト、大丈夫なのかな?

「今日は遅かったんだな」

「ちょっと、、、ね」

僕の心の中はイヤな事でいっぱいになっていく。

「どこに行ってたんだ?」

「図書館とか、本屋とか、いつものお店とか、、、」

「どうして?」

「うーん、何となく?」

「いつも真っ直ぐ駅に来るじゃ無いか、、、」

「川端くん、バイトは?」

「三上が来ないから休んだ」

「そんな、、、。そんな理由で休んじゃダメでしょ?」

「バイトに行っても、三上の事気になって仕事にならないよ。休んだ方が良かったんだ」

「三上、、、」

川端くんがちょっとだけ、僕の指先に触る。それだけで僕は涙が出そうになる。川端くんはあの子と付き合うんだろうか。

「叶が、三上が駅から逆方向に歩いて行くの見たって、、、」

頑張って、ふふっと笑って

「図書館に行く時かも」

と答える。

「俺が告白された所、見たんだろ?」

僕はちょっと後ろに下がる。

「見てない」

「叶が見たんじゃ無いかって、、、」

「見てないよ」

「三上?」

川端くんが一歩前に出る。

「僕が見たのは、川端くんが男の子と一緒にいるところで、まだ告白はされてなかったと思うよ」

「俺、三上に嫌われたく無いから、付き合ってる人全員とちゃんと別れた。今日だって、付き合えないって断った」

昨日までは一緒に帰れるだけで幸せだったのに、どうして突然、何もかもが変わってしまったんだろう。全然幸せじゃない、、、心の中が不安でザワザワしてこの場から逃げたくてたまらない。

「三上?俺、三上の事好きなんだけど、、、」

川端くんはもう一歩近づいて、僕の指先に川端くんの指先がチョンと触る。僕がみんなみたいに可愛かったら、もう少し自信が持てたかな?そしたら、今すぐ「僕も好きだよ」って言えるのに。僕の言葉は喉の奥から出て来ない。

「人間的に?」

「違う、ちゃんと恋愛感情として好き」

「でも、僕、みんなみたいに可愛くない」

「可愛いよ」

「お小遣い少ないから毎回ご馳走とか出来ないよ?」

川端くんが僕の手を握りながら、困った様な顔をする。

「告白してるの、俺の方だよ?」

ぐいっと僕を引き寄せる。

「俺と付き合ってくれない?」

川端くんは僕の両手をそっと握って、僕の頭に額をくっつけてくる。

「え、、、っと、何て答えたらいいの?」

「良いよって言って」

「い、良いよ?」

「疑問形なの、、、?」

ちょっと寂しそうな顔をする。

「だって、付き合った事無いから、わからないよ」

「俺、初彼氏なんだ」

「あのさ、川端くん。付き合うって何?」

「付き合うって言うのはさ、、、」

と言って、川端くんは僕を抱きしめた。



*****



 川端くんは付き合っていた全員と別れたって言っていたけど、あの子とも別れたのかな?自販機の横から、めっちゃこっちを睨んでくるんだけど、、、。僕はこーゆう時どうしたら良いかわからなくて、固まってしまった。どー見たって彼女の方が可愛いし、僕に優位な所が見当たらない。川端くんは僕が固まっているのに気付いて、自販機の方を見る。

「奈帆!」

「お兄ちゃん?」

奈帆ちゃんは、名前を呼ばれるとパタパタと走って来た。

「はあ〜。お兄ちゃんかなぁ?って思ったんだけど、自信無くって!」

「三上、俺の妹の奈帆。高校1年生」

「初めまして、奈帆です」

奈帆ちゃんはメガネを掛けないと見えない程目が悪いのに、おしゃれをしたいからメガネを掛けないそうで、、、。睨まれてるんじゃなかった、、、。良かったぁ〜、、!

「奈帆、俺の彼氏の三上くん」

「え〜、お兄ちゃんが付き合ってる人、紹介してくれるの初めて、末永くよろしくお願いします!」



*****



 川端くんと付き合い始めてから、僕は電車を3本早くした。いつもの電車に乗ると川端くんが乗っている。

「おはよう」

「おはよう」

挨拶をして、隣に座ると川端くんは右耳のイヤホンを貸してくれる。膝のリュックで見えない様にして、手を繋ぐ。イヤホンから川端くんが好きな曲が流れてくる。電車が3本早いだけで、人が少ない。朝日が新しくてキラキラしている。僕は何だか幸せで川端くんと付き合って良かったなぁって思う。

川端くんが

「ね、連絡先交換しよ」

と言った。

川端くんと三上くんはまだ、連絡先交換してませんでした。


タイトル考えるのも苦手です

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