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第2話   私的な秘密

 「私たちは、いじめ撲滅グループだよ。ということで、会員番号5番ね。竹中さん。」


 何かよくわからないままに会員になってしまった私。まぁ別にさ、この人たち優しそうだからいいけどさ、裏では入会金とか言って金取ろうとするんじゃないの?なんて思った人もいるだろうから、明言しておく。入会金、年会費、その他諸々無料である。但し、グループ全員が友達、が規約らしい。

 

 「いや、あの、私、友達作らないようにしてるんだけど・・・・・」


 「じゃ、自己紹介。私、石田菜々いしだななこ。誕生日は2月3日。あ、リーダーだから。」

 「私、瀬戸英理香せとえりか。誕生日は、8月6日。」

 「私!日比谷赤音ひびやあかね。誕生日は、1月17日だっよ!」

 「・・・えと、あたしは、未来初音みらいはつね。誕生日は、8月31日・・・です。」


 私の言葉が聞こえなかったらしく、4人が4人、順番に、1度に自己紹介された。名前の後に誕生日をつける理由がいまいち分からなかったけど、まぁ、そういうルールなんだろうな。世の中にはローカルルール?というか、マイナールール?ってものが無数に存在するから、きっとこれもその中の1つなんだろうと私は納得。


 長身のリーダー石田さん。髪が長い瀬戸さん。色々活発な日比谷さん。控えめの未来さん。

 皆個性的過ぎて、一度覚えたら二度と忘れそうにないキャラである。実は、私は対人記憶力が著しく低いので、その辺はほっとしているところ。っていうかあれ?私、もうこのグループ入る気満々?っていうかもう決定事項?WHY?何故?

 色んなことを考えすぎて、頭がおかしくなりそうだ。それに、4人に囲まれて威圧されているようで、自然、動悸が激しくなる・・・私は対人恐怖症なんだ・・・。そんなに近づいたら・・・・・・


 「竹中さん、自己紹介して。」

 

 リーダー石田さんが笑顔を私に向ける。純粋な笑顔。何年ぶりだか分からない。ずっといじめられてきた私にとって、こんな笑顔は最後にいつ見たか思いだせない。それくらい、貴重なもの。純粋。

 それは、石田さんの人柄、純粋さに由来するものかもしれない。


 「・・・えっと、竹中翼たけなかつばさ。誕生日は、2月14日。」


 皆のマネをして、きっちり誕生日をつけておいた私。これでよかったのかな?


 「うん、ありがとう。ごめんね。いきなり釣れてきて・・・じゃない・・・連れてきて。混乱しないでね。今からちょっと説明するから。」


 石田さんが行った説明とは・・・

 このグループがそういうものか。どういう活動をしてるのか。私をグループに入れた理由。

他の人たちのグループに入った理由。その他etc・・・

 勿論、これだけの量。ちょっとの説明で済むはずは無く、私も途中で質問を挟んだりしてたから、結局20分ほど時間を消費してしまったんだ。

 けど、しかし、20分の説明で、私はほぼだいたいの状況を把握することができたのであった。


 読者サービスなのだ。


 現状把握。

・このグループは、いじめ撲滅を目的とするグループである。

・基本的には、いじめの発見、処理(と言うらしい)被害者の保護などを行う。

・私は、被害者として、グループに参加する結果に。参加することでいじめから保護するというしくみらしい。

・その他、発足は石田さんで、他の3人は元被害者。(グループ内では同士ということらしい)

 


 おおまかにはそんなところ。


 「何か、すごいね。こんなグループがあったなんて知らなかったよ・・・」

 

 そんな正義の味方が、まだ世の中に存在してることが、不思議に思えた。

 天然記念物並みの貴重さだよ。


 「竹中さんって、1年のころからいじめられてたの・・・?」


 これは、髪が長い瀬戸さん。


 「うん。」


 「いじめられる理由・・・というか、原因みたいなのは・・・?」

 「それは・・・・・私が気に入らなかったってことじゃないかな・・・・・」 

 

 噛みそうになりながら答える。こっちは久しぶりに同級生と話すんだ。それに、対人恐怖症のこともある。そんな私に対して、瀬戸さんは慎重に、ゆっくり喋ってくれた。


 「私、友達・・・・・作らないようにしてるから・・・・・」

 「何でっ!?」

 

 今度は隣の、えっと、活発な日比谷さん。

 

 「赤音!ちょっと黙ってて!」

  

 と、怒鳴る石田さん。あんたは本当にKYなんだからっ!と続けるところが恐ろしい。

 同士にKYって・・・・・


 「そーだよ~私はKY娘だよ~空気読めないオナゴですよ~だっ」


 日比谷さんは特に気にしてない風な様子だった。多分普段から言われてるんだろうと思う。いや、失礼かもしれないけど。


 「えと、何で友達、作らないようにしてるの?」


 瀬戸さんが話を戻す。さっきからよく落ち着いた人だって思う。何か大人っぽい。


 「何でって・・・それは・・・・・」

 「それは・・・・・・?」



 私は。

 一つの言葉を、口にする。


 「秘密・・・・・だから・・・です・・・」



 

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