幕間2話 自動人形娘ハルカ誕生
聖女神歴317年3月24日、アキバ島の大魔導士ヒロト・フォン・ルドームの屋敷兼研究所では、一つの新しい命が創り出されいようとしていた。
ナンノ王国の辺境地の浮かぶアキバ島は、魔動力リキシャで1時間もあれば、一周出来る小島である。
外周山に囲まれたカルデラの内部には、灰色の無骨な建物が、建てられている。
良く言えば実質堅固な屋敷の主こそ、灰色の魔術師とも呼ばれる大魔導士ヒロト・フォン・ルドームその人である。
アキバ島と屋敷兼研究所には、命ある者は彼しかいない。
彼の身の回りを世話をする、チタン合金・スケルトンゴーレムが数体居るが、魔力で動き自立式の人工知性を備えている彼らは、命ある者に数える必要は無いだろう。
照明水晶に照らされた実験室の寝台には、金髪碧眼の美少女が全裸で仰向けで寝かされている。
彼女は、大魔導士ヒロト・フォン・ルドームの魔術科学により新たに命を吹き込まれた自動人形である。
彼女の紺碧の瞳は、虚つに宙を見つめている。
卓越した魔術科学と多数の並列宇宙で得た知識で、神の領域へ足を踏み入れた灰色の魔術師でも不可能な事がある。
新たに命ある者は創り事は出来ても心ある者、自意識をもつ者は創り出す事は出来ないのである。
本能に従って生きる昆虫や魚類等の下等なら、問題はないのだが。
人間と同等の、又は其れ以上に、高度な知性の身体を創り出せても心は迄は、創り出せないのである。
女神の様に美しい金髪碧眼の美貌には、心が意識体が宿っていないのである。
美しき自動人形に意思体を宿す為に、大魔導士ヒロとは、女神りりすより、科学も魔術も超越した力で幾多の並列宇宙を超えて異世界より1人の女性の意思体を呼び寄せた。
心を待たぬ自動人形に、女の意識体が移植されていく。
虚つな自動人形の瞳に、知性の光が宿つた。
人間を凌駕する体力と知性を兼ね備えた新しい人工生命体、自動人形が誕栖生した瞬間であった。
平栖19年9月某日に、夜間バスの事故で死亡した女の意思体は、自動人形に移植される事で異世界へ転生する事になる。
自動人形は、異世界『平栖19年の日本』で事故死した、22歳の高校教師の名前に、因み『ハルカ』と名付けられた。
余談であるが、前の彼女は歴史マニアで、高校では歴史を教えていた。
大魔導士ヒロト以外に知性ある者が、居なかったアキバ島に、新たに知性ある者が加わったのである。
自動人形娘ハルカは、灰色の魔術師の秘書兼メイドして活躍する事になる。
後には、聖女神教の名誉教皇も兼ねる大魔導師ヒロト・フォン・ルドームが設立するアキバ修道院の修道院長代理も務める事になる。
彼女の誕生を切っ掛けにの灰色の魔術師は、己の眷属を増やして行く事になる。
己が理想を追求して美貌と多様な姿を兼ね備えた美少女人造人間を創り出していく。
そして、アキバ島は人外の魑魅魍魎が、跋扈する人外魔境へと変貌を遂げて行く事になるのである。・・・
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