第六話 初めての戦闘 2
ごめんなさい!
前回と同じ話を更新していたようなので、すぐに取り返させていただきました!
ちょっと今日体調悪くて更新してすぐに寝たのが仇になったようです…
イツラの森に入ったレインであるが、中は絶景の一言に尽きた。
日本にいた時はレインが住んでいた所が都会ということもあって、レインは自然に触れる機会などほとんどなかったのでこのイツラの森はレインとしてもすごく新鮮なものだった。
「でも、この中にかなりの数魔物がいるんだよな。さっきマップで確認してみたけどかなり広かったし中にはいまの俺では太刀打ちできない魔物も大量にいる。気を抜かないように頑張らないとな」
レインはそう言って警戒を少し強める。
レインの視界内に冒険者はいなかったが、ゴブリンは数匹発見できたので静かに音を消しながら、一撃で倒せる圏内まで近づいて行く。
ゴブリンはまだ気がついていないようでレインの目視で2匹のゴブリンは、何やらレインにはわからない言語で話をしていた。それを見ると、レインも無視して奥に進みたい欲が良心から湧き出てきてしまうが、目の前の2匹を倒すと依頼を達成できるので、レインは心を無にして射程圏内に入ったゴブリン2匹を勢いに乗って、一気に倒し切る。
「ふぅ、これで依頼分は達成できた。あとは少しレベルを上げるために奥まで行ってみるか。さっきの2匹ではレベル上がらなかったしもう少し頑張りたいところだな」
依頼分の5匹は達成したレインではあったが折角片道2時間までかけてこのイツラの森まできたので、もう少し奥でレベル上げをしようとレインはどんどんと森の奥に入って行く。
正直今日のところは1度メイルの街に戻って情報を集めるのも、レインとしては悪くなかったのだがレインは目の前の好奇心が勝ってしまった。
このイツラの森は中央に行くほど強い魔物との遭遇率が上がり、Aランク冒険者でも中央の攻略は困難を極めるらしい。その分、中央に行くほど、ほとんど人の手入れがされていないため、レアな薬草や素材などが多く生えているそうだ。
レインもまだ攻略できるとは思っていないが、いつかイツラの森の中央に行きレアな魔物や強力な魔物と戦いたいと少しワクワクしているのであった。
そんなことを考えながらイツラの森の探索を始めて約20分。現在の戦績はというとゴブリン10体と魔物ではないが狼が2匹。あとはレインも知らないウサギの魔物を1匹と、初めての探索にしてはかなり上出来な戦績となっていた。
お陰様でレベルがまた一つ増えたがレインはずっと戻ることなく中央に向かって歩いてきたため、そろそろいまのレインでは敵わない魔物が出てきてもおかしくない頃合いだった。
「なんというか……一気に雰囲気が変わったな」
今までは手加減してやっていたんだという森の意思なのか、レインがとある境界線を超えたあたりから一気に雰囲気が代わり、さっきまでの幻想的な風景がより一層増していた。
ここまでレインは二十数分この森の探索を行ってきて、数人の冒険者が軽傷を負いながら森を出て行くのを確認していたが、それも納得させられてしまうほどのものがこの森にはあった。
これでまだ三分の一も進んでいないのだから中央というのはやはりかなり厳しいところなのだろう。いまレインでは瞬殺されそうである。
「うん、今日はこの辺までだな。これ以上進むと危ないな……っ!?」
レインが引き上げようと後ろを振り向いた瞬間今までにないくらいの殺気をその身に感じ、レインは一気に警戒を強める。
「狙われてる……? でも一体どこから? 不味いな。もっと早く引き返すべきだったか」
剣を構え警戒しながらレインは緊張を紛らわすように声に出してそう愚痴る。ただ、その顔には冷や汗が数滴流れており、本気でこの状況がまずいことを表していた。
先ほどからずっと向けられている殺気も、いまのレインではどこから飛ばされているものなのかまで特定できず、ただひたすら剣を構えて警戒することしかできないが、それだけでもレインの神経は、かなりの素早さですり減って行く。
近くに冒険者がいればまだ希望はあるのだが、先ほど見た帰って行く冒険者以外はレインもまだ見ていないため助けもあまり期待できない。
ここで叫んで助けを呼んでも本当に援護に来てくれる保証もないし、しかも新たな魔物をおびき寄せかねない。どちらかというとそちらのリスクが大きすぎるため今は迂闊な行動ができないレインである。
「……⁉︎ 来たか!」
「グルゥ……」
「また知らない魔物だよ……こんな大きい狼なんてGMOにはいなかったんだけどな。しかもやたらと強そうだし……」
レインの目の前に現れたのは全長1メートル半は優にある狼であった。しかも2匹も。レインとしても1匹なら何とか対処できただろうが2匹となるとかなり厳しいものがある。
しかも相手の狼2匹はかなり連携が取れるらしく先ほどからうまいことレインを逃さないように立ち回りながらジリジリとレインとの距離を縮めて来ている。
ただ……
「やるしかない!」
「グルゥ!!!」
ここでただ追い詰められているだけでは活路は見出せない。レインは一度大きく深呼吸をしてから気合いを入れ、大きい狼の1匹に向かって攻撃を仕掛けて行く。
いきなりのことで2匹の狼の対処が少し遅れた今、かなりレインにとっては好機であった。しかし、そうは問屋が卸さない。
「チッ! さっきのゴブリンのようにはいかないみたいだ。本当に厄介だ!」
本当は1匹の狼の首を狙ったのだが寸前のところで斬撃を躱され胴体に少し深めに剣が入るくらいだった。
当然、そのくらいでは致命傷にはならない狼は自分が攻撃されたことに怒りを露わにし、レインに向かって大きく叫び声をあげた。それは2匹目も同じようで、不意を打たれ仲間を傷つけられたことによってさらに警戒心を強め、いつでもレインに飛びつけるようにスタンバイしていた。
「逃げるにしてもいまのステータスでは追いつかれるし……復活アイテムが使用できるかわからない今、死にたくはないんだけどな……」
一応、GMOのガチャで死んでも復活できるアイテムなどがあり、それを使用するとデスペナルティーなく復活できるアイテムが存在した。
だが、この世界でそれが有効なのか進んで試したいとはレインも思わないため、今こうして頑張っているがいざという時の保険は一応用意してあるので問題ないとは言えないが、まだ他の人よりかは安心できる要素を一つだけレインは持っていることになる。
大きい狼と睨み合って既に三分が経過しようとしていた。
レインに傷つけられた方は先ほどからかなりレインに対して怒りを露わにしている。隣の狼もレインに傷つけられた狼ほどではないが、かなり怒っている。具体的にいうと先ほどまではレインを捕食対象にしか見ていなかった狼たちだが今は完全に敵としてレインのことを見ている。
結局敵対するのには違いはないのだが、厄介度はかなり上がっている。
「グル……グルゥ!!!」
「やば……!」
硬直状態にしびれを切らしたのか、狼2匹は合図を送りあって2匹一斉にレインに向かっていきなり襲いかかって行く。
まさか、いきなり来るとは思っていなかったレインは一瞬反応が遅れてしまい完全にレイン1人では対処できない状態となっていた。
「風鎌鼬」
「ギャイン!」
が、天はレインを見放しはしなかった。ちょうどレインの左後方から魔法が飛んで来て無傷の大きい狼の首を一気に刈り取った。
いきなり相方が殺され、もう1匹の狼は動きを止めてしまうがそれを逃すレインではない。
「誰か知らないが助かった!」
レインはそう後ろを振り向かずに魔法を放ってくれた者に礼を言い、動きの止まったレインが一度傷つけた狼の首を今度こそ気合いで刈り取った。
そのおかげでレインの剣がぽっきり折れてしまったが、レインの使用していた武器はアイテムボックスに死蔵されていた最低ランクの鉄の剣だったので全く問題ない。現に同じものがアイテムボックスにはまだかなりの数ある。
「大丈夫?」
レインが狼の死体の横で一息ついていると、とても綺麗な水色の髪が印象的な、めちゃくちゃ可愛い女の子がレインにそう声をかけて来た。
レインもあまりの可愛さに思わず目を見開いて、しばらく固まってしまったがこのまま黙っているのも不自然ということで、レインはなんとか平然を保ちながら先ほどの礼をもう一度言う。
「助けてくださってありがとうございました。おかげで命拾いしました」
「うん。無事でよかった。君はこれから帰るの?」
「はい、少し無茶をし過ぎてしまったので今日はもう引き上げようかと……本当にありがとうございました」
「いい。それよりも私も今日はもう帰る。よかったら一緒に帰らない? 私はクロナ。よろしく」
目の前の水色髪の少女もといクロナはレインにそう提案をする。レインはその提案に思わずまた驚いてしまうがそれは当然のことだろう。
先ほどの魔法を見ても、そこまで強くはなかったがそれでもいまのレインよりはかなり強いだろう。一緒に帰るメリットがクロナには全くないのだ。せいぜい暇な2時間の話し相手になるくらいだが……
「うん。話し相手が欲しい。一人で2時間は暇」
「そう言うことなら、一緒に帰りましょう。僕はレインです。それより、この狼どうしますか?」
レインは一気にアイテムボックスに収納しようとしたがもし、レインの仮説が正しいのなら目の前にいるクロナもアイテムボックスの存在を知らないはずだ。
アイテムボックスだけに限った話ではないがこのアイテムボックスも使えないものからしたら喉から手が出るほど欲しい能力だろう。あまり人に見せびらかせていいものではない。
「アイテムバッグがある。レインも袋を持ってないからアイテムバックを持ってると思ってたんだけど違うの?」
「い、いや……まぁ、アイテムバッグは持ってないですね」
「じゃあ、どうやって他の魔物を運んでるの?」
クロナはそう言って急にレインの元へと近付いてレインの目をじっと見る。
レインもこんなに可愛い顔の女の子に近づかれ、一瞬ドキッとしてしまうがそれ以上にアイテムボックスの存在をクロナにバレかけ心臓バクバク状態である。
「まぁいい。まだ出会って十分も経ってない。後々、信頼してもらえるようになったら聞く。今は私のアイテムバックに2匹とも入れとくけどいい?」
「ありがとうございます」
「いい。それじゃあ帰ろっか?」
「そうですね。行きましょうか」
アイテムボックスについて保留にしてくれたクロナに、内心で全力でお礼を言いながらも表情は変えずクロナの隣を歩いてメイルの街へと帰るのであった。




