第四話 冒険者ギルド
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レインは食堂で昨日と同じように食事をとると、そのまま冒険者ギルドへと向かった。
ちなみに、今朝の食事はサンドイッチとスープ、あとはドリンクとかなりさらっとしたものだった。
レインとしても昨日のレッドベアーのステーキが結構胃にきていたのでさらっとした朝食で助かっていた。
「ここが冒険者ギルドか? GMOとは随分と雰囲気が違うな」
レインは街並みなどもかなり変わっていたため冒険者ギルドまで行くのにも、かなり手間取ってしまったが道行く人に道を尋ねたりしてなんとか冒険者ギルドの前までたどりつくことができた。
冒険者ギルドの前まで来ると中から賑やかな声が聞こえておりレインもここが冒険者ギルドで間違い無いと確信した。
あの看板が言うだけあって、道や建物も随分とGMOの時とは変わっており、発展していると言うよりはどちらかと言うとGMO時代よりも退化している気がした。
その辺も後で調べる必要があるとレインはメモ帳の調べる欄にメモをして冒険者ギルドの中へと入っていく。
「おー実際の冒険者ギルドってこんな感じなのか。なかなか壮観だな」
レインが中に入ると道に迷って時間を余計に食ってしまったせいで冒険者はそこまでいなかった。
中がかなり広いので、窮屈に感じることもなくそこそこ内装も綺麗なのでレインもそこまで居心地の悪い思いはしなかった。まぁ、多少はむさ苦しい冒険者が騒いでおり、レインは一瞬顔をしかめてしまうが冒険者ギルドとはこう言うところだと割り切り、受付嬢のいるところまで向かう。
受付嬢はみんな可愛く冒険者数人が受付嬢をナンパしているところも見られた。
レインはなるべくナンパをしている冒険者から離れた受付嬢のところへと向かい冒険者登録をしに行く。
「あの、冒険者登録をしたいんですけど、ここでできますか?」
「はい、冒険者登録ですね。それではこちらの記入欄に名前と得意武器、魔物との戦闘が可能かどうかをお書きください。代筆もできますがどうされますか?」
「いえ、自分で書けますので大丈夫です。ここに記入すればいいんですよね?」
レインは受付嬢の代筆を断り自分で記入欄を書いて行く。
この世界の文字は日本のどの文字にも該当しないがレインは自然とこの世界の文字が読み書きできるようになっていた。
別に、代筆を頼んでもよかったのだがそれを拒むレインがそこにいた。と、言うのも……
「文字が書けるなんてすごいですね。冒険者の方は文字を書くことができない方も多いので、すごいですよ」
「ありがとうございます。はい、書けましたよ」
そう、目の前の受付嬢がめちゃくちゃ可愛いのだ。他の受付嬢も可愛いのだがこのレインの目の前にいる受付嬢はそんなの比べ物にならないほど可愛かった。
レインの小さなプライドがこの受付嬢の前では格好をつけたいと叫んでいたのである。
「不備はありませんね。それでは冒険者カードを発行する間に冒険者のルール等を説明させていただきますがよろしいですか?」
「はい。お願いします」
レインはGMOで一度説明を聞いているが、一億年も経っているのでもしかしたら仕様が変わっている可能性がある。
その可能性もあってレインは一応話を聞くことにしたがやはり予想通り冒険者ギルドのルールはかなり変化していた。
受付嬢の説明は約十分にも及び内容は以下のものだった。
一つ目、冒険者ランクというものが存在しておりSランクからGランクまである。ランクごとに冒険者カードの色が違い、上から順に金、銀、銅、赤、青、緑、茶、黒となっている。
まずこのランク制度だがGMOではそんなもの存在しなかった。
そのため、好きな依頼を受けることができたがその分失敗する確率も多かった。多分、この世界では1度死ぬとそれで終了なので安全措置としてランク制度というものがあるのだろう。
ランクアップについてだがポイント制らしくSランクまで上がるのにはかなりのポイントが必要らしい。
そのほかにもCランクからBランク、BランクからAランクにはランクアップ試験があるらしく、ただ依頼をこなすだけではダメらしい。
二つ目は依頼を受ける際に自分のランク以下のものしか受けることができないということである。
ただ、パーティーを組めば自分たちの一つ上のランクの依頼を受けることができるそうで受付嬢がいうには初心者は上級冒険者のパーティーに入れてもらって強い魔物との戦闘を経験するのがオススメらしい。
三つ目だが、冒険者同士の争いごとには基本的には不介入のようだ。
ただ、『基本的』なので有事の際やギルド内で暴れたりした場合には冒険者資格剥奪などの措置を取るようである。
その他、結構細かくルールが決まっておりGMOの時とはかなり違う感じだった。まず、GMOには冒険者カードなんてものは存在しなかった。
「以上で説明を終わります。分からなくなったり何か質問があるときには私たち受付嬢を訪ねてきていただければご説明させていただきますのでご利用ください。あ、ちょうど冒険者カードができたようですね。ここに血を一滴たらしていただけますか? それで、本人の身分証明書としてもご利用いただけます」
「わかりました、ここに血を垂らすのですね」
レインは、自分の指を針で指すのに全く戸惑いなく一気にブスリと親指をさして冒険者カードに血を垂らした。
その瞬間、一瞬鈍く光り真っ黒だった冒険者カードに色々と文字が刻まれて行く。
ここら辺も、GMOではなかったのでレインは面白そうにその光景を見ながら冒険者カードが完成するのを待っていた。
「すごいですねこれ」
「みなさん最初は驚かれますよ。とても、不思議な光景ですよね。えーっとレインさんはこれからすぐに依頼に行かれるのですか?」
「はい、そのつもりです。Gランクでもゴブリンの依頼が張り出されていましたからそれをこなしていこうかと」
「そうですか。なら、帰ってきたら私、シーナのところまで来てくださいね。少しおまけしちゃいます」
「いいんですか! ありがとうございます。では、また後で!」
受付嬢もといシーナはレインにそういうとレインは嬉しそうに笑いながらそのままゴブリンの討伐の依頼を受ける。
まだ余裕があるとはいえ少し依頼料に色をつけてくれるのは素直に嬉しいのでレインはしっかりシーナにお礼を言ってそのまま冒険者ギルドを出て行くのであった。
「さて、マップはメニュー画面にあるから地図を買う必要はないなっと……」
レインは街の外に出ると人目のないところまで向かいメニュー画面を目の前に出現させる。
このメニュー画面だが昨日ステータス画面を見たときと同じようにレインの目の前に表示されており、おかげでレインは少しだけだがゲーム感が抜けていない状態である。
まぁ、先ほどの冒険者カードに血を垂らす際にしっかり痛みを感じられたのでこれが現実なのは確定なのだが……
「でもこれ、俺だけだよな。もし他の人もこのメニュー画面が出せるなら身分証なんて必要ないしな。しかも、マップ機能も課金次第では出せるから地図の需要がない……あ、課金はできないのか。でも、メニュー画面が出せるのならほかにも生活に便利なものが多いしメインの街でも誰も表示させている様子はなかったしな」
結論として、レインはメニュー画面の表示は自分しかできない可能性があるので今後も人の前ではあまり表示させないと決めてゴブリンのいる森まで歩いて向かう。
ゴブリンは意外とどこにでもいるが、なんでもシーナによればここからだと一番近いイツラの森というところがここら辺では一番遭遇率が高いらしい。
ちなみにこのマップの便利なところはマッピングをする必要なく全世界のいたるところを調べることができる。まぁ、これも課金をして性能をレイン好みにカスタマイズしたおかげなのだが、それもしっかり引き継がれていた。
「えーっとイツラの森は……ここから徒歩2時間か。結構遠いけどまだマシな方か。レッドベアーが生息しているっていうタラニアの森はここから1日以上先にあるみたいだしな。頑張って歩こう」
レインはマップを表示させながらイツラの森まで徒歩で移動して行く。
徒歩で移動しているせいで良くわかるが、やはり周りの風景もGMOとは大きく違いレインからすれば違和感しかなかったがなんだかんだ言って新鮮なこの状況を少し楽しんでいるのであった。