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廃課金者の異世界建国記  作者: 月うさぎ
第一章 異世界転生
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第三話 謎の空間


「ん? ここは……?」


 レインは目がさめると真っ暗な空間の中をただ一人で立っている状態だった。


「なるほど夢か」


 異世界に来た疲れからか意外と早く寝付くことが出来たのは覚えていたため、まだ一度も朝日を見てないことも考慮してここが夢の中だとレインは判断する。


 それ以外にも、レインが夢だと判断した要因が目の前に存在した。


「ん? なんだこれ? 看板だろうけどなんて書いてあるか分からない……」


 レインは目の前で不自然に浮いている看板を見たがそこには日本語でこう書かれていた。


『れ… 、さい …の、か せ…、ま…、あ………し』


 所々読めなかったり消えていたりで、なんて書いてあるかはわからないが、これが重要なものだというのは直感でわかったのでレインはすぐにメモに看板に書いてあることをそのまま書き写していく。


 夢の中でもしっかりとメニュー欄は使えたのでその中からメモを選択してこの意味深な看板の文字を書いていった。


 夢が覚めた時にこのメモが残っているのかどうかはわからないが、メモをしておいて損することはないだろう。

「この夢が何をしたいのかが分からない。一体なんのためにここに連れてこられたんだろ?」


 レインがふと疑問に思い、そう呟くと目の前の看板が大きく光り看板の内容が変化していく。


『ようこそ白き悪魔様。ここは私が創造した空間でございます』


「なんだって? って、普通に書けるんかい」


 レインは看板の内容を読み進めていき、何者かが生成した空間に転移させられたのは分かった。それに白き悪魔というゲーム時代のレインの異名を知っているところから、相手はレインのことを少しは知っているようである。


 かなり、衝撃的だったがそれと同時にレインは看板に思わずツッコミを入れてしまう。


 まさか、さっきメモしたことが一瞬で意味がなくなってしまうとは思ってもいなかったので、思わず関西弁で突っ込んでしまうがそんなことをしている間にまた看板が光りだんだん文字が新しく書かれていく。


『白き悪魔様に会えて光栄でございます。ですが今のあなたは色々と力が封印されているご様子。私も全力であなたの力が元に戻るようにお手伝いをさせていただきます』


 今度は結構長文のようでレインも目を凝らして読み進めていくが、情報が大量に詰め込められていてレインの頭もすぐにこんがらがってしまった。


 なぜ、相手が自分に敬意を払っているのかも分からないし、何を手伝ってくれるのかも全く分からない。


 最悪の場合として、手伝うと言っておきながら妨害をされることも視野に入れておく必要があると逆にレインは少し警戒心を強める。


 が、そんなの御構い無しにとレインの目の前の看板は大きく光出しまたまた文字が変わっていく。


『大丈夫です。貴方様の邪魔は絶対に致しません。私はあなたのファンだと思ってもらって構いません』


「誰かは知らないけど僕の姿が見えているようだね。と、いうことは変に攻撃してこないところを見るに今の所は味方でいてくれるってことかな。この世界で空間魔法がどれだけすごいのかは分からないけどGMOでも中級プレイヤー以上の実力はあるようだしね」


 一般的にだがGMOの中級プレイヤー程度なら程度の差こそあれ空間魔法を使用することができる。


 空間魔法といってもピンキリで最低レベルの空間魔法なら少し空間を歪めるだけで精一杯である。しかも、それだけなのに魔力消費量が半端ないためGMOではあまり空間魔法を使用するプレイヤーはいなかった。


 まぁ、数人ほど空間魔法を極めてレインほどではないがそれに次ぐレベルで空間魔法を使用できるものはいた。


 それでも片手間でしかやっていなかったレインにまったく敵わなかったが……


 いかにレインが規格外なのかがわかるだろう。


 だが、それでも空間魔法はそんじょそこらのビギナーに会得できる魔法ではないため今のレインでは到底太刀打ちできない。レインを倒そうとするならこんな面倒なことをしなくてもすぐに倒せるだろう。


 そんなこともあって、レインはとりあえず姿の見えないレインのファンとやらを信じることにした。


「それで、この世界は一体なんなんだ? そもそも俺はお前のことを知らないはずだ。なんでお前は俺を知っているんだ?」


 レインは看板に向かって問いかける。


 第三者目線から見ると大丈夫か? と本気で心配されかねないが、ここは夢の中のはずなのでレインもあまりそういうことは気にせずに質問を続けていく。


『ここは白き悪魔様が突然姿を消してから約一億年が過ぎ去った世界です。なぜ、あなたのことを知っているのかという質問はそのうち嫌でもわかると思いますのでその時のお楽しみに』


「一億年だと……ということはクラメルの街は……」


『クラメルの街というのはわかりませんが現在あなたがいる街はメイルの街という名前です』


「ま、まさか……本当に、一億年後の世界だと?」


 ここにきて、レインは大きく戸惑うことになってしまう。随分と変わっているなとは思っていたがまさか一億もの時を経て転生することになるとは思ってもいなかった。


 きっと、クラメルの街があった場所がここなのだろうが、戦争やらなんやらで街が消えては再建し、また街が消えては再建しを繰り返してきたのだろう。


 少しクラメルの街の雰囲気を感じるのはそのせいだろうとレインは納得してしまう。それと同時にメイルという名前の街はGMOにも存在しなかったため、まだ確認はしていないがこのレインの考えが間違っていないことになる。


 レインもせいぜい百年程度と高を括っていたのだが、まさかその百倍の時が過ぎていたことをしりゲーム時代の知識がほぼ使えないことも確定してしまった。


「色々とまずいな。この世界の標準とかは明日目が覚めてから調べるとして……あぁもう! 確認することが多すぎる!」


 あまりにも1度にたくさんの情報を得たためレインはイライラしながらも今後の計画をもっとしっかりと立てていく。


 ステータスを上げるのは当然のこととして、その他色々と気を回さないといけないことが大量に出てきた。

 姿の見えない不思議な看板には感謝はしているが、あまりにもいろいろなことを伝えられたせいでもうすでに頭がパンク寸前状態である。


「ダメだ……一旦落ち着こう。それで、お前は次にいつ俺の夢の中に姿を表せるんだ?」


『当分無理かと思います。なにせ、レベル1に戻ったとはいえあなた様はあの白き悪魔様です。流石に私でもホイホイ夢の中に潜り込めるほど甘くありません』


 どうやら、レベルは1に戻ってステータスもほぼ初期状態に戻ったがそれでも相手にはレインが相当厄介な存在らしい。


 伊達に運営泣かせの異名を持っているわけではないというわけである。憶測になってしまうが潜在的なところでレインは相手よりも格が上なため、そうそう簡単に意識を乗っ取ることができないのだろう。


 レインとしても、ホイホイ夢の中に出てきてもらっても邪魔なだけなのでちょうどよかったのだがいまは情報が足りないため看板の存在はかなりありがたい。


 だが……


『そろそろ時間のようです。私はあなた様のことをずっと眺めています。直接あなた様に干渉するのは困難を極めますがいざという時は任せてください。どうかご無事で、そして全盛期の白き悪魔様に戻られるよう心よりお待ちしております』


看板は最後にそう伝えると大きく光りだしその光はレインをも包み込んでしまう。


「お、おい! ちょ…」


レインは最後に何か話そうとしたがその言葉が最後まで発せられることはなかった。










「朝か……」


 レインは目を開けるとそこには昨日寝る前に見た天井があり、先ほどのあれが夢だったことを証明している。


 だが、先ほどの空間で起きた記憶は全て残っており、レインがGMOの一億年後に転生したこともしっかり覚えている。


「転生かぁ……」


 覚えていてもそれが納得できるかどうかは別問題である。これが先ほども言ったように100年後とかだったならまだ少しはGMOの知識が役に立つのに一億年後となると全く使えなくなったと言っても過言ではない。


 もし仮に一億年もの間、国が残っているところがあったのならば、そこはかなりの武力と技術を所持していることになるだろう。


 そんなこと、他国の人間が許すはずもない。そうなれば必ず戦争が起きどちらかの国が破れ戦力と技術を失う。流石に一億年もの間勝ち続けている国など存在しないだろう。


 もし仮にそんな国があったのなら第二の白き悪魔を名乗ってもいいだろう。


 そういうわけで、レインのゲーム時代の知識はほとんど役に立たない。


 唯一役に立つのは経験だけだろう。その経験もMMORPGなので役に立つかは甚だ疑問だが多少は魔物の動きや効率のいい経験値の魔物などがわかるはずである。


 後、唯一の救いが潜在能力はGMO時代のレインのままなので育成もただレベルを上げるだけで済むのが大きい。これが全て初期化されていたのなら100レベルより上にはいけないし新たに育成ポイントを割り振らなければいけない。


 その懸念がないだけでまだマシなのだがや、はり何度もいうようだが一億年はレインとしても想定外だった。


「はぁ、考えても圧倒的に情報が足りないな。さっさと着替えて冒険者ギルドに行くか」


 レインはそう言いながらささっと支度を済ませて食堂へと向かった。その足取りは昨日よりもかなり重いものだったが、それでも止まることなくレインは食堂へと向かうのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まだ4話ですけどすごく面白いです!応援してます!
[良い点] 某モノ○ス形態の奴の言葉、1億年後の世界を信じると、文字通り『看板を外される』ような気がしてなりません(笑) 主人公は現実世界での1億年と取ったのか、はたまたゲーム内での1億年と取ったのか…
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