表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
廃課金者の異世界建国記  作者: 月うさぎ
第一章 異世界転生
19/29

第十七話 教会へ


「レイン、何かあったの?」


「ん? いやー、何もないよ!」


「そう?」


 クロナはレインと冒険者ギルドの前で待ち合わせをしていたのだが、やってくるレインの様子を見て不思議そうにそんなことを聞いた。


 レインは否定しているが、実際のところは誰がどう見てもご機嫌な様子である。そう、気持ち悪いほどに……


 原因はわかりきっており、今朝昨日の疲れを感じながらもどれほどステータスが伸びたか確認しようとメニュー画面を開いてステータスを見てみるとレインが想像を絶するほどステータスが上昇しており、レインはつい昨日の疲労が一気に晴れて狂喜乱舞をしてしまうほどであった。


 その余韻が未だ現在続いており、レインは上機嫌のまま冒険者ギルドの前までやってきたのであった。


「レイン、今日は一度教会に行かない?」


「教会? どうして?」


「昨日はレインもだいぶ頑張っていたから結構レベルが上がってると思う。その確認」


「あー……それもそうだね。とりあえずシーナを待ってから決めようか」


 すでにレインは自分のステータスを確認しているので行ってもお金の無駄にしかならないのだが、ここでレインが行くのを拒むとレインだけ他にステータスを確認する方法がありますと言っているようなものなので、レインは黙ってクロナの提案に頷くのであった。


 レインも一度教会に行ってみたかったので完全に無駄というわけでもないのでそこまで問題ということもなかった。


 問題といえば、シーナがギルド職員を辞めることが出来たのかどうかだったが、レインたちが冒険者ギルドの中へと入るとそこには満面の笑みを浮かべているシーナがいたので、その時点でレインはホッと安心から息を吐きシーナの元へと向かっていく。


 やはり途中で他の冒険者から妬みの視線を頂戴するレインであったが、例の如く他の冒険者に止められているのが大半でそこまで大きな問題にはならなかった。


「おはようシーナ。様子を見るに、無事辞められたと思って大丈夫なのかな?」


「はい! 昨日ギルドマスターともしっかり話をしましたし、私自身まだこのギルド職員になって間ものなくそこまで重要な仕事についていなかったのでスムーズに辞めることができました! それでも、昨日一日は結構忙しかったですけどね」


 一瞬話し合い(物理)の方かと思ってしまったレインであったが、受付の中の方でこちらの様子を伺っていたエアドの顔を見てそんなことはないなと分かり思わず安心してしまった。


 エアドもそうだが、シーナも元Aランク冒険者だったと以前言っていたので2人が話し合い(物理)をしてしまうと大変なことになってしまうので、少し不安に思ったレインだったが本当に問題ないようだったのでそれ以上は特に気にすることなくシーナと今日の予定を話し合う。


「そっか。なら良かったよ。これからクロナと教会に行こうって話をしていたんだけど、シーナもそれでいいかな?」


「教会? あぁ、レインさんのステータスを見に行くんですね! そう言えばレインさんも昨日よりかなり強くなっている感じがしますし、気になりますね。私は大丈夫ですよ」


 一瞬どうして行くのかわからない様子だったシーナであったが、すぐにレインのためだと察してそのまま了承した。


 クロナもシーナもレインが急に強くなったことについては大体察しているようで、2人してどのくらいレインのステータスが上がっているのか気になるようで、レイン以上にソワソワしていた。


 レインはすでにステータスを知っているので、純粋に教会がどんなところかが気になっているのだが、クロナとシーナはレインの成長具合がきになるらしく教会へ向かう途中の歩く速度がいつもより少し早かった。


 秘密主義はどこにいったとレインは声をあげて叫びたかったが、無言の圧力を放っているクロナとシーナにそんなことを言えるほどレインの神経は図太くなかった。


「教会ってどんなところなの?」


「んーっとですね。まぁステータスを確認することができるのはもちろんのこと色々宗教があるのですが、その宗教の集まりに使われることもありますね。あとは純粋にそこの神官や司祭たちが祝祷するのに使用されたりしますね。ちなみに、ステータス確認に必要なお金は大体銀貨一枚です。お布施という形になりますが……」


「なるほど、色々とこの街の人にも需要があるんだね。それと、結構教会も現金なところがあるんだね」


「仕方ない。それで司祭たちの給料が支払われている」


「なるほどねー」


 一回のステータス確認に1000円も払わないといけないことに苦笑してしまうが、クロナから理由を聞いてなるほどと納得することができた。


 1000円もあったらレインなら現世ではレベル上限を上げているが、これも珍しい体験料と割り切ることにした。


 きっと、他の冒険者にとっても自分のステータスを自覚するのは重要なことなので頻繁に利用しているのだろう。それなりに需要があるため、だいぶ教会の方も稼げているらしい。


 ただ、冒険者にとって……主に駆け出しの冒険者にとって銀貨一枚とはそれなりに払うのに勇気のいる額であり冒険者的にはもう少し安くしてくれてもいいだろうと言った声がかなり出ているらしい。それでも教会の方は全く値段を変えようとしないため冒険者と教会は結構仲が悪いらしい。


「おー、すごいな(GMOにこんな教会なかったけど……)」


 レインはクロナたちと話しながら教会へとたどり着いたのだが、冒険者ギルドよりも大きく思っていた以上に豪華な装飾が施されていることに思わず感嘆の声を漏らしてしまった。


 レインが心の中で呟いた通り、GMOにはこのような教会と言った施設はなかったため名実ともに新鮮な気持ちになるレインであった。


 やはり色々な用途があるためなのかかなり広く作られているようで、中に入っていくと男性神官の一人がレインたちの元へとすぐにやってきた。


「こんにちは、今日はどうされましたか?」


「こんにちは、僕のステータス確認をしたいなと思っていたんですけど、大丈夫ですかね?」


「はい、今なら待ち時間なしでご利用可能です」


「そうですか。それじゃあお願いします。これはお布施です。お納めください」


「ありがとうございます。では、こちらに」


 レインが銀貨一枚をポケットから取り出して男性神官に渡すと、にこやかな笑みを浮かべてステータスを確認するべくとある部屋へと案内された。


 シーナの話によるとここでお金を払わないと門前払いを食らってしまうらしい。一度それも体験したかったレインであったが、確実にめんどくさいことになるのはわかりきっていたので、おとなしく支払うことにした。


 どうやら、ステータスを確認するための部屋にはステータスを確認する者以外は入れないようで付き添いのクロナとシーナは別の神官に別室へと案内されていた。


「こちらになります。中に専門の者がおりますので、そちらの指示に従っていただければ幸いです」


「了解しました。わざわざありがとうございます」


 内装もかなりきらびやかなものになっており、これほど稼いでいるのなら値段を下げるのも大丈夫なのでは? と内心で思わなくもなかったが、レインは特にお金に困っているというわけでもないので黙って男性神官の後をついていくことにした。


 しばらくレインは歩いていると、扉からして他の部屋とは違うなと思わされるほどのところで止まりレインは中に入るように促された。


「し、失礼します」


「はい、ではこちらにお座りください」


 レインは少し緊張しながら中に入っていくとそこには金色の髪をした男性が笑顔で待っておりレインは促されるままその男性の前にある椅子に座ることにした。


 すると、すぐに男性はタブレットほどの石版を机の引き出しから取り出してそれをレインの前へと置いて石版の使い方を色々と説明してくれた。


「この石版の上に手を重ねていただければステータスが表示されます。ただし、これは魔道具でして魔力を少しだけ消費しますので、魔力の弱い方には私の方で補充しますが大丈夫でしょうか? その場合、別料金が必要ですが……」


「魔力は人並みにあると思うので大丈夫です」


 レインはそう言うと男性神官に言われた通りに石版の上に手を乗せてステータスが浮かび上がってくるのを待つ。


 すると、しばらく魔力が吸い取られる感覚が続いていたが、一定の魔力を注ぎ込まれると急に石版が白色に光り出しだんだんレインのステータスが浮かび上がってくる。


 まぁ、ステータス自体は今朝と全く変わっていなかったので目新しさはないのでそのまま男性神官にメモ用紙をもらいそこに浮かび上がっているステータスを書き写しておく。先ほど、クロナとシーナにしっかりと写してくるようにと指示されていたのでぬかりはない。


「あ、レインだ。どうだった?」


「だいぶステータスが上がっていたよ。昨日頑張った甲斐があったみたいだ」


「……普通、1日でこんなにレベルが上がることはない。やっぱりレインは異常」


「ですね。いくらレベルがまだ低いからといって1日に2レベルも上がることはまずありえないですからね」


「あはは……」


 レインのステータスが書いてある紙を見たクロナとシーナは呆れながらそんなことを話し合っているが、レインは笑ってごまかしておいた。


 確実にGMO時代の課金の賜物なのだが、そんなことクロナたちに説明しても理解されるはずがないので黙っておくことに越したことはない。


 そんなわけで、無事レインのステータス確認が終わったと言うことでそのまま3人で冒険者ギルドへと向かいレインのランクを上げるべく依頼を受けていくのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ