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廃課金者の異世界建国記  作者: 月うさぎ
第一章 異世界転生
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第十六話 イツラの森 中域攻略


「レイン、これからどうするの?」


「んー、クロナもシーナもすでにA ランクなんだろ? 僕も早くランクを上げていきたいし、ゴブリンを狩りにいくついでに経験値稼ぎかなー」


 レインはそう言いながら常時依頼としてGランクのところに張り出されているゴブリン討伐の紙を持って受付の方まで持っていくことにした。


 現在、シーナはギルド職員を辞めるためにいろいろと手続きをしている最中のようで、早くても今日中に終わることはないとのことだったのでレインはクロナと2人で依頼をこなすことにした。


 シーナはすぐにでもギルド職員を辞めてレインたちと一緒に冒険者をやりたかったらしく、エアドがいないことにものすごく不満そうにしていたが、レインも流石にすぐにハイそうですかと辞められるものではないとわかっていたためなんとかシーナを宥めることに成功した。


「シーナ、これを受けたいんだけど大丈夫かな?」


「はい、昨日と同じゴブリン退治ですね。クロナさんがついていれば大丈夫だとは思いますけど、それでも十分注意してくださいね」


「うん。ありがとう。じゃ、行ってきます」


「行ってらっしゃい」


 まるで新婚夫婦みたいなやり取りをしているレインとシーナであったがシーナはともかくレインは無自覚でやっていることなので仕方がない。


 そんなやりとりをしているレインのことが羨ましいのか、数人の冒険者がレインの元へとやってこようとしていたが、どれも他の冒険者たちに止められていた。きっと、今朝の決闘を見ていた冒険者たちの仕業だろうが、面倒ごとが減ったのでレインとしてはありがたいことであった。


 それはクロナも同じようでレインの隣で満足そうにしながら頷いていた。


「それじゃあ行こうか」


「おー」


 と、言うことで冒険者ギルドの外に無事に出ることができたレインとクロナは気合を入れて昨日と同じイツラの森へと向かうのであった。













「レイン、そっちにいるよ」


「了解!さすがAランク冒険者だ。索敵も一流だね」


 レインは流石だなと思いながらゴブリンの頭を一刀両断する。


 レインはまだまだレベルが低いため、今のクロナには天地がひっくり返っても敵うことはないのだが、それ故に今のクロナがどういった世界を見ているのかが非常にきになるレインである。


 ゲームの時は言ってもレインはプレイヤー側だったため普通の世間一般の人と同じだったのだが、それがリアルになっているこの世界ではステータスが高ければ高いほどいろいろと補正がついてくるはずである。


 実際に今のレインのレベルは7であるが最初のレベル1の時よりも自分の理想の動きができるようになっているし、昨日に比べて魔法なども上手く扱えるようになっているので成長しているという面でいうならば確実にレインも成長しているだろう。


 道中のクロナの話によれば、さすがにこんなに早く成長することは普通ではあり得ないらしいのだが、レインは課金を大量にした結果強くてニューゲーム状態になっており、かなり早熟するようになっている。


 その分、急にステータスが上昇した時に上手く力を扱いきれずに暴発してしまうなどという危険性もあるのだが、そこは夜に練習部屋で修行をすればいい話なのでレインにとってほとんど問題点はなかった。


「今日は頑張って中域に行ってレベルをジャンジャン上げていきたいな。幸いクロナもいるし少しなら無茶も出来そうだし」


「任せて。危なくなったら助ける。でも、あんまり無茶をしすぎるのはダメ」


「わかった。安全確認はしっかりとりながら頑張ろうか」


「うん。あ、目の前に4匹ゴブリンがいる」


「お、なら魔法でやっつけようかな」


 レインもすでにこの世界でいうなら駆け出しを卒業しているので、多少の無茶は大丈夫だろうが、中域にはまだまだ今のレインでは敵わない敵も大勢いるので警戒をして損することはないだろう。


 この世界にやってきてまだ一週間も経っていないにも関わらず、すでに駆け出しを卒業していることに改めてレインはこの世界の戦闘水準が低いことを自覚するがそこで調子に乗ることはなく堅実にレベル上げをこなしていく。


 時間は有限なのだ。


 いくらGMOでは最強と謳われていても、今はただの駆け出しを卒業した初心者だ。


 再び頂点に君臨するまではとてつもない時間がかかるだろうし、この世界では一度死ぬと『基本的』にはおしまいなので、そこまで無茶なことはできない。


 まぁ、レインの場合この世界では伝説とされている経験値ポーションが腐る程あるので毎日1本から2本を飲んでいけばそれだけでもレベルは上がっていくだろうが、あのポーションは如何せん味がこの世の終わりを象徴したような不味さを誇るし、追加でいたるところが痛くなるのであまりレインとしてもそれだけに頼ることはしたくなかった。


 それでも飲むことを辞めないところをみるに、レインはきっと頭がおかしいのだろう。


 だが、ことGMOに限って言えばレインは妥協したことは一度もないのでこれも本人にとっては普通のことである。


「レイン、そこから中域だから気をつけてね」


「了解、昨日もきたけどやっぱり一気に雰囲気が変わるな。それに、ここからでも危険なのがひしひしと伝わってくるよ」


 イツラの森に入ってから三十分ほどで中域へとたどり着くことに成功し、レインは一気に警戒を強める。


 なぜ昨日よりたどり着くのが遅かったのかというと、単純に魔物のエンカウント率が昨日の五倍以上あったからで、もし昨日のペースだったのなら中域へとたどり着くのに十分も必要なかっただろう。


「……やっぱり、ある一定のラインを踏み込んだ瞬間に空気が変わるのは慣れないな」


「多分、結界みたいなのが張られてるんだと思うよ。まだイツラの森は最深部まで攻略した人がいないから仕組みはわからないけど」


 流石にクロナもわからないようだが予想はできるようで、一定のラインを踏み込んだ瞬間に一気に雰囲気が変わることから結界の類が使用されている可能性が高いとのことだった。


 結界はGMOでも初級プレイヤーでも会得しようと思えば会得できる魔法だったので、レインもそこまで不思議に思うことなく素直に納得した。


「へぇ、じゃあとりあえずの目標はこの森の最深部を目指すってところかな」


 Aランク冒険者でも中央の攻略は困難を極めると言われているのにも関わらず、最深部の攻略など夢のまた夢なのだが、とりあえずいつかの目標としてイツラの森の最深部を攻略することを心に決めるレインであった。


 それからレインたちは中域の中でも奥には進まずに極力手前で魔物を探すことにした。


 その結果、昨日もギリギリではあったが倒すことができたグレートウルフや、Eランク相当の魔物だと武器持ちのゴブリンが集団で襲いかかってきたり、Dランク相当の魔物で言うとラビットシーフやポイズンスパイダーなどとエンカウントしたが無事に討伐することができた。


 中でもレインが一番嬉しかったのが昨日はかなり苦戦したグレートウルフがそこそこ戦闘が長引いたものの、かすり傷一つも与えられることなく討伐することができたことだ。


 クロナは1日でここまで成長したレインに疑惑の視線を向けていたがレインは見ないふりをして戦闘に集中するのであった。変に気にすると命の危険に繋がるし、クロナを相手にレインが隠しきることが怪しかったのでレインのその選択はファインプレーといってもいいだろう。


「ん……今日はこの辺にしようか」


「はぁ、はぁ、そうだね。僕もだいぶ疲れたし、そろそろ帰らないと暗くなりそうだね」


 レインたちは中域に入ってから2時間ほど休むことなく魔物を狩り続けたが、クロナが頃合いを見てそろそろ引き返そうと提案してきた。


 レインもそろそろ体力的な問題で撤収したかったので丁度いいとそのままレインのアイテムボックスに狩った魔物を収納してメイルの街を目指すのであった。


 その後は無事買い取りなども終わらせ解散となったのでレインは宿へと戻り夕食を食べるとそのまま自分の部屋へと直行し経験値ポーションを飲んで疲れが原因なのかそのまま気を失ってしまった。


 ちなみに、現在のレインのステータスはというとこんな感じになっている。


ーーーステータスーーーーーーーーーーーーーー


レイン Lv13


HP 1295/1295 700up↑  MP 1305/1305 700up↑


攻撃力 925 500up↑

防御力 885 500up↑

俊敏  805 400up↑

知識  765 400up↑

器用さ 765 400up↑


-スキル-

剣術 Lv14 7up↑    

体術 Lv10 4up↑

火属性魔法 Lv8 2up↑

水属性魔法 Lv8 3up↑

風属性魔法 LV8 3up↑


-ユニークスキル-

無詠唱  Lv5 2up↑


-エクストラスキル-



-称号-

見習い戦士



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 この時点でDランク冒険者程度なら無傷で倒すことができるようになっており、相変わらず成長速度もおかしいことになっていた。


 レベル13の時点で4桁になるなんてまず普通にありえないことで普通ならようやく全てのステータスが3桁に乗ったかな? くらいなので、いかにレインのステータスの上昇具合がおかしいかよくわかる結果となった。


 ちなみに、そんなこととは露とも思っていないレインは次の日の朝、自分のステータスを見て嬉しすぎて思わず叫んでしまうのであった。

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[一言] お疲れ様です これからも頑張ってください
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