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思念術:水蒸気爆発

シズと走り出す。

 

「どうするの?」

 

シズも心に迷いがあるのだろう。今からでも遅くはない。今からでも僕達は共和国に戻り、僕達を正当化できるチャンスがある。そして、何より、僕達が共和国側につくと、勝利は確実なものになるだろう。

 

「僕は、帝国軍だ」

 

それを知っていながらも、僕は言葉を絞り出す。事実は曲げられない。

 

「そうだね!うん、良かった!」

 

「シズも同じ考え?」

 

「うん!」

 

そうか。それは良かった。

 

「それじゃ、行ってくる」

 

立ち止まり、シズを見る。

 

「うん。行ってらっしゃい」

 

相手が特務聖剣部隊だったら、僕の思念術など少しも役に立たない。それをシズも理解していて、直ぐに思念術を行使し始める。

 

まだ慣れていないから、水蒸気爆発を制御することは出来ない。


が、しかし、今回は制御をしなくても良い相手だ。味方、帝国兵が範囲に入らないように気を付けるだけ。刀身が水色に輝き始め、シズの思念術を体で感じる。

 

共和国軍の頭上一メートル。見えないがその場所を意識し、剣を振る。

 

爆発を設置出来た感触を得る。

 

数秒後、爆発が起きた。空気は震え、大地は削れる。衝撃波が発生し、僕がいる場所でも立っているのが精一杯の状況になる。

 

戦場には静寂が訪れた。

 

帝国兵士も、共和国兵士も何が起きたのかが理解出来ない。


ただ、無慈悲な殺戮がそこには存在した。

 

しばらく経過した後に、共和国軍が居るはずの場所が燃え始めた。


これは水蒸気爆発の影響ではない。ラウラが炎を発生さえた後に、ティトが突風により炎を成長させる合わせ技だ。僕はこれを過去に何度も見てきた。

 

炎が消え去ると、そこに共和国軍の姿は無かった。


だが、無数の死体は転がっている。顔は黒くなり判別出来ないが、誰かが分かってしまう。


何度も助けて貰った先輩や、精錬場時代から一緒に過ごしてきた同僚。


それらは、紛れもなく僕が殺した者達だった。

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