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再会

「ということで部屋は警備兵に案内させよう。私は少し忙しい身でね。また会えることを楽しみにしてるよ」

 

そう言い残し、部屋から出ていった。やはり、常人ではないことが良く分かる。オーラというものは存在するか、存在しないかでしばしば議論されるが、この人に限ってはオーラという言葉でないと表現出来ないものを纏っている。


そんな彼を見送ると、入れ違いに警備兵がやってきた。

 

「それではお部屋へとご案内致します」

 

ホテルマンと全く同じ台詞を警備兵が放ち、違和感を抱く。


あぁ、それもそうだ。完全装備の兵士に部屋を案内してもらうなんて人生でそうそう経験しないだろう。

 

またもや皇宮の中を歩き始めるが、ついさっきとは違う。


僕の隣には彼女が居る。手を繋ぎ、二度と離さないように強く握りながら、前へと進む。

 

用意された部屋は皇宮の端に位置している。

 

「それではこちらでお過ごしください。部屋の設備は自由に使って頂いても大丈夫ですが、外出はしないようにお願い致します。何かありましたら、玄関にありますボタンを使って我々をお呼びください」

 

そう言い、失礼しますとドアを閉め、鍵を外から閉める警備兵。警備兵が行ったタイミングでシズが飛びついてきた。


「会いたかったよ!!!!!」


周りに人が居なくなったタイミングでやってくるところがいかにもシズらしい。


「うん! 元気にしてた?」


「大丈夫だよ! ずっと部屋にいて暇だった!」


話を聞くと、目を覚ましたら部屋の中だったらしい。この部屋とまではいかないけど、やはり囚人などを収監するような場所ではなく、きちんと清潔で綺麗な部屋だったとのこと。


「ティトやレイには会った?」


「・・・ティトさんとレイも捕まっていたの?」


「うん。僕だけが残ってしまって・・・」


「でも良かった。もう、もうネオに会えないと思っていたからッ・・!」


涙声で叫びながら服に顔を埋めるシズ。


「・・・服、そういえば洗ってなかったな」


「それでも良いよ! ネオが居るなら・・・・、ネオが居るなら良いの・・!」


「体も洗ってないから、お風呂に入らないと」


「うん・・・」


これ以上、涙をシズの前で出したくないから上を向いて我慢していたけど、無理のようだ。

 

「・・・シズ、本当に、次は離さないから」

 

そう言って、僕もシズを抱きしめる。


風呂から上がり、親切にも用意された着替えを使わせてもらう。机の上には多くの本が置いてあり、どれも知りたいことをピンポイントで抑えられているものだった。


シズが僕の後にお風呂へと入っており、今は僕一人だ。


目を閉じ、どうするべきか考える。いや、どうするかは既に決めている。その決心がついていないだけだ。


あとは、シズはどう考えているのだろうか。共和国に帰りたいと思っているのだろうか。それとも、帝国で新しい「シズ」として生きていきたいと思っているのだろうか。

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