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50話:爽やかな朝です!


 マオの温かさに包まれて眠りについて、次に目を開けると爽やかな朝でした。マオはまだ眠っています。起こさないようにそうっと起き上がろうとしましたが、しっかりとマオが僕のパジャマを握っていて、起き上がれませんでした。強引に動いてしまえばマオを起こしてしまいそうで……。ヒスイは丸くなって眠っていました……。どうしましょう。


「んん……?」


 あ、僕が動いたからマオが起きてしまいました! 薄っすらと目を開けて、寝ぼけたように僕のことを見ると、ぽんぽんと背中を叩きました。それからすぐにハッとしたように起き上がって、「朝!?」とびっくりしたように叫びました。


「おはようございます、マオ」

「おはよう、アイリス。あ~、良く寝た! やっぱり知っている宿だと疲れも取れるね」

「そうですね」


 うーん、と伸びあがり、「いい天気ね~」と微笑むマオに、僕はうなずきを返しました。そして、マオは僕の顔をマジマジと見て、「うん、顔色良くなったね」と優しく微笑みました。その表情に、お母様が重なりました。マオとお母様の雰囲気は全然違うはずなのに……不思議ですね。


「今日はどうするの?」

「ええと、調べ物をしたいんですけれど……」

「ロージアンって確か図書館もあったし、図書館探す?」

「図書館……。良いですね」


 参考になる本があるかもしれません。マオはベッドから抜け出すと、昨日用意していたタオルと服を持って、「それじゃあ私はお風呂に入って来るわー」と僕の部屋から出て行きました。いってらっしゃいと手を振り、マオを見送りました。

 僕も身支度を整えましょう。相変わらず精霊に頼んで綺麗にしてもらいました。服を着替えて、何となくリュートを撫でました。そろそろこのリュートに名前をつけたいですね。頑張ってくれていますから。


「いつも良い音色をありがとうございます。これからもよろしくお願いしますね。名前はもう少し待っていてください。良い名前を考えますから」


 そう言ってリュートを弾くと、僕の言葉に返答するかのように柔らかい音色になりました。あまりにも柔らかい音色だったので、僕は目をぱちくりと瞬かせ、それから目元を細めてリュートを撫でました。

 リュートを鞄にしまって、鞄を掛けるとヒスイを起こします。


「ヒスイ、ヒスイ、朝ですよ」

「んぁ……?」

「お腹空いたでしょう? 朝食を頂きましょう」

「食べる……」


 ヒスイは眠そうにしながらもパタパタと飛んで僕の頭の上に乗りました。……そこが定位置なのでしょうか。僕が階段を下りていると、既に起きて食事を摂っているウィルが見えました。ウィルに近付いて「おはようございます」と声を掛けると、ウィルは僕の顔をじーっと見ながらも、小さくうなずき、


「おはよう、大分顔色が良いな」

「あなたは僕の保護者ですか……」

「そのつもりだが?」


 五歳年上の保護者とは一体……。ハロルドも僕に気付くと「よく眠れたか?」と声を掛けてきました。なので、僕がうなずいてみせるとホッとしたように目元を細めて、「そりゃよかった」と微笑みました。心配を掛けていたようです。確かに昨日の顔色では心配を掛けてしまうのも当然だったかもしれませんね……。


「昨日の残ったミネストローネがあるが、食べるかい?」

「お願いします。あ、出来ればチーズを入れて欲しいです」

「はいよ」


 ハロルドはそう言って厨房へと向かいました。折角なのでウィルの真正面に座ると、温め直すだけだからかすぐにミネストローネが出てきました。チーズが溶けて美味しそうです! ヒスイもすんすんと匂いを嗅いでいたので、「食べますか?」と聞いたら、ヒスイは「サラダが良い」と言いました。

 ハロルドにサラダを注文すると、「だと思った」とすぐにサラダを出してくれました。僕の隣にサラダの入ったボウルを置くと、ヒスイがしゅたっとテーブルに着地して、サラダボウルからレタスを取り出してしゃくしゃく食べ始めました。……やっぱりヒスイが食べている姿を見るのは可愛くて好きです。誰も取らないから、もっとゆっくり食べて欲しいところですね。そうすればもっとヒスイの姿を眺めていられます!


「ん~。美味しいです。トマトとチーズの相性は抜群ですね」

「チーズと合わない食材を探すほうが難しくないか……?」


 ……確かに、チーズって色んな食材に合いますよね……。目から鱗です。もぐもぐ食べていると、ウィルがハンカチを取り出し僕の口元をごしごし拭きました。口端についていたみたいです。……ありがたいような、ちょっと恥ずかしいような。


「今日はどうするんだ?」

「図書館を探そうと思います。……言ってくれたら自分でやりますよ?」

「あ、すまん、つい……。図書館は北門の近くだ」

「北門……。わかりました、行ってみます」


 昨日戻って来たのが南門なので、逆に向かえば良いのですよね。わからなくなったら精霊に頼りましょう。


「はー、さっぱりしたー。ハロルドさん、私の分もミネストローネあるー?」


 そんなことを話していたら、マオがハロルドに声を掛けていました。僕が食べていたからか、ミネストローネに気付いたのでしょう。ハロルドに「チーズ入れるか?」と聞かれて、マオは「何それ美味しそう!」と声を弾ませました。そして、マオは僕らの元に来てすとんと椅子に座りました。五分もしないうちにミネストローネが運ばれて、「どうぞ女神様!」と例の冒険者のひとりがマオに声を掛けました。


「だから……女神はやめて……!」


 居た堪れないようにマオがそう言って、冒険者は「女神様は女神様ですから!」ととても良い笑顔で言ってからハロルドの手伝いに戻りました。……女神様と呼ばれたマオは「恥ずかしいからやめて欲しい……」と耳まで真っ赤にして顔を両手で隠しました。

 ロージアンのマオの立ち位置はすっかり女神様ですね……。多分、僕のことは変わり者の冒険者だと思われていそうです。


「ウィルの予定は?」

「……そのことなんだが、今日は別行動でも構わないか?」

「構いませんよ。基本的に僕のことは気にしなくて大丈夫です。お母様の故郷に行くまでは、それぞれ自由行動で良いと思うので……」

「アイリスのお母さん……、エラさんだっけ。どこの出身なの?」

「湖上都市、ルズベリーです」

「……美味しいそうな名前ね」


 ベリーって入っていると美味しそうに聞こえますよね。ストロベリーラズベリーブルーベリー。食べるならストロベリーが一番好きです。甘すぎず、ちょっと酸味のあるほうが好きです。口の中がさっぱりするような気がして。


「ルズベリーに行くには時間が掛かるから、ロージアンに暫く滞在して資金を稼いで行くか」

「各地を転々として稼ぐのも良いかなぁとは思うのですが、ある程度まとまった資金と装備品は欲しいところですよね」


 ノアからローブが届くはずですし。……いつになるのかがわからないのが困りどころですが……。……ノアの相手をすることを考えるとちょっと憂鬱です。


「なので、数ヶ月はここに滞在したいと思うのですが……」

「私は良いけど……」

「オレも別に構わない。一応伝えておくが、オレの冒険者カードを見てくれ」


 すっと冒険者カードを取り出したウィルは、僕らに見えるようにカードをテーブルに置きました。ウィルの冒険者カードは銀色。僕らの冒険者カードとは違います。


「……この色は……?」

「昨日の依頼達成でオレのポイントが貯まった……」

「あ、そう言う仕組みなんですね。気にも留めていませんでした」


 僕らも冒険者カードを取り出しました。半分くらい色が変わっていました。……? 昨日の依頼達成でこんなにもらえたのでしょうか。


「恐らく、アイリスが倒したゴブリンとオークの分もオレらに入っている。良いのか? アイリスがその気になれば、すぐに上級に上がれる状態だぞ?」

「あ、僕上級になるつもりはないのです。国にはあまり関わりたくないので……」


 上級や特級は国からの依頼を受けるらしいので……。


少しでも楽しんで頂ければ幸いです♪


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