第7話 愛する魔法
誰だお前は?その曖昧な記憶を辿る物語が始まる。
いきなり話しかけられ驚いた。それに魔法を見られてしまった。
「仲間に入れて欲しいのか」
木原さんが焦りを隠すように、口を開く。それに呼応するように僕も口を開く。
「そうだそうだ」
雑魚キャラみたいなことをいってしまった。それに意味が分からん。恥ずかしさを噛み締めながらも、声の主をみる。
「よろしゅうございやす」
おしとやかな喋り声。赤の美しい髪色。それに美しい顔。不覚にも惚れてしまった。
「お久しぶりやな。神崎はん」
お久しぶり?見に覚えがない。
「うちは、楓 桔梗と申します。よろしやす」
楓……桔梗………?
「知り合いか?」
木原さんが聞いてくる。
「いや…知らない」
僕は正直に答える。
桔梗は少し悲しい顔をし、顔をそむける。
だがすぐに思い直したのか目線をあわせ、再び問うてくる。
「覚えてないのなら、思い出させてやろう」
僕は咄嗟に身構え、魔法を発動させる。
「書く魔法 魔法No.3 葉操盾」
空中に葉操盾と指を走らせる。すると葉が動き僕らの周囲を囲む。
「安心しろ。僕が守る」
こいつは魔法使いか?そんな疑問は次の一手で分かるだろう。
桔梗は少し微笑み、腕を僕に向けてくる。
「愛する魔法 魔法No.41 愛する者の記憶」
多少、息を飲む。
「な…なにも………おきな……い?」
すると桔梗は笑う。
「私たちの愛は、迷宮のように深かったはろ」
直後頭を謎の感覚が襲う。痛くはない?戸惑いつつも冷静に状況を判断する。
脳に記憶が…流れてる?
「思い出したやろ。神崎はん」
………これが桔梗との記憶。
今回の魔法
・魔法No.3
葉操盾
………周りの葉を自在に操る魔法。その葉は衝撃を受けると固くなる。
・魔法No.41
愛する者の記憶
………愛する者の記憶を蘇らせられる魔法。愛していなければ効果はない。