第4話 困惑
えっ ばれた?
「おはよう」
「おはよう、お母さん」
僕は元気よく返事する。
朝食を食べた後すぐ部屋へ戻り、魔法の練習をする。
深く深呼吸をし空中に指を走らせる。
「書く魔法、魔法No.9 操作空間」
そしてペンに意識を向け、ペンを上に上げようとする。思いが届いたのかペンが上に行く。
この魔法は集中力が非常に重要だ。だから難しい。そしてペンは机に戻る。
時間もないので学校に行く。
教室に着くとすぐに先生と思われる人がきて、自己紹介がはじまった。
「星空中学から来ました。木原咲良です。よろしく」
堂々としている姿をみていると、いつの間にか尊敬していた。
「月から来た、白原万助です。よろしく」
「面白くないのによく言えるな」
心の底からそう思った。
そろそろ俺の番だ。
「緊張してきた」
魔法で緊張を解けるなら、便利だろう。
そんなことを考えてるうちに、自分の番が来た。
緊張をかくしつつ前に出て、途切れ途切れの言葉を紡ぐ。
「文京中学から…来ました。……神崎…翔です。…よろしく」
緊張した。リアクションは普通か、だろうな。まあでもそれが一番かな。
ゆっくりと席に戻る。
「万助だよ。よろしく」
戸惑いつつも
「よろしく」
とりあえず応えた。
さっきからずっと視線を感じる。気になりつつも平生を装う。
程なくしてクラス全員の自己紹介がおわる。すると一人の女の子が話しかけてきた。
木原さんだ。
何を聞かれるのかドキドキしていた。
「ねえ、翔くん」
ゆっくりと固唾を飲む。
「もしかして翔くんって」
ドクンドクン
心臓が早鐘を打つ。時折聴こえてるのではないか、と心配してしまうほどだ。
「翔くんって…………魔法使い?」
「えっ?」
今回の魔法
・魔法No.9
操作空間
………この魔法は、半径4メートル以内の空間の全てを操ることができる魔法。