第30話 いかにもエースって感じだね
後日、如月さんは数日学校を休むそうだ。
クラスが混乱しないためだろう。
「なあ、神崎」
弥助が話しかけてくる。
相変わらずマイペースだな、こいつは。
「部活見学、しようぜ」
めんどくせーけど行くっきゃない
「いいよ、行こ」
なぜか行く場所が決まってるかのように弥助は進む。
弥助は止まる。
「や…野球部?」
俺は少し驚く。
「昔からプロ野球選手になるのが夢だったんだ。」
意外だな。夢ないかと思ってたのに
俺たちは部室へ入る。
先輩方が睨み付けてくる。
「ノックくらいしたらどうなんだ」
確かに一理あるな。
「ってお前じゃねーか。神崎」
おやっ!と思ってたけど
「お前らじゃねーか。不良三人組!!」
まさか生きてたとはな。
「知り合い?」
弥助は聞いてくる。
「まあ色々あってな」
弥助は興味深々だったが、切り替える。
「今日からお世話になります」
えっ?
野球部員たちは待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべる。
「5分後、グラウンド集合」
集められた俺たちは千本ノックをさせられる。
いきなりかよ
1時間後、打球の練習に入る。
俺は空振り十二振で退場させられる。
ってかあんな本気で投げられても打てないだろ。
次は弥助の番。
構える。
玉が来た。
「速い」
カキーンという大きな音とともに玉は空高く飛んでいく。
「いきなりホームランかよ」
いかにもエースって感じじゃねーか




