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2話
顔を洗って歯をみがいてとしたむつがダイニングに戻ると、母親が朝食を並べてくれていた。
「朝ご飯出しちゃったけど、もう食べる?仕事行くにしては早いわよね?」
「貰うよ。仕事行くには早いけどね」
「いつも、こんなに早起きなの?」
「普段はお弁当作るもん。早く起きてるよ」
長い髪の毛を適当な感じで、ぎゅっと縛ってむつは椅子に座った。冷蔵庫の中身が寂しい事は知っていただけに、母親がそれでも作ってくれた事が嬉しい。だが、メニューは冷蔵庫の中身が寂しすぎたからか、冬四郎に合わせてなのか、卵粥だった。
「朝、お粥って久し振りな気がする。体調悪い時くらいしか作らないもん」
「お夕飯は、むつが好きな物にしましょうね」
「…帰らなくていいの?にぃに1人だよ?」




