2話
「お母さんは何で反対なの?」
「そんなの決まってるじゃありませんか。むつには、自分で相手を決めて欲しいからよ。お見合いも出会いの1つかもしれないけど、このやり方は納得出来ませんもの」
「うん…ってなると、会ってみても良いのかなって思っちゃう」
「きちんとしたお相手に違いはないと思いますよ。ただ、私はお父さんのやり方が許せない。だから、尚更反対なのよ。でも、最終的にはむつが決めなさいね。お父さんと晃さんの体裁何か…って言っても、むつは気にするわよね」
何で気にするのか、母親はしっかりと分かっているからか、ふわっとした柔らかい笑みを浮かべた。
むつもなぜ、自分が父親と晃の体裁を気にするのかは、ちゃんと分かっているだけに情けない表情をしている。血の繋がりのない自分が、これまでかなり迷惑をかけてきている以上、これ以上の迷惑はかけたくないし、出来る限りは親が兄が望むようにありたいと思っているのだった。
「…気にしないなんて出来ないわね。でもね、そんな事でむつを責めるようなお父さんと晃さんなら、居なくていいと母さんは思うのよね」
「お母さん…」
「母さんの言う通りだな。兄貴も親父も、どっかでむつが言う事を聞くっていう甘えがあるんだよ」
「そうなの、冬四郎さんの言う通りよ」




