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2話
部屋に入ったむつは、用心深くカーテンを開けて、ちゃんと鍵がかかっているままか、部屋に変わった所はないかと見回している。だが、特に変わった様子はなかったのか、ほっとした表情を浮かべていた。
「とりあえず、お茶いれるね。あ、しろにぃは明日お休みだっけ?ビールにする?」
「ビール貰おうかな。もう運転する事もないだろうし…母さんも少し一緒に呑まない?」
「たまにはいいわね。そうしようかしら」
むつは頷くと、しっかりと冷えた缶ビールを3本とグラスを出した。冷蔵庫に物が少ないからか、ビールはきんきんに冷えている。テーブルに缶ビールとグラスを置くと、冬四郎がプルタブを開けてついでいく。むつは戸棚や冷蔵庫を開けて、何かつまめる物を探しているようだった。
「お菓子しかないや」
そう言って出してきたのは、スルメを細くして素麺のようにした物と胡麻煎餅だった。




