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2話
夕飯を終えて片付けを済ませると、むつと母親を車に乗せて、冬四郎はむつのマンションへと向かった。電車はまだまだ動いている時間だが、車の方が荷物持ちとなる自分が楽だからだった。
マンションへと着くと、母親は外観を見たり、回りをきょろきょろと見ている。
「…引っ越ししてからは、お母さん初めてだもんね。来るの…後で鍵渡すね」
「えぇ、そうね。むつだけだわ、いまだに合鍵を渡してくれるのは」
「そうなの?でも、あたしはしろにぃのマンションの合鍵持ってるよ」
「なら、冬四郎さんの所にこっそり行く時はむつに言えば大丈夫ね。たまには、家の事をしに行きたいと思っても、冬四郎さん鍵くれるって言ったきりなのよ」
「えー?しろにぃ嘘つきだ」
家族的には男の方が多いはずだが、むつと母親がやはり家の中では強い。冬四郎は何も聞こえていないふりをして、ただ荷物を持っているだけだった。




