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2話
「じゃあお夕飯終えたら、むつの所に行きましょうか?男の人が出入りするって分かれば、変質者も来ないでしょうからね」
「いや、母さん…それだと、むつが…」
「あら、むつが困る事でもあるの?」
皿に残っている炒飯を米粒1つ残さずに、スプーンですくったむつは興味なさそうに、困らないと言っている。
「…でも、そうね。お父さんの言う通り、むつも年頃ですもんね。彼氏が見たりしたら困るわよね」
「彼氏居ないから大丈夫だよ」
「西原君が居るだろうが」
「あら、元彼の?寄りを戻したの?あれよね?大学の時の先輩で、刑事をしているっていう…」
「何で知ってるのよーっ」
「そりゃあ、むつのお母さんは私ですもの。知ってるわよ。冬四郎さんが近頃は彼女出来ないのも知ってるわよ」
「母さん…」
話をしなくても何でも見透かしているかのような母親に、むつも冬四郎も困ったような顔をしていたが、それでもやはり自分の事を気にかけていてくれるのかと感じられるからか、2人は照れたような恥ずかしそうな笑みを浮かべていた。




