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2話
「で、母さんも俺の所に泊まるでいいって事?」
「そうねぇ…」
母親はむつが作ってきた、小松菜のおひたしを取り皿に取りながら、首を傾げている。5人の大人になった子供が居るとは言えど、そういった仕草をするとどこか可愛らしく見える。
「冬四郎さんの所に泊まろうかしらね。お布団はあるの?」
「ないよ。だから、あたし寝袋持ってきた。寝るなら、お母さんはベッドで、あたしは寝袋で、お兄ちゃんは床かソファー」
「…それならソファーだろ。何で床なんだ?」
「何となく。それか、うちに来る?お母さんとお兄ちゃん居たら怖くないし。うちならお布団あるよ」
むつは冬四郎が作った炒飯を口に入れると、もごもごと噛んだ。イライラしながら炒められた卵と玉ねぎは、形が残らないほどになっている。だが、しっかり炒められた玉ねぎからは、甘味が感じられてこれは、これで美味しいと、むつは思っていた。
「そうしようかしら…冬四郎さんは不審者の事、どう思ってるのかしら」
「そう、ですね…俺は…タイミング的にはすれ違っててもおかしくないはずなんですが、顔も何も見てませんから」
「あらそうなの?なら、人じゃないって事なのかしら?」




