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2話
「むつにも落ち度はあったかもしれないが…むつ、届け出たくない理由でもあるのか?」
見合い話で気まずくなっているのは、そっちのけに父親もむつの前にやってきて、しゃがみこんでむつの顔を見ている。
「ん…」
言うか言わまいかで迷っているのか、むつは冬四郎の顔を見た。冬四郎はむつから話を聞いているだけに、答える事は出来るが、冬四郎も少し悩んでいるようだった。
両親もむつの能力の事については把握しているが、不審者というのが人ではないかもしれないというのは、やはり言いにくい。
「まぁ…むつは冬四郎に相談しての事なんだろ?それなら、冬四郎に任せておいても大丈夫でしょう。冬四郎も警官ですから」
むつがなぜ言い淀んでる事を察したのか、晃が助け船を出すつもりでそう言った。届け出は出していないが、冬四郎も晃も警官だ。それを聞いて、父親は安心したように頷いた。




