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2話
ソファーに座り涙を浮かべるほどの大欠伸を繰り返しながら、むつは冬四郎と晃を交互に見た。兄である2人は歳の離れた妹に、呆れられるような言い合いを見せた事を恥じているのか、黙り混んでむつとは目も合わせない。
「悪かったな」
これ以上は気まずくなりたくないのか、冬四郎はむつの隣に腰を下ろすとぶっきらぼうに謝った。自分たちが悪いのは分かっていても、しおらしくなれたりはしなかった。むつはくすっと笑っただけだった。
ふぁふぁと欠伸をしているむつと、黙り混んで居る冬四郎と晃は、ちらちらと部屋の方を見ていた。自分たちが言い合いをしている間にも、両親の話し合いは続いていて、まだ終わってもいないようだった。
ぼそぼそと押さえた声が聞こえていたが、きいっと音を立ててドアが開いた。




